12話 昼子の後悔と、若く美しい身体
イエロータイガー担当の昼子さんの事情。
AI美女セカンド様が私にくれたコードネームは【昼子】だ。
私の本名は違うのだが、セカンド様と結んだ契約書はコードネームで名前を書かされた。
「真名ほどではないにせよ、本名で契約すると、あなたが拒否するべき状況でも、契約書に縛られてしまいますからね。雇用契約書のような強制力は求めていません」
セカンド様が言うことは正しい。普通の紙に見える契約書であっても、目に見えない呪術を施してあれば、隷属させられてしまう。医学や科学が進んだ現代とは言えども、油断してはいけない。
◇
わたしがセカンド様と契約した内容は、
①21歳の若く美しい肉体を取り戻すこと。
②私好みの若く純情な男の子との仲を取り持つこと。
その対価として、
①セカンド様との姉妹関係を持つこと。
②セカンド様が目指す世界を作るために、働くこと。
だった。
私は若いころは非常にモテていた。多くの素敵な男性が言い寄って来た。
私は自分よりも年収が低い、学歴が低い、身長が低い、年上は嫌だなどの条件を理由に、不合格として断ってきた。
しかし、それは、大きな間違いだった。女性の人生をスポーツで例えれば、アウト3つで自分の攻撃回が終わって交代する野球ではない。時間制限があり、その限られた時間内で入れた得点数を比べるサッカーやバスケットのようだと思い知った。
その証拠として、今の年齢になると、【愛情交換】どころか食事の誘いさえなくなってしまった。
しかも、私のSNSを見て、目をハートにして言い寄ってきた10段くらい格下の男性でさえも私に見向きしてくれなくなった。つまり、得点するチャンスがあと何回残っているのか分からないから、ある程度で妥協して決めるべきだった。
自分よりも優秀な男性からパートナーを探そうとしたことが間違っていた。
そんな数えるほどしかいない少ない男性を取り合うなんて、効率が悪すぎた。
ペットショップで買ったワンちゃんは、ある程度はさみしさを埋めてくれる。しかし、同じ金を掛けるならヒト科のオスにするべきだった。
はげしく後悔しているときに、セカンド様と出会った。
◇
「昼子、起きてください」
優しい声に導かれて、目を覚ますと優しい笑顔のセカンド様がいた。
「セカンド様、おはようございます」
「おはよう」
そう答えたセカンド様は、どう見ても21歳の若く美しい姿だった。
本当に、うらやましい。わたしもその頃に戻りたい。
調整器の中から起き上がると、わたしは裸のまま、大きな鏡の前に連れて行かれた。
鏡の中には、大きな胸で張りがあり垂れていない、ウエストは細く腹筋が割れて見える、お尻も大きく、美味しそうな長い手足の美しい女性がいた。
後ろを向くと、背中も美しく、お尻も垂れさがることなく、盛り上がっていた。
みずみずしく張ったたるみが無い美しい肌だった。
その女性の顔を見ると、若さにあふれた張りのある健康的な整った顔立ちがあり、目の周りのしわもない凛とした文句なしの美女がいた。
そう、これは、わたしが21歳ごろの姿だ。
後ろから私の肩に両手を載せて、顔を近づけながら、セカンド様がささやいた。
「どうかしら? これ以上ないくらい美しい仕上がりでしょ!」
「え、ええ、ありがとうございます。夢を見ているようです」
「夢ではありませんよ。現実味が出るように、スペックをお伝えしますね」
セカンド様は私に、ボードにはさまれたカルテを見せながら、数値を読み上げた。
「身長 172cm
体重 62kg
バスト 95cm
アンダー 70cm
カップ Gカップ
ウエスト 65cm
ヒップ 95cm
まあ、トップモデルの上位1%の体型ですね。
ご満足いただけましたか?」
私は申し訳なさそうに答えた。
「できることなら、バストはEカップが良かったわ。
書類仕事をするときに胸が大きすぎると邪魔だから。
いえ、ぜいたくな要求だとは理解していますが...」
セカンド様は、気を悪くすること無く、穏やかに答えた。
「【理想の美女7人に愛される生活。】の冬香たちと同じ数値ですよ。
もっとも、体重は触れられていませんでしたが...」
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