Twitter SS① 父の日 ファルカス
狩りから帰ると幼い娘が厩舎に待ち受けていたので、ファルカスは少し驚いた。広義では王宮の一部とはいえ、王女が居るべき場所では決してない。
「どうした? ミーナが探しているのではないか」
「お父様。差し上げたくて、待ってたの」
娘は問いかけには答えず彼に花を差し出した。
「俺に?」
「うん! 綺麗だから」
温室から摘んだ花らしい。戸惑う父に対して娘の笑顔は無邪気なものだ。馬に踏まれてはいけないので取りあえず抱き上げると、上機嫌でしがみついてくる。
「お母様も待ってるの」
「……では待たせてはいけないな」
「うん!」
まだ馬の世話などはあるのだが、娘を抱えては無理だろう。とはいえ仕方なくということもなく、娘が懐いてくるのは彼としても嬉しかった。
王子がいないのを憂える者も多いが、だからといって王女が不要ということもない。
何だかんだで、彼は娘が可愛くて仕方ないのだ。
父の日にTwitterで投下したSS。以前活動報告にも載せていたものの再掲です。
作中あまり触れる機会がないのですが、ファルカスは割と子煩悩です。マリカが活発な子供なこともあって馬に乗せて遊んであげたりしてます。もう少し大きくなったら鷹狩りの鷹を贈って一緒に狩りに行くんだ……とか思ってます。