転生王子の世直し道中 後編
ハーシェリク(転生王子)シリーズ四巻発売記念短編の後篇です。
二話連続更新してますので、ご注意ください。
掃除をしていない汚れた床に、ハーシェリクとフィンは両手を縛られ転がされる。
「大人しくしていろよ!」
そう怒鳴って、男は乱暴に扉を閉めた。
ここは町の傍にある森の奥の今は使われていない小屋だった。そこはフィンたちが目撃した場所でもある。
小屋自体は小さいが、閉じ込められる前に見た外には複数のテントが張られていた。それなりの人数がいることが予想できた。
縛られた両手で苦労しながら起き上がると、フィンも丁度起き上がったところだった。
「……フィン君、巻き込んでごめんね」
ハーシェリクが謝る。まさか町中で、昼間から攫われるとは思わなかったのだ。
「僕こそ、守れなくてごめん……」
フィンも頭を下げる。オランとの約束を反故にしてしまった、と落ち込むんだ。
だがそんなフィンにハーシェリクは首を横に振った。
「でも、私が二人に頼まなければ!」
「だけど、送ると約束したのは僕たちだから……」
自分が悪い。いや、自分が。いやいや自分が……
互いに謝り続け、やがて二人の間に沈黙が生まれる。そして互いに拭き出した。
「謝り合ってもしょうがないね」
そう締めくくり、ハーシェリクは部屋を見まわす。家具は木でできた古ぼけた机と椅子。武器になりそうなものはない。扉と対する壁に窓があり、その先は森が広がっている。
「とりあえず、助けを待ちましょうか」
そう言いつつ、ハーシェリクは立ち上がって、扉の前に陣取った。微かだが、外の音が聞こえる。ここなら外の様子がわかる。
「助けがくるかな?」
ハーシェリクの行動に首を傾げながらも、フィンが言った。外見は幼くともアラサーでいくつかの修羅場を掻い潜ってきたハーシェリクとは違い、彼は年相応の母親思いの優しい少年なのだ。
「もちろん。二人はすごく優秀だからね」
ハーシェリクは笑って答える。
ただ内心、帰ったらクロから大目玉確定だなと思い、気持ちは沈んだが。
数時間すると外が騒がしくなった。漏れ聞こえる声に、ハーシェリクは眉を顰める。
「……雲行きが怪しくなってきた」
聞こえる言葉は端的だが、「仲間がやられた」や「こんな話聞いてない」や「貴族の娘を勝手に攫いやがって!」と怒鳴りあっている。
どうやら今回自分を攫ったのは、あの男の独断だったらしい。
(まあ、普段はクロかオランが傍を離れないからな……)
付き人二人がいなくなったのを好機と見て、攫った男が暴走したのだろう。
だが貴族の誘拐は割とリスクが高い。発覚すれば地方の警邏だけでなく、王都の警邏局が動く。下手すれば騎士団が動く。そうすれば盗賊たちは金を手に入れるどころか、生存も危ぶまれる。少しでも頭が働けば、わかることだ。
醜聞を恐れて金で解決しようとする貴族もいるだろうが、それこそ相手による。貴族相手の身代金目当ての誘拐は、相手を選ばねばいけないのだ。
追い詰められた彼らはどうするか。
逃亡を図ろうとするだろう。だがそのとき、自分たちはどうなるか。下手すれば殺される。ハーシェリクは半々の可能性だが、フィンは可能性が高い。
ハーシェリクはすぐに決断した。
「逃げよう」
「え?」
フィンが声を上げる。だがハーシェリクは気にせずに立ち上がる。
そして両手を少し動かして、縄を外した。
「えぇ!?」
フィンが驚きの声を上げる。ハーシェリクが慌てて、彼の口を押えた。
「静かに! 今ロープ外すから」
コクコクと頷くフィンの口から手を外し、ハーシェリクは靴の踵に仕込んであった刃物を取り出す。もちろん仕込んだのはクロである。
太いロープだったが劣化していたため、思ったよりも早く切れて、フィンの両手は自由を取り戻した。
「でもどうやって抜けたの?」
フィンが縛られて痕が残った手首を擦りながら問う。
ハーシェリクは両手を差し出してみせる。華奢な手首には、フィンほど痕はついていなかった。
「両手を合わせて縛られるときに、手首の間を空けといた」
トリックは簡単だ。
縛られる時に、親指を握りこみ、手首の隙間を開けるようにして両手を差し出す。すると縛られたあと、手を緩めれば余裕ができるので、手をロープから引き抜けるのだ。ハーシェリクが前世、テレビで見た知識である。妹たちと実験もした。
もちろん別の縛り方や、力任せにきっちり縛られれば、非力なハーシェリクが縄抜けをすることはできなかっただろう。だがか弱い少女が縛られるときに「いたいっ」と声を上げ、涙目で見上げられれば、特殊な嗜好者でもないかぎり、ロープを結ぶ力も緩むというもの。
ハーシェリクには「計算通り」である。
それから二人は静かに窓から脱出をしようと行動を起こす。音を立てないよう細心の注意を払い、窓の下に椅子を運ぶと、窓を静かに開ける。机を扉の前に動かして、バリケードを作ろうとも考えたが、子ども二人で音を立てずに机を運ぶのは無理だと諦めた。
窓からフィンが先に出て、ハーシェリクも続く。
ハーシェリクが地面に降りたとき、扉が荒々しく開かれ、次の瞬間、男の怒号が響いた。
「ガキどもが逃げたぞッ!」
その声と同時に、ハーシェリクとフィンは走り出す。
藪を掻き分け、坂を上り、ただひたすら走る。逃げる先など後回しで、今は盗賊たちから身を隠すために走った。
ハーシェリクは、何度も転びそうになる。もともと運動神経は悪いし、走る道も獣道どころか道がない。だがそれ以上に、問題があった。
「スカートっ、走りっ、にくいっ!!」
転びそうになって足を止めるのは何度目か。
盗賊たちの声が聞こえ、追手がすぐ傍まで迫っていることが、さらにハーシェリクを苛立たせた。
舌打ちもしそうなハーシェリクの言葉遣いに、フィンがぎょっとしたが、ハーシェリクは気にしてはいられない。
この世界の貴族女子の衣服は、ワンピースタイプのドレスだ。丈も膝より長いし、フリルも多くひらひらだ。走ると足に纏わりつき、機動性を損なう。もちろん普通の貴族の子女は走ったりしないので、問題はない。
「手を! 牽くから!」
フィンが手を差し出し、ハーシェリクは躊躇わず彼の手を取る。緊急時な上、中身アラサーなハーシェリクは「手を繋ぐなんて恥ずかしい」なんという純情な部分は持ち合わせていない。
だが再度走り出そうとした瞬間、盗賊が現れた。
「いたぞ!!」
回りこまれたと知り、ハーシェリクはフィンの手を引いて、踵を返そうとした瞬間、髪を引っ張られる。
「いッ!?」
「ガキども逃げるなあぁああ!!」
思わず、悲鳴を上げるハーシェリクと、長く淡い色の金髪を掴む盗賊。この盗賊はハーシェリクを攫ってきた男だった。
「放せ!!」
フィンがハーシェリクの髪を掴む男に飛び掛かろうとした瞬間、ハーシェリクの髪がとれた。
「はっ!?」
「えっ!?」
突然のことに、盗賊たちもフィンも固まる。男の手には金の髪が残ったままだ。
「女の子の髪、ひっぱるんじゃない!」
髪が短くなった……鬘がとれたハーシェリクはそう言いながら、男の腹めがけて頭突きをしようとする。だが途中、踏ん張っていた足を滑らせて、ハーシェリクの頭は男の股間へと命中した。
男は声にならぬ悲鳴をあげて、股間を抑えて蹲る。その場にいた盗賊仲間もフィンも反射的に股間を抑えたのは仕方のないことだった。
「とはいっても、私は男だけどな!」
偶発的にしても、男に慈悲のない攻撃をしたハーシェリクは、キリリと言い放つ。
そして周りを見回して逃げようとするが、既に時は遅く、周りは盗賊たちに囲まれていた。
「お、おい、大丈夫か?」
「ぶ……ぶっ殺して、やる……」
盗賊仲間が、致命傷を受けて蹲る男の背中を擦りながら言う。男は物騒なことを言ってはいるが、涙目だった。
盗賊たちがハーシェリクたちを捉えようと、包囲を狭める。
だが次の瞬間、盗賊とハーシェリクの間に、黒い影が現れた。
「それ以上近づけば、殺す」
そう言い放ったのは現れた影――クロである。
間を置かずどさりと人が倒れる音がし、視線を向ければ地に伏した盗賊と、剣を持つオランがいた。
「大丈夫か、リョーコ」
「オラン、クロ!」
問うオランに、ハーシェリクが二人の名を呼ぶ。
「フィン! 大丈夫か!?」
「ミコラ!」
オランの背後からミコラが手を振った。攫われたあと、ミコラはそれを報せるために、父親の協力を得て、二人に知らせに向ったのだ。
「あ、相手はたった二人だ! やっちまえ!」
盗賊の一人が声を上げる。そのセリフに、ハーシェリクはわざとらしくため息を零し呟く。
「まったく……悪党というのはお約束を守るのか?」
「お約束?」
「なんでもない」
呟きが聞こえたフィンが首を傾げ、ハーシェリクは曖昧に笑ってみせた。
そしてこうなったらお決まりのセリフを言うしかない、と思った。
「クロさん、オランさん、やってしまいなさい!」
指をびしりと差し、まるで某時代劇のご老公の如く、ハーシェリクは言い放つ。
その命令に、己の腹心たちは忠実に行動に移した。
「あ、でも殺しちゃだめだからね!」
無双する腹心たちに、ハーシェリクは慌てて命令を付け加えたのだった。
ハーシェリクの誘拐事件から二日後、開店前の酒場で九人が顔を突き合わせていた。うち七人は最初のときと同じで、残る二人は酒場の店主と商店の店主の奥方である。
「ということで、これにて一件落着! もう大丈夫」
ハーシェリクは盗賊たちが掃討できたことを報告し、そう締めくくった。
だが内容は、事実を大分隠している。
まず盗賊を掃討できたことは本当だが、裏で領主が糸を引いていたことは隠した。
もともとハーシェリク一行がこの地に訪れた始まりは、城下町で聞いた噂だった。この地方で盗賊が悪さをしているらしい、と。特に行商をしている商人たちは、この手の噂に敏感だし正確だ。
王都まで届くような噂なら、領主から救援要請があってもおかしくはない。だがハーシェリクが(忍び込んで)調べた結果、ここの領主からの救援要請どころか、盗賊の出現に対しての報告もなかった。もちろんこの地方で盗賊を捕えたという報告もない。別件で街道整備のための多額な補助金の申請と決裁が下りた書類は見つけたが。
これはおかしいと思い、ハーシェリクは筆頭たちを引き連れて、お忍びで訪れた。
行きがけの街道は、補助金が降りているのにも関わらず整備されておらず、それどころか盗賊が出現している。この時点でハーシェリクは、領主と盗賊が繋がっているのでは、と予想した。
町で話を聞けば、領主はどうやら領民にはばれないよう、国で決められた税以上を徴収しているし、商人から金も巻上げている。
この時点で真っ黒だが、ハーシェリクは決定的な証拠を押さえるため、盗賊が現れたらあえて何人かは逃し、クロが尾行して、領主との繋がりを暴こうと策を立てたのだった。
だがその作戦は、ハーシェリクの誘拐で失敗に終わった。
しかしその後、盗賊たちを締め上げて領主との繋がりを吐かせた。さらに盗賊たちを引き連れて領主の館に乗りこんだ。
突然現れた王族に慌てふためく体型が真ん丸な領主相手に、ハーシェリクは理路整然と断罪した。
青くなりながらも関与を否定する領主の許可を得て、屋敷内をくまなく捜索する。すぐにクロが隠し部屋を発見し、部屋から盗賊が献上した盗品が出てきて、領主は観念した。
曰く、盗賊たちから盗品の一部を献上され、それで彼らを見逃していたということ。盗賊から護るという名目で、商人たちから金を巻上げていたということ。でも私兵は投じず、盗賊はやりたい放題である。
なんというマッチポンプだ、と呆れるハーシェリクと、すべて暴かれ打ちひしがれる領主。
ハーシェリクは呆れつつも、補助金不正受給の件や税の過徴収についても問い詰めて追い打ちをかけることは忘れなかった。
さて領主の罪が暴かれて、本来彼は出頭せねばいけない。
しかしハーシェリクが暗躍したことがばれてもまずい。
ということでハーシェリクは、領主と取引をした。もちろん相手に拒否権はない。
一つ、盗品を持ち主に返し、被害に遭った人々の補償をすること。
二つ、過徴収した税金は返還するか、翌年の税を軽減すること。払えない者は考慮すること。
三つ、街道整備の補助金は一度返還し、再度適正な金額で申請すること。もちろん工程表もつけろ。
四つ、今後不正は行わないこと。民のための政をすること。
五つ、自分たちが訪れたことは、内密にすること。
「約束、守ってくれますよね? まあ破ってもいいですが、その場合は、盗賊を利用して王族を誘拐しようとしたということで、極刑ですが仕方がないですね」
そうにっこりと笑うハーシェリクに、領主は必ず守ると涙ながら誓った。
(巻き込まれた彼らには申し訳ないけど、さすがに領主が関わっていたことや、私が王族なことはいえないしね……)
下手に自分が暗躍していることが大っぴらになるのは、いろいろとよろしくないのだ。今は。
といいつつも、両親たちは察することがあるのだろう。微妙な表情をしているが、黙っていてくれている。
フィンの母親には、領主の屋敷にあった盗品のなかに、その薬があったので、取り急ぎわけてもらった。金額はハーシェリク(正確にはオランが立て替えた)が払い、領主を通じて商人に渡される予定だ。薬を飲んだおかげで、彼女は寝台から起き上がれる程度には回復し、ハーシェリクはほっと胸をなでおろす。
ただ事件は片付いたが、彼らに謝ることもあった
「騙していてごめんなさい。実は私、男だったんです。ちょっと事情があって女装を……あ、別に女装が趣味なわけじゃないよ?」
そう、お忍びで出かけるとき、正体がばれぬよう、女装をしていたのだ。そしてそれを利用もしていた。
現在は鬘がダメになったので、フードつきのポンチョで、外を歩くときは頭を隠しているし、下はズボンである。町の人々は首を傾げるが、もともと貴族の考えることはわからない、と思う人も多く、大して気にされてないことにハーシェリクは安堵する。
だがそれでも、彼らを騙していたという罪悪感は、ハーシェリクを苛むため、謝罪を述べた。
「……様だ」
「え?」
フィンがぽつりと何か呟いたが聞き取れず、ハーシェリクは首を傾げる。
するとミコラが立ち上がった。両手を握りしめ、紅潮して叫んだ。
「光の王子様だ!」
「本当にいたんだ! やったぁ!」
フィンも立ち上がり、二人ですごいすごいと跳ねる。まるで宝物を探し当てたような、喜びようだ。
「光の?」
ハーシェリクが再度首を傾げた。
確かにハーシェリクは王子という立場だが、光っていない。もちろんハゲてもいない。
疑問符を浮かべるハーシェリクや筆頭たちに、商店の店主が申し訳なさそうに言った。
「いえ、以前この町に立ち寄った旅回りの一座が『光の王子』という劇をしまして……」
「あー……」
その言葉でハーシェリクは察した。
そういえば以前、とある縁で知り合った旅の一座が、自分を題材に劇をしてもいいか、と願われたことがあった。
名前も国も変えて、絶対にハーシェリクだとわからなようにするからと言われ、渋々了承した。
まさか、それがこんな地方まで広まっているとは。
否定しようにもし難く、ハーシェリクは曖昧な表情をするしかない。
「助けてくれてありがとう、王子様!」
そう礼を言う少年たちに、ハーシェリクは苦笑を浮かべ「ま、いっか」と思った。
そして「こちらこそ、ありがとう」とお礼を笑顔で述べたのだった。
酒場を出てハーシェリクは腹心たちを引き連れて歩く。
今日中には町を出て、王都へと急ぎ戻らねばならない。片道急いでも、五日はかかるのだ。
「とりあえず、なんとか片付いたけど……」
「ハーシェ、どうした?」
事件が解決したのに、表情が暗い主に、クロが問う。
ちなみに誘拐された夜は、クロにしこたま怒られたハーシェリクである。
「んー……問題が山積みだなぁと思って」
「問題?」
今度はオランが問い、ハーシェリクは頷く。
「うん。今回みたいに、領主と盗賊が結託していたから、噂でしか王都に届かなかった。これだと好き放題されてしまう……王城みたいにね」
事実、王国に巣食う者たちは結託し、国民から血税を絞り上げ、私服を肥やしている。ならそれを正す組織が必要ではないか、と思うのだ。臣下を制するは王族の務めだが、王と臣下が結託したら、誰が止めるのか。
もちろん、父や兄たちの代では絶対にありえないが、先はわからない。
「それに医療や学業だって、もっといきわたらせないと」
グレイシス王国は、現代日本と比べれば、福祉や学問の法整備が遅れている。
フィンの母親は治療のできる病だったが、お金がないため受けられずにいた。現代日本なら全てではないが保険料を支払えば、少ない負担で治療を受けることができる。行政へと助けを求めれば、援助もしてもらえるかもしれない。
学問も日本では義務教育があるが、王国はその水準に達していない。もちろん他の国と比べれば、歴史ある大国はマシではあるが。
前世で当たり前だったことが、今世では当たり前ではない。
それがハーシェリクはやるせない。そして前世の自分は恵まれていたのだと。
だができないことを嘆くより、できることをやるべきだとハーシェリクは思う。
「私には、まだまだやるべきことがある」
決意を新たにする主の横顔に、腹心たちは思う。
彼らの主は大臣を打倒するだけでなく、その先の国の未来をみているのだと。
そう考えることができる主だからこそ、彼らは傍にいるだと。
「ハーシェならできる」
そう言ったのは、ハーシェリクが初めて欲した筆頭執事シュヴァルツ・ツヴァイク。
「俺たちもいるしな」
そう言ったのは、ハーシェリクが道を過ったとき、命を賭して止めると誓った筆頭騎士オクタヴィアン・オルディス。
二人の言葉に、ハーシェリクは一度足を止め、嬉しそうに、幸せそうに微笑んだ。
「じゃあ、王都へ帰ろう!」
そしてハーシェリクは進みだす。ただ前へと。
グレイシス王国の第七王子、のちに『光の英雄』と呼ばれるハーシェリク。
彼を題材にしたと噂される『光の王子』の劇は、大陸だけでなく全世界で人気を博す。
ハーシェリクは、その噂について肯定も否定もしなかった。
ただ『光の王子』が女装する演目についてはとても微妙な表情をしていた、とハーシェリクの比較的口の軽い臣下が言っていた、という噂が流れたのだった
転生王子の世直し道中 完
『転生王子と光の英雄』書籍化記念の短編でした。
思った以上に長くなったので、分割しました……
この話は黄昏の騎士の後、「ハーシェは約一年間なにをしていたか」の一部です。
他にも世直し道中ネタはありますが、今回は白虹の賢者の序章に出てきた、酒場ともかかわりがある話にしました。
そしてこっそり二巻の番外編にもリンクしてたりします(笑
『世直し道中』の物語の構想はあったんですが、本編にいれるには蛇足、一冊分に仕上げるには一話一話が短いし関連性が希薄という理由で、あえて書かなかった部分です。当時は本編から想像するというのも楽しいだろうと思いまして。
四巻書籍化にあたり、短編はどうしようと悩んだ結果、せっかくだから蔵から出そうとなりました。
楽しんで頂けたら幸いです。
皆様の応援のおかげで、書籍も四冊目で王国編完結まで出版することができました。
本当にありがとうございます。
スランプ気味で更新は止まってしまってますが、続編は亀の歩みですが書いてますので、今後もお付き合いして頂ければ幸いです。
重ね重ねありがとうございます。これからもよろしくお願いします。
2017/8/18 楠 のびる
蛇足:急所の攻撃は男女関係なく本当に危険なので、身の危険が迫ったりした場合以外はしないようにしてください(当たり前
この作品はフィクションであり、攻撃した彼の〇は破裂せずに無事です。フィクションだから!(念のため