超・事件15
連続更新70日目!
10月15日
国体も4日目になった。
初日に葛葉が少年女子3000mに出場してぶっちぎりで優勝すると共にU18、20日本記録、更に大会記録となる8分44秒で優勝した。
最初から最後まで戦闘で走り留学生にすら打ち勝ったのは大会を大いに盛り上げ後続の選手達が全体的にパフォーマンスが高くなった要因にもなっている。
そして風間君は走れる人の関係上必然的に県で1番持ちタイムが速い事もあり中学生ながら高校生に混ざり800mで国体に出場したが惜しくも予選敗退となった。
そして遂に陽太郎が県の代表として少年男子B 3000mに出場する。
「頑張りなさい陽太郎っ!!」
「1週間前の調整でもかなり調子が良かったみたいですしきっと優勝狙えますよ!」
「うちの陽太郎が1番凄いと言いたい所だけど冷静に戦力を分析するなら優勝は厳しいのよね。
まず第一に全中覇者の小野寺君、先週の練習の時でもかなり調子が良さそうで走る姿もかなり軽そうだったわ。本人も中学記録を塗り替える準備は出来ているとも言ってたから相当厳しい戦いになるわ。
それにこういう大会では気分が盛り上がる子は普段の力量以上の力を発揮したりするから他の子達も油断ならないのよ。特に準優勝した赤坂魯樹君は持ちタイムが小野寺君に次いで2番目の8分25秒とレース展開次第では逆転もありえるのだから─────」
「あっ陽太郎君です」
「っ?!!」
走者リストを見て唸っていた私は神楽の言葉に勢いよく頭を上げモニターを見た。
そこには周囲に手を振り何度か頭を下げた後決めポーズをしている愛しき陽太郎が見える。
その横には陽太郎1番の障壁となるであろう小野寺哪吒が立っていた。
小野寺君は陽太郎と同様に頭を下げた後「勝つ!」と宣言するかのように握り拳をカメラに向ける。
「やーーっぱり先週より仕上がってるわ」
「どれほどですか?」
「雰囲気やら表情、体の絞り具合から察するに先週より2割増しで強いかも知れないわ」
「2割も?!それは……決勝では厳しい戦いになりそうですね」
「えぇ、でもこの予選だけならそこまで不安では────」
「ご、ごめんなさい!遅くなったわ!」
「済まない!遅くなった!」
2人の男女の声が聞こえ振り返るとそこには小雨結衣とその夫である小雨辰郎がいた。
勤めている会社が忙しいと言う理由もあるが2人が今の会社の仕事に熱中してしまい滅多に家に帰れていないが今回ばかりは流石に休みを取り国体を見に来たようだった。
「遅かったわね。残念ね葛葉の種目が初日に終わっちゃって」
「事前に知ってはいたけどやっぱり活躍見れないのは悔しいわぁ…………」
「ゆ、結衣!落ち込まないで!陽太郎の出番はギリギリ間に合ったんだしそれにメールで葛葉の種目は動画撮ってあるから後で見返せるって来たじゃないか!な!」
「だけど可愛い娘の晴れ舞台はみたいじゃない……」
「それはまぁ……うん僕もだよ」
「はいはい、落ち込むのは家でやって。今は陽太郎の種目の 3000mの予選よもうすぐスタートなんだし静かにしなきゃ駄目よ」
「そうね。今日と明日の予選、決勝分の休みは取ったから全力で応援しないと!辰郎しっかり応援するわよ!」
「うん!」
夫婦で気合いを入れると結衣は陽太郎の名前が入った団扇を2枚取り出し構え辰郎はメガホンを取り出し叫ぶ準備を整えて静かに待った。
オンユアマーーク
選手全員が一列に並び会場が一瞬静寂に包まれる。
そして次の瞬間には乾いた音が響き選手達は一斉にスタートを切った。
「おぉ!!スタートは上手く出来た」
「頑張れー!陽太郎ーー!!!」
2人は楽しそうに応援しているが私が走る前に軽く小野寺と話していた内容が気になる。
詳しい内容は分からないけどスタートして見た感じから推測するに陽太郎が引っ張って行きたいから着いて来てとでも言ったのだろう。
200の通過が31秒とかなり速い、国体などの大会のみならず実力者が集まると先頭の取り合いが起きスタートが極端に速くなら場合があり今の流れがまさしくそれだった。
そして400の通過は68秒の極端に後半の200mが遅くなったが400を通過した時点で少しだけスピードを上げると流れが落ち着き集団が固まる。
「良いペースね。スタートの先頭の奪い合いも勝ったし流れは上々よ。このまま押して行けば自己ベストは出るでしょうね」
孫夫婦にもう少し仕事を減らせと言いたい氷鉋狐雪
葛葉のレース映像は録画しているので国体が終わったらカメラごと渡すつもり。
仕事に熱中する気持ちも分かるけどもう少し子供を見ろと怒るつもりのお母様
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