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悪役令嬢様、その依頼お受けします  作者: いぶさんた
悪役令嬢編
10/40

ユリウス様

ブックマーク、評価ありがとうございます。


最後までよろしくお願いします


ユリウス様が学園を休むようになって一ヶ月以上は経ったと思う。

夏の休暇まであと10日になった。いつまでこの生活を続けるのだろう。


そういえばお爺様と会話したのはいつだっけ。姿を見てもすぐに出掛けてしまって、夜遅く帰ってきているらしい。


やっぱり王子とエリシア様の件だろうな。


私は学園に通っている。私の出来る事は学園での王子の様子を報告する事だと思って毎日報告書をトマスに渡している。役に立たないかも知れないけれど、なるべく細かく報告してるつもりだ。


王子の様子を伺えない時は令嬢達の事を書いている。


相変わらず王子は気さくに話しかけてきてくださるが、ユリウス様がいないので昼食を一緒にするのはお断りした。ユリウス様から

『それはダメだろう』

と言われそうだけれど私一人であの中に入れないよ。


ローズに一緒に王子と昼食をしようと頼んだけれど断られた、

「絶対に嫌」と。

そうだよね。その気持ちわかるよ。


令嬢達はお互いを牽制し合いながら微笑んでいるんだよ。目は笑っていないのに。

顔には出さないけれど気持ちはどうなの?と聞きたくなる。これが貴族令嬢なんだ。と思い知った。

私には難しい。出来そうにない。


昼食は同じ食堂で食べているから様子はわかるので外から観察、偵察で良しとしよう。



最近のロザリエンヌ様は積極的だ。婚約者のユリウス様がいないせいだろう。

廊下を歩いている時は王子の腕を取り、食事の時は甲斐甲斐しく世話を焼いている。


王子は嫌がるわけでもなく、かといって嬉しそうな感じも無く、粛々と任務を遂行しているよう。

そのせいか、余計にロザリエンヌ様の執着が目立つ。


キャサリン様はロザリエンヌ様が暴走しないように所々で口を挟み王子を護衛しているように見える。

やっぱり王子とキャサリン様の間には戦友のような信頼があるみたい。


エリシア様は……見ているのが辛い。

ロザリエンヌ様に

「ユリウスという婚約者がいるのだからもう少し行動を考えて欲しい」

と注意すると

「エリシア様は私に意地悪を言うのです」

などと王子に訴え、王子も王子でロザリエンヌ様を咎めることもせずに

「そうか」

と言うだけでエリシア様を庇うこともしない。

肯定してるようにさえ聞こえる。かといって

ロザリエンヌ様を庇ってエリシア様に何か言うわけでもない。


王子、何を考えているんですか。


こんな事が何度も重なってエリシア様は嫉妬した悪役令嬢と呼ばれている。


エリシア様の言ってる事のが正しいのに。

ロザリエンヌ様の思う通りになってる。悔しい。


この気持ちを誰かに言いたいけど言うわけにいかないからストレスが溜まる。ユリウス様がいれば私の怒りをわかってもらえるのにこんな時にいないなんて。


何やってるのよ!





―ユリウス・スタンジェイル公爵令息―


久しぶりに学園にきた。といっても、姉上を迎えに来ただけなので授業の終わった3年の教室にいる。姉上は何処かに行ったようで教室には誰もいなかったので、少し待とう。


「ユリウスじゃないか。ずいぶん見なかったけれど元気そうだな。良かった」

ジルベール殿下が隣にロザリエンヌを連れて教室に入ってきた。


この女が自分の婚約者だと思うとうんざりする。

顔に出ていたのか


「ユリウス、どうした?

ロザリエンヌ嬢、ユリウスは貴方の婚約者なのだから二人で話をしたらどうだ。何か誤解があるといけないからね」


殿下はいつもの微笑みを浮かべてロザリエンヌを私の前に押し出した。


「それ『何故ですか』は」

私返事をしようとしたらロザリエンヌが真っ赤な顔をして殿下に向かって叫んでいた。


「私は、私は、ジルベール殿下をお慕いしています。父にはユリウス様との婚約を破棄してもらうように頼んでいます。殿下は、殿下は…」


ハッと、ロザリエンヌはしまったという顔をして私を見て、そして、殿下を見て、走って行ってしまった。

今の言葉を聞いて殿下はどう思ったのか。


「まいったなぁ。ユリウス、今のはロザリエンヌ嬢の戯言だと思って忘れてほしい」

殿下は、そう言ってロザリエンヌの向かった方へ歩いて行った。追いかけて行ったようだ。

殿下は、喜ぶでもなく、驚くでもなく淡々としていた。


殿下のおかげでロザリエンヌから聞きたい言葉を引き出せた。これで計画がまた進むだろう。


殿下の言葉はこれを見越しての言葉だったのか。

「まさかな」

そんな事を考えていると姉上が教室に戻ってきたので一緒に帰った。


殿下に持った少しの疑問はとりあえず置いておこう。



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