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雨の日なので、バントの練習

 雨の日は、学校のグラウンドが使えない。


 体育館も混雑(こんざつ)しているので、まともな練習(れんしゅう)ができそうにはない。


 校舎(こうしゃ)の廊下(ろうか)で短距離ダッシュ・・・・・・というのも、難(むずか)しい気がする。


 実は先日、その練習をしていて大変なことになった。


 二人ずつ非常ベルに向かって走り、どちらが先にボタンを触(さわ)るか、という短距離ダッシュ。ボタンには軽く触るだけだ。強く押(お)してはいけない。


 ところが、この練習に熱(あつ)くなりすぎて、非常ベルが鳴り響(ひび)くこと十回以上。


 竹刀(しない)を持った体育教師から、


「アホなことをするな!」


と、二時間もお説教(せっきょう)されてしまったのである。


 なので、今日はやめておこう。たぶん五時間はお説教される。


 では、何をするかというと、


「部室でバントの練習をしよう」


 反対する者はいなかった。すぐさま部員全員で、野球部の部室へと移動(いどう)する。


 部室の奥(おく)には、古い家庭用ゲーム機が隠(かく)してあった。


 それを取り出し、古いテレビにつないで、準備はOKだ。


 ゲーム機を起動すると、あとは順番にバントの練習をするだけ。


 ルールは簡単だ。画面下部にある棒(バー)を左右(さゆう)に動かして、こちらへと飛んでくるボールに当てる。そうやってボールをはね返し、画面上部にある複数のブロックを、破壊していくのだ。相手の守備をボロボロにする。


 世間(せけん)では『ブロックくずし』と呼んでいるみたいだが、この野球部では『バントマスター』と呼んでいる。


「みんな、バントの技術が上がってきたな」


 これは遊(あそ)んでいるのではない。バントの練習をしているのだ。狙(ねら)った方向へと、ボールを転(ころ)がす練習。


 なお、晴(は)れの日にも、たまにやっている。うちの野球部は、バントを軽視(けいし)しないのだ。


次回は「球拾い」のお話です。

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