表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
俺と緋乃さんの魔法部隊  作者: 空乃そら
第4章 魔女
46/49

46.


 「…………!」



 それで大体の事情を察したのか、緋乃さんは不敵な笑みを浮かべる。



 「すぐに警察に通報しないなんて、本当にお人よしですね。私が現実で殺そうとするとは思わなかったんでしょうか?」



 「……緋乃さんは俺たちを本当に殺す気があるのか?」



 「シローさんは何を見ていたんですか? 殺す気もなにも、さっき殺されそうになっていたじゃないですか」



 「あれは俺たちを魔女の手から逃がすための演技だったんじゃないのか?」



 「本当に一体どれだけお人よしなんですか! 逃がすくらいならそもそも一緒に夢のなかになんて行きませんよ」



 そこで三林が口を挟む。

 


 「だが俺はきちん危険だと思ったら起こすと言っていたはずだ。星野さんだって聞いていただろう?」


 「……忘れていただけです」



 「じゃあなんで俺たちに魔女の呪いにかからない方法を教えてくれたんだ? 夢のなかでもつい俺が声を出そうとしたら止めてくれたよな」



  「ああもう! いい加減にしてください!」



 俺たちが質問攻めにしたからだろうか? 緋乃さんはヒステリックにそう叫ぶと続けて言った。



 「シローさんたちは、騙されたって! 殺されたって言って私を警察に突き出せばそれでいいんです! なんでそう、私をいい人みたいに解釈するんですか!」



 「信じられないから」

 


 「え……?」



 「緋乃さんが俺ことを殺そうとしてたなんて信じられないんだ」



 そう――、ずっと俺が夢のなかで感じていた違和感はこれだった。緋乃さんが未来の俺を助けるために過去にきたのも。そのために魔女の言うことを聞いていたのも。俺はありえる話だとすんなり受け入れることができた。だが、そのために緋乃さんが人殺しができるなんて思えないのだ。常に他人のことを考えている優しい人。それが俺のなかにある緋乃さんという人物だから。だからこそ、夢のなかで俺を本当に殺そうとしていたと思えないのだ。



 「緋乃さん」

 と、小さく問いかけたのは今まで黙って話を聞いていた校長先生だった。



 「このままでは話が進まないので、緋乃さんが思っていることと違うことを言ったら指摘させていただいます」



 それは暗に魔法を使うと言っているようなものだった。それで緋乃さんも観念したのか、ぽつりぽつりと語りだした。




 「私だって、自分でどうしたらいいのか、どうしたいのか、わからないんです。シローさんを殺さなきゃいけないのに、できなくて……。だって、シローさん優しいから……ぐすっ」



 正直に胸の内を吐露しはじめたことで、今まで我慢してきたものがすべて溢れてきたかのように両目から雫が垂れる。



 「それで魔女の呪いのこととか、つい言っちゃって……。でも、私がやらないと未来のシローさんは助からなくて、それなのに死んでほしくない、とも思っちゃって。わた、わたしは……」



 最後のほうはもう声にならなかった。それだけで緋乃さんが今までどんな思いでいたのか、どれだけ悩んでいたのか、それが想像を絶するほどの苦痛だったのは想像に難くない。



 「緋乃さん、そういうときは頼ってもいいんだ」



 「シロー、さん……」



 「そりゃ、今の俺は頼りないかもしれないけど、でもみんなで考えれば何か策はあるはずだ。未来の俺を助けることも、緋乃さんの呪いも、魔女のことも。絶対何とかできる」



 「そうよ、これから一緒に考えればいいのよ。一筋縄ではいかないけど、つくもちゃんだっているんだし、きっと何とかなるわ」



 「本当につくもが一筋縄でいかないけどな……」



 緋乃さんは俺たちの言葉を聞いて、ぐすっと鼻を鳴らすと、



 「私はあんなことをしたのに。それでもいいんですか……?」



 「まあ結果的には殺せなかったわけだしな」



 「そうね。それにシローの命くらいで緋乃ちゃんが救われるならそれはそれでいいわ」


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ