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4人のクズなイケメン観察日記 〜ただの観察対象だったクズ男達が、なぜかやたら距離を詰めてきます〜   作者: ぷる美


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第28話 それぞれの一歩

28話です。

それぞれの男たちのアプローチが本格化し出します。

翌日の夕方。

授業が終わりキャンパスを出ると空がオレンジに染まっていた。

買い物に出かけようと思い、駅前に向かう。


今日は平和な1日だった。

そう思った矢先、通りがかりの公園のベンチに見覚えのある長身が座っていた。


理人だった。

珍しく1人で本も開かず、ぼんやりと夕焼けを眺めている。


普段あれだけ隙がないのに、今日はどこか無防備な様子だった。


これは珍しいと思い、イタズラ心が騒ぎだす。

誰も見ていないことを確認し、静かにうしろから近づく。


そして、そっと背後から手を伸ばし、「だーれだ?」と言ってみる。


指先が東海の目に触れる直前。

ぱしっと手首を掴まれた。


「あ…。」


「気配でわかります。」

振り返りもせずに言われた。


「どうもすみません…」


ため息をつかれたが、振り払わない。

手首に触れた指の感触は、細いのに意外としっかりしていた。


ようやく顔を横に向け、

「……瑞希、ですか。」


珍しく、この茶番に付き合ってくれた。

嬉しくなって「正解!」と言った。


ぱっと手首離す。

「驚かせようとしたんでしょうが、相手が悪かったですね。」


夕陽が理人を横から照らしている。

少しだけ、いつもの皮肉めいた笑みが戻ったが、すぐにまた、どこか気が抜けたような表情になった。


前を向き直る。

「こんな時間にどうしたんですか。帰ったんじゃなかったんですか。」


「帰りがけに買い物をしようと思いまして。そしたら理人くんが黄昏てたから…」


「……そんな風に見えましたか。」

珍しく否定しなかった。

夕空を眺めたままだった。


「少し考え事をしていただけです。」

風が吹いて、理人の髪が揺れる。


「最近、自分が思っていたより面倒な人間だったと気づきましてね。」

いつもより、声のトーンが落ちていた。


それは初めて見る理人だったが、素直な感想が出た。

「今更ですか?」


理人は一瞬きょとんとして、それからふっと笑う。

「……確かに。今更ですね。」


理人がなんの皮肉もなしに笑っているのは、非常にレアだった。


笑いを収めて、少し間が空いた後、

「アナタのせいですよ。」

さらっと言った。


「え…?」


夕風に紛れそうなくらい、自然だった。


理人は立ち上がって鞄を肩にかける。

「アナタが来てから、私たちは少しおかしくなった。……私も含めて。」


「それは、すみません…?」


静かに首を横に振る。

「謝らないでください。悪いとは言ってません。」


そういうと理人は「行きますよ」とでも言いたげに歩き出した。

行く方向が同じらしい。


前を見たまま、独り言のように

「ただ、慣れてないんです。こういうのは。」


聞こえるか聞こえないかくらいの声量だった。


二人は並んで歩いた。

あまり会話はなかったが、不思議と気まずくはなかった。


夕暮れの住宅街。

どこかの家からカレーの匂いがした。


理人がふと足を止める。

「私はここです。」


洒落たマンションの前だった。

前に来たことがあるので、知っていた。


「おしゃれなマンションですよねぇ」


それを聞いた理人は、少し得意げだった。

「でしょう。家賃は折半ですが。」


「折半?誰かと住んでるの?」


そう聞くと、一瞬だけ間があったが、答えてくれた。

「……夜霧と。」

「正確には、宿がない期間のみですが。最近はずっといますね。」


「なるほど。」

宿とは、セフレの家のことだろう。


そんなことを考えていると、怪訝そうな顔をされてしまった。

「なるほどって……何ですか。」


声に出ていたらしい。

「…お二人は相性が合いそうですからね。お部屋はいつも綺麗にしていそうだなと。」


「そうですか。まあ、綺麗にしているのは事実ですね。」


それだけ言うと、マンションのエントランスに手をかけながら、

「では。また明日。」と言って帰っていった。


理人の背が自動ドアの向こうに消えた。


駅前のスーパーに到着し、買い物をしているとポケットのスマホが震えた。

湊からの電話だった。


「おう!!俺、今日の晩飯カップ麺やねんけど栄養的にどう思う?」


あまり用事はないようだ。

ただ話したいだけなのか、適当に返事をしておいた。


「…心の栄養的にはいいんじゃないかな」


「心の栄養てなんやそれ! お前おもろいなぁ!じゃあ明日から毎日カップ麺にするわ」


健康面が心配すぎる返しだった。

「流石に…それは…」


「えー ほな何食えばええねん」


「スーパーとかコンビニでなんでも買えるよね?お惣菜とか。」


「スーパーとかコンビニ行くのがめんどいねんな笑」


「頑張ろうよ…」


その後も10分くらい、今日あった出来事など他愛もない話に付き合わされた。

買い物が終わり、自宅に着いた頃にはすっかり夜になっていた。


お風呂や夕食を済ませ、布団に入る。


翌日の夕方、今日はすでに帰宅していた。

昨日と同じような時間に湊から電話があった。


「結局スーパー来てみたわ!偉ない?」


スーパーに来たよという報告だった。


「…えらいね!」


昨日の話を本当に実行したらしい。

その後、買い物が終わるまで、唐揚げが安いだの野菜は嫌だのという話を聞かされた。


一体、何の報告だったのだろう。


そう思いながら、ベランダでたばこを吸っていると、携帯が震えた。

個別チャットで、理人からだった。


『今度の休み、空いていますか』


それだけの短いメッセージだった。


昼間の彼の言葉を思い出す。

『ただ、慣れてないんです。こういうのは。』


何の誘いなのか。

聞くのが少し怖かった。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

私は、休日の予定を聞くならなんの誘いなのか先に教えて欲しい派です。

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