001 貴方は誰ですか?恋愛相談って何ですか?
初の現代恋愛物です。
甘酸っぱく書きたいけど・・・
※会話「」が多いです!
美月は、校内のカフェテリアで、同じ科の友人2人を待ちながらアイスコーヒーを片手にスマートフォンを開いた。SNSアプリに通知が1つある。
そのままタップして開くと知らない名前。【中村雄大】からのメッセージが届き開いてみると混乱した。一応、スクロールをして読んだらそれが恋愛相談のメッセージだったから・・・。
とりあえず思ったのは、君は誰だという話だ。窓を開いて読むと同じ学校の違う科の人だった。その科に友人もいるし飲み会にも出たことがある。しかし、連絡先を交換したのか顔も思い出せない。
高校が別で久しぶりに再会した幼馴染の男友達と、高校からの男友達。学校に入ってから同じ講義を選択していて仲良くなった女友達。その子たち繋がりで最近増えた交友関係の中に【中村雄大】は美月の記憶になかった。美月は人を覚えるのは得意だけど心配性だから交換した人の登録名の横に()で情報を書き足す。
それが無い。美月が忘れているだけか返信すべきか、ブロックすべきかとと思いながら読み進めていると、連絡先は美月の【高校からの男友達】吉田大輝から聞いたと書いてあった。
とりあえず、開いた窓を閉じてトーク一覧に戻り「高校からの男友達」である吉田大輝の【Daiki(北高/E制科)】の窓を探してタップする。
先に怒り顏のスタンプを探して押して続けてメッセージを送る。
『ねぇ。知らない男からメッセージ来たんだけど?』
すぐに既読になるのでそのまま待つとメッセージじゃなくて、通話の呼び出し音が鳴る。溜息を吐きつつアイスコーヒーを持ってカフェテリアのテラス席に移動しながら通話ボタンを押す。
「ごめん!美月!中村君が美月に恋愛相談したいらしくてさぁ~どうしても連絡先教えてって言われて・・・断れなかった!」
断れなかったじゃない!が・・・この男はそういうやつだ。押しに弱い。優しくていいやつなんだけど、いいやつなんだが押しに弱い。男社会では生きていけなそうな程押しに弱い。
「・・・・・・」
「ごめん。美月ぃ~怒ってる?」
「むしろ、怒らないと思っているの?」
思った以上に低い美月の声に、ヒィの小さく悲鳴を上げて真面目な声をして大輝が話を続ける。
「いいえ、ごめんなさい。この埋め合わせは必ず!」
「んじゃ、《すぱいす》驕りで!」
「分かった!驕ります!驕らさせて頂きます!」
よし、無料奉仕では無くなった。私はなんとか溜飲を下げる。そして件の人の事を話し出そうとするがほとんど一瞬しか見てない名前など覚えていない。
「んで、あの・・・人・・・」
「中村君?」
「そうそう。中村君?の相談は乗った方がいいわけなんだよね?」
「そうしてくれると助かる・・・」
「んじゃ、その相談の日の夜に驕って!愚痴るから!颯太にも声かけるから!バイトの休みの日をメッセージで送って!」
「・・・・・・はーい。送迎もさせて頂きたいと思います」
「是非!めっちゃ飲むのでよろしく!」
怒気を孕んだ笑顔でそう言って電話を切った。顔は見えないけどまあまあ長いつきあいだからわかるだろう。と思う。たぶん。
そのまま、SNSを開いて先に「Sota.Y」の名前を探し『夜空いてる日』を聞いたメッセージを送り、【中村雄大】の窓を開き返信を打つ。
『大輝から聞きました。何で私ですか?』
知らない人の恋愛相談に乗るくらいなんだから理由くらい知りたい。既読はすぐにはつかないのでそのまま画面を閉じる。その途端、後ろから声がかかる。
「美月!珍しいね。テラス席とか!」
「あぁごめん。電話してたから朔來だけ?美咲が来る前に店内の席探そうか!」
「だね!美咲、紫外線駄目だもんね!あっあっち空いてるよ!」
朔來の誘導で席を移ると丁度美咲も来たので、課題の話を始めた。そのまま講義に向かって夕方までメッセージの事は忘れていた。
最終講義が終わると、教室前で幼馴染の山崎颯太が待っていた。颯太とは小学校が一緒の区域で徒歩では遠いけど車だと近い距離に家があるので余程の予定が無い限り交互で車を出して学校へ来ている。ガソリン代の節約と、楽ちんの相互扶助である。
「なぁ。さっきのメッセ何?」
「あぁ。《すぱいす》に飲みに行こう!」
「あぁ。とりあえずバイトのシフト送った」
「丸ごと?大雑把過ぎん?バイトない日は全部大丈夫なの?」
「まぁ。今のところ大丈夫」
「分かった。大輝のシフトとあの予定が決まりそうな日を連絡するわ!」
「あぁ。大輝も一緒?あの予定って何?」
ポンポンと会話をしながら車に向う。ここでも軽く愚痴っておこう!と美月は少し顰めっ面をしながら颯太に向かう。
「聞いてよ!大輝が知らない男が私に恋愛相談したいからってSNSの連絡先教えてんの!急にその人からメッセきたから吃驚したよ」
「はぁ?そんなの無視すれば良くないか?」
「けど、無視したら大輝がなんか言われるでしょ?お願いもされちゃったし!だから、《すぱいす》は大輝の驕り!」
ニカッと笑って楽しみという美月に今度は颯太の方が顔を顰める。だが、大きなため息をついて諦める。
「お前そういう奴だよな。友達が関係するとなんでも引き受けてたら損するぞ」
「ん~まぁ?恋愛相談だけだし!聞いたら終わりでしょ?」
「そう言いつつ美月狙いなんじゃね?」
「あははナイナイ。私、モテた事無いし!男友達は多い方だけど・・・琴ちゃんからは男兄弟で育ったから男女感が皆無だねって言われた。分け隔てが無さ過ぎるって・・・」
「あぁ。松本。まだ付き合いあるの?」
「あるに決まってるでしょ!琴音と離れるとかマジで無理!」
「あはは相変わらずだな」
笑いながら車に乗り込む。今日は颯太の車なので助手席に乗ってシートベルトをして断りを入れてスマホを開く。颯太からのシフト表と、大輝からのバイト休みで大丈夫な日が送られてきている。
後1人、通知がある。【中村雄大】。気が重いなと溜息をつきつつ窓を開く。
『森さん、山下七海さんと仲いいよね?山下さんの事で相談したいんだけどいい?』
山下七海は、インテリアデザイン科の女の子。颯太たちと同じ科で仲良くなった松尾陽菜ちゃんの幼馴染で、見た目がキリリとして美人で喋り方もサバサバ系。
だけど、数回遊んでいると分かる。なかなかのメンヘラ気味の女の子。毎日、一緒に遊んでいるようなメンバーを急に長期の休みに、みんなをブロックして連絡を無くしたりするかと思えば、ブロックを解除して普通に話しかけたり、急に毎日何回もメッセージを送ってくる。
「七ちゃんかぁ~」
「なに?さっきの相談男?」
「うん。そう山下七海ちゃんが気になるらしい・・・」
「それ、言っていいの?」
「え?知らない。口止めされてないし!流石に颯太に言うなって言われたら言わないけど、うちらが仲いい幼馴染って情報は掴んでから私に話しかけてほしいわ!」
「無茶言うな。でもあれでしょ?山下さんってメンヘラ気味の・・・」
「そうそう。会ってしゃべってる時は普通だから頭がバグるんだよね・・・・」
「俺はあの子無理」
「え?そう?颯太の歴代彼女も・・・」
「あ?」
お怒りの低い声が隣から聞こえたので、美月は言葉を続けるのを辞める。
「いいえ。何も」
「俺から告ったことねぇし」
「それは、モテ自慢かい?」
「なんでか、俺がフラれるし」
「何も羨ましくないね」
ケラケラと笑いながら返すと、ふてくされたらしくだんまりになる颯太。勝手に自慢して、勝手に自爆した幼馴染は放置してスマホの画面に視線を戻して返信を考える。
正直、山下七海ちゃんとは仲がいいとは思っていない。けれど、何故かあっちが美月を気に入っていて、周りをブロックしても美月だけ連絡取れたりする。一緒にブロックしたらいいのにと思った事は1年しか付き合いが無いのにすでに何回もある。
【中村雄大】のトーク窓に返信を送る。
『仲いいかな?陽菜ちゃんの方が仲良くない?幼馴染だし!』
既読はすぐについて、すぐに返信が来る。
『陽菜は天然だから無理。話が進まん』
ん~それも分かる。松尾陽菜ちゃんは大輝や颯太と同じエネルギー制御科の紅一点。身長は高めだけど、顔も性格もほわほわの可愛い系。私はそのずれっぷりも大好き。何故か、女の子にすごく優しいので女子人気は高いんだけど、男子は両極端に別れるらしい。守ってあげたい系と認識して高感度が高いか、珍獣扱いになり女子として認識するのを辞めるか・・・。
「あーわかるけど、言い方。私の陽菜ちゃんになんて事を言うのよ!分かるけど・・・」
「お前、独り言は家に帰ってからにしろ。それに松尾はお前のじゃない」
「おっ!颯太は陽菜ちゃん可愛い派?」
「・・・珍獣派」
「そっか。貴方と私は相容れないわね!」
「別に女の好みは被る必要が無いちゅーか。お前は女が好きなのか?」
「え?女も男も好きよ?」
「・・・・・あーはいはい。ソーユーヒトデシタネ・・・」
「なによぉ~」
「恋愛を知らないおこちゃまに恋愛相談って事故物件だなと思って」
「本当にね!何で?私、女の子にも良く恋愛相談されるんだけど!」
「あぁ〜雰囲気じゃない?話聞いてくれそうな雰囲気」
「雰囲気・・・なんか変なフェロモン出てる?恋愛相談窓口みたいな?」
「あぁー出てるかも!まぁ、頑張れ!」
「ちぇーっ!まぁ頑張るよ。さっさと終わらせて《すぱいす》行く!」
画面に目を戻し、返信をする。
『まぁ。私も話を聞くくらいしかできませんけど』
『ありがとう!メッセって苦手で会って話したいからさ!金曜日とかどう?』
既読をつけてしまったけど、窓を【Sota.Y】を開いてシフトを確認しながら隣にいる颯太に話しかける。
「ねぇ。今週金曜バイト無いけど大丈夫?中村雄大さんがこの日がいいんだって」
「は?相談男、中村なのか?」
「あっ」
「おーい!んで、中村が山下好きなのか?」
「あぁ。そうなりますね。すまん中村氏。颯太様、他言無用でお願いします」
「まぁ。別に誰にも言わないけどさ。お前も勝手に話すなよ」
「だね。颯太だけにするよ」
「・・・・・」
「んで、金曜イイ?」
「ん?何で、金曜俺の用事聞くんだ?」
「あぁ!相談のあと大輝に《すぱいす》で驕ってもらう約束!私のストレス発散に付き合ってぇ~!あっ大輝のシフト確認してないや」
慌てて大輝の空き日を確認する。駄目だった。次の週の金曜なら空いてる。颯太のシフトも確認すると空いている。珍しい。
「ねぇ。颯太。来週の金曜。ってかシフト金曜しか空いてないけど予定入れてもいい?」
「あぁ。いいぞ」
「OK」
SNSを再び、【中村雄大】に戻してメッセージを送る。
「『今週は無理なんですけど、来週はどうですか?夜から予定があるんですが夕方なら大丈夫です』よっと」
「全部口に出して打ってる・・・」
「だって、乗り気じゃない返事って考えてじゃないと送れなくない?」
「そもそも返さねぇ」
「あぁ。そういえばソーユーヒトデシタネ」
先ほどの言い方を、言い返しながらちょうど会話の切れ目にいつも降ろしてくれる家の近くに着いた。
「着いたぞ」
「サンキュー。んじゃ来週金曜は空けといて!」
「あいあーい。んじゃ、明日はお迎えよろー」
「りょーかーい!明日ねぇ~」
バイバイと手を振って車が発進するのを見送ると美月は家に戻るために歩き始める。またスマホがブルっと震える。【中村雄大】からのメッセージが入ってきた。
『ありがとう!じゃあ、来週金曜よろしく。講義終わりでいいよね?』
『そうですね。その時間で』
メッセージを送ると会話を終了させた。
読んで頂きありがとうございます!
~登場人物~
森 美月 21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科
6/12生 何かと人に相談されがちな事が少し気になる今日この頃
体系にコンプレックスを持っている 男兄弟の真ん中
山崎 颯太 20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科
7/28生 美月の幼馴染 幼小中 高校は別で、同じ1浪して同じ大学で再会した
吉田 大輝 20歳 1浪大学2年生 エネルギー制御科
11/25生 美月の高校からの友達 押しに弱い男
山口 美咲 21歳 1浪大学2年生 ITビジネス科
12/14生 大学からの友達 色白小柄で可愛い 男子が苦手
田中 朔來 20歳 大学2年生 ITビジネス科
6/23生 大学からの友達 スポーツウーマン背が高い 同じ科に彼氏がいる




