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アストレア1

記念すべき40話はこんなに愉快な異世界でッ!!のあのキャラが出ますね。

陰鬱、惨憺、焦燥、闇弱、驕傲、散漫、欺瞞、憤怒、怠惰、色欲、強欲、傲慢、暴食。


ーーー嫉妬。


◆◆◆


「成る程、至れなかった時か」


俺は第二階層にいた。

というのも道化の第二階層を思い出したからに他ならない。

道化の心象迷宮の第二階層は見ているだけで自動的に第三階層に移動した。

つまり、心象迷宮には階層に対応して戦闘以外で先に進める手段が存在する。という事らしい。


泥に足を取られた俺は「やられた」と半ば無意識に言ったのだ。

すると眼球の垂れた人形達は喜び、口々に「わるものをやっつけた!」と喝采を叫びそのまま俺は第ニ階層に転移した、というのが今までの流れだ。


「………」


階層の名前からして恐らく俺のしたかった事、なのだろう。弱きを助け、強きを挫く英雄ごっこが。

まぁ、それに至れなかったから『至れなかった時』なのだろうが。所詮、胎内での刷り込みに過ぎないが。

今では善を嫌い悪を憎み、忌善怨悪をモットーとするくらいには屈折してしまった。

そんな自分が本当に汚らしい。

けれど、自分の正義を押し付けるエゴイストになるよりかはまだ、マシだ。

押し付けるエゴイストよりエゴを掲げながら生きるエゴイストの方が万倍カッコ良い。


「平塚に毒されたか…それも悪くないな。養子の話もあながち夢物語じゃないのかもだ」


ここは『第二階層、養父の鎖』。


「でも、連戦でキツイがこれは越えなきゃならない。絶対に」


『第二階層、養父の鎖』は闘技祭のコロッセオを彷彿とさせる円形の戦場だった。地面は濡れて黒く染まりまた足を取られそうだ。気を付けなければ。

そして、特徴的なのは至る所に張り巡らされた鎖だ。これも何かの象徴なのだろうか。


最後にー。


「アス、トレア?」

「やぁ、準備は整ったかな?」


最悪だ。


宝石で出来た右腕と白銀の天秤。

それには見覚えがあった。

見覚えがあり過ぎた。

正義の神、アストレア。死後の俺の教育係を担っていた最低な神だ。

誠実さの皮を被った軽薄で狡猾な神の印象が強い。

ヤツの語る正義は最早正義ではなくただの詭弁であり、ヤツが正義を唱えればそれだけで金の時代が終わりを告げ、再び正義を唱えれば今度は銀の時代が終わり、最後に正義を唱えれば銅の時代が終わりを迎える。

ロクでなしという事だ。

しかし解せない。

何故、こんな所にいる?

俺は宴会の日にアムリタをグビグビと飲んでヘベレケになったアストレアから人間の要素を剥奪した後に殺害したはずだ。丹念に。なのにヤツには人間を模した右腕がある。これは…。


「心象迷宮か…」


答えは一つ。象徴としてヤツの姿が脳裏に焼き付いているからに他ならない。


「そろそろ良いかな?僕としては教育を開始したいんだ」


拳を握り締める。

第一階層の人形のせいで既に体は死に体。それでも負けられない戦いがあるのだ。凡その力を発揮出来ないこの状況下での戦闘は控えたい。


それに、アストレアが俺を体のいい殺神兵器に仕立て上げたのだからアストレア本人の実力は異様に高い。

ヘベレケになってさえいなければ普通に鎧袖一触とまでは言わないが軽く捻られていただろう。


少しでも間違えたら死ぬ。


心臓が痛い位に鼓動する。最早緊張感を感じてはいない。感じているのは屠殺場の家畜の気分。即ち、諦観。

どうしようもない。

理不尽、鬼畜、言いたい事は沢山あるが、どうやら運がもう尽きたらしい。


「先に始めることにしようか」


あぁ、クソ。もっと善行積んでおけば良かった。

肉薄するアストレア。

がー。


俺の右手は的確に浮遊するアストレアの右手をいなしていた。


「軽い?」

「まだだよ」


突き、殴打、手刀。

どれもこれも薄っぺらい。

片手だけで全てを受け流した。


「あ、そうか。俺はお前を殺したから必然的にお前が強制的に俺に対しての弱者になるのか」


一人合点し、攻勢に出る。


「反撃させて貰う」


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