47.
「勘弁してくれ……」
俺たちが冗談を言いながら笑い合うと、その雰囲気に流されたのか緋乃さんも小さく笑みを浮かべる。
「ありがとう、ございます……」
「ほら! 緋乃ちゃんももう泣かないの!」
俺はそんな光景を見ながら、またこうしてここに戻ってくることができて本当によかったと思った。
「さて」
頃合を見計らっていたのか、場が落ち着くと校長先生はそう切り出す。
「ではひと段落したところで試験の結果を発表しますね」
「あー……」
そういやゴタゴタで忘れていたが、そもそも夢のなかに入ることになったのは緋乃さんの試験のためだったんだっけ……。というかまともに戦ってないのにあれでいいのだろうか。
「魔女とは戦いになりませんでしたが、夢のなかでの戦闘で学生ふたりと二対一で圧勝したのですから、試験は問題なく合格とさせていただきます」
「あれでいいんですか……?」
と疑問を口にしたのは当事者である緋乃さんだ。
「ええ。というか、正直に言うと授業で緋乃さんの実力はある程度知っていましたしね。この試験は形状上に過ぎません」
そういえば緋乃さんは俺たちにお弁当を届けに来たときに生徒を片っ端から倒していたなあ。
「その節はすみませんでした……。でもそれならわざわざ魔女と戦うなんて危険なこと提案しなくてもよかったんじゃないでしょうか?」
「試験のついでに呪いの程度も見ておこうと思っていたんですよ」
「呪いの程度?」
「はい。うちの学生になる以上、私は全力で生徒のサポートをしなければなりません。であれば、呪いも解いておきたい」
「解けるんですか⁉」
俺たち三人の声が重なる。もしも呪いが解けるというのなら、緋乃さんの本来の目的である俺に命を救ってもらう――まあ、これは本当は俺を騙すための嘘だったわけだが――を達成できることになる。
「おそらく可能でしょう。やってみなければわかりませんが、魔法を無効化する魔法というのを聞いたことがあります」
「魔法を無効化……」
そんな魔法があるのか。確かにそんな魔法があるのならば、緋乃さんの呪いを解くことも可能かもしれない。
「とはいえ、まずはその魔法の持ち主を探さなければなりませんが……。すみませんがみなさんには手伝ってもらいますよ?」
「はい!」




