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超・夏休み26

連続更新36日目!


妖力を流し続ける事12分

陽太郎の額に汗は見当たらない。

妖力の流れに慣れた証拠だった。


「大丈夫みたいね」


「何とか慣れたかな。

 最初は凄く痛かったけど今は軽く筋トレしてる感じ」


「うん、上出来よ。次は私が陽太郎の体の中にある妖力を操って冷気を操作する感覚を養うわ。

 恐らく筋肉が引っ張られる感覚があると思うけどそこまで痛くないと思う」


「分かった」


「それじゃあ操作するわ」


私の妖力が陽太郎の体内へと入った事で自分以外の妖力に干渉する事が出来る。

本来なら攻撃に繋がる妨害技なのだがそこそこ昔に知り合いが技以外への使用を考えた結果辿り着いた訓練にも使えると気付いた。


私の妖力を陽太郎の妖力を包むように流すと一緒に回路を循環させ妖力の使い方を体で覚えさせる。

冷気を体外にも作用させたい場合は更なる回路の拡張が必要とされるが今の陽太郎には必要ではないのでそのまま体内で循環させた。


「何となく体内で妖力が回路を通っているのが分かる?」


「…………思ったよりハッキリと動いてるのが分かるよ。回路が開いた影響か分かんないけど今までまともに感じたなかった自分の妖力を感じられるし操れそうな感じがする」


「ふむ?飲み込みは思ったより早そうね。

 これなら実用段階まで数日で行けそうだわ」


「っ!本当?!!」


「本当よ?あ、でも陸上の練習をほったらかしにしては行けないわよ?」


「勿論っ!!」


ふふっ、随分と楽しそうに笑っているわ。

余程葛葉に心の底から勝ったと思いたいのね。


「次は回路に妖力を流すだけじゃなく冷気に変換するわ。流れが複雑かつ工程が少し多めだからしっかり覚えて」


「…………!!」


私の言葉を聞いた瞬間から集中しているせいか返事がない。

気にせず妖力の流れを変えてただの"力"から"冷気"へと形を変えて行く。

その工程はゼロから氷にする訳ではなく水を作りそれを自身にあった温度に下げてから体全体に霧のように流すのだ。


言葉にすると分かりにくい霧のように流すと言う言葉。

例えるならダムのように一気に放水するのではなく霧吹きを使い冷たい水を少しずつばら撒くイメージに近い。

そんな事を言葉で伝えながら妖力を操作する。


「あっ」


「涼しいでしょ?」


「姉ちゃんはこんな快適な状態でいつも走ってたのか……」


「あの子は私が特別教えた訳ではないけれど見て何となく自分で感覚を掴んだみたいよ。

 おかげで陽太郎は差が開いたように感じているでしょうけど葛葉の妖力の操作はそこまで涼しいと感じる程じゃないわね。

 恐らく精々が気持ちが良い風を感じる程度だと思うわ」


「それで十分じゃね?」


「そこは葛葉の天性のタフネスあってこそね。葛葉は陽太郎のしているゲームで例えるなら初期ステータスが高いのと技の内容が豊富な感じ」


「普通のゲームなら後半でステータスが逆転したりするんだろうけど────」


「私の血を4分の1も引いているのよ?葛葉も陽太郎もレベルの限界もステータスの限界も並の人間より遥かに高いわ、誇りなさい

 それと何か勘違いしてるみたいだけど陽太郎もゲームで例えるのならステータスの初期値が滅茶苦茶高いタイプよ」


「そうかなぁ」


「そうじゃなきゃ中学1年生で2年3年と一緒の全中の標準記録も突破出来ないわ。

 謙遜は美徳足りえるけど陽太郎のは謙遜というよりただ卑屈なだけよ。それは他者にとったら侮辱にもなりえるからそろそろ自覚しなさい?」


割と真面目な説教は普段怒らない分届いたのか罰の悪そうな表情になる。

子供達や孫達が部活をするようになってから競技の世界をどれほど学んだか!

どれほど厳しい世界なのかは良くしっているつもりよ。全国の舞台がどれほど辛く素晴らしい舞台なのか、そしてそこに立つ自分が凄い事を成しているのか本当に理解した方が良い。

これは陽太郎の今後の為にも必要となる。


「説教も今は無駄ね」


「あっ」


陽太郎の手を離すと名残惜しそうな声を出した。

ここ数年ほど父親と母親どちらも仕事で忙しく年に数回しか顔を合わせておらず手を繋ぐ機械は無に等しい事を考えればまだ『子供』なのは仕方がないのかもと思う。

結衣達にも少し小言を言わねばなならないと今決めた!


「その様な寂しそうな声を出さずともいつでも手を握ってやるし望むのなら頭も撫でてやる。

 お前は私が腹を痛めて産んだ訳ではないが私の子供同然なのだ。もっとしっかり甘えなさい」


「はい……!」


「ふふふ、良い返事よ!でもお小遣いの甘えは少しの間無いと嬉しいわっ!昨日と結衣からお小遣いを上げ過ぎだと怒られたから自重しないと本格的に不味いの!!」


「切実だ」


「嫌われたく無いもの!切実にもなるわ!」


おっほん!

わざとらしい咳をして場を仕切り直す。


「じゃあ次はさっき私がしたみたいに1人で回路に妖力を回してみること。冷気への変換はまだ難しいと思うから今日はまだ無し。

 それは明日からにします」


「分かった!」


「最初は補助代わりとして詰まった回路に滑らかに流す時に私も手を添えるわ。もちろん無しで初めてもいいわ、どうする?」


「えっと…………その、お願いする……かな」


「ふふっ!分かったわ!」





説教の時は聖母!戦闘の時は戦闘狂!氷鉋狐雪!

今回は陽太郎に甘さだけではなく厳しさも見せていたが前日に結衣からメールでお小遣いの件で怒られた事も反映されている。


だって甘やかしたいんだもん byお婆ちゃん






ここまで読んで下さりありがとうございます!!

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