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第九話

 気持ちのいい風が肌を撫でていく。まるで俺の今の気持ちをあざ笑っているかのようだ。

 俺は神殿の入り口の隅でひざを抱えて座り、少しずつ暮れていく空をぼんやりと見上げていた。

「きれいな夕焼けだなぁ……」

 本当にきれいな夕焼けだ。太陽が複数あることなんて全く気にならない。

 視界の端に、鬱陶しそうにこちらをチラチラ見ている警備兵の姿が見えたが、気にしてはいけない。


 トテトテトテトテ。

 小さな動物が歩く音がしたので顔をその方向に少しだけ動かすと、凛が鳥の姿でこちらを見上げていた。

 そういえばいきなり全力で走りだしたから、肩に乗っていた凛は驚いて振り落とされたのだろう。少し悪いことをしたな。

 この世界にいきなり放り込まれてからというもの、こいつとずっと一緒にいるのだ。

 俺の中ではエステアと同じ鬼畜という箱に入れているこいつだが、俺のサポートとして一緒にこの世界に来てくれたのだし、なんだかんだ言いつつも心配してきてくれたのだろう。

 やはり最後に頼りになるのはこいつなのかもしれないな……。

 凛が俺の傍まで寄ってきてボソリと呟いた。 

「コータは痛々しい発言をしないと、生きて行けない病気なの?」

「俺のことを心配して来たんじゃねぇのかよっ!」

 警備兵が何事かとこちらを振り返る。しかし、俺と目が合うと気まずそうに目をそらした。

 俺に味方してくれるようなやつはいないのかよ……。


「……なぁ、この世界って何なんだ?」

 唐突にずっと聞いてみたいと思っていたことを聞いてみる。

「質問の意味がわからない。この世界というのはどういう世界なのかという質問であれば、私には分からない。知っているのは元の世界とは違う世界ということだけ」

「そうか……。いや、異世界の割には言葉も文字も分かるし不思議に思っていたんだ。これは川神……うちの神様の力なのか? それに、元の世界に帰る方法はあるのか?」

 そういって凛の方を見るが、鳥の姿なので表情は殆ど読み取れない。

「言葉や文字については神様の力。本来あまり力のある神様じゃないけど、頑張った。私とコータをこの世界に送ったのでもかなり力を消耗したはず。たぶん今は向こうの世界で虫の息。帰る方法については今のところ分からない。神様は虫の息だし、たぶんこの世界で方法を探すしかない」

 やっぱり言語については神様の力なんだな。

 っていうか虫の息なのかよ!? そんなに嫁が欲しかったんだろうか?

「神様は回復するまでにどのぐらいかかりそうなんだ?」

「50年もあればあるいは……」

「もういい……わかった」

 つまりうちの神様はあてにするなということだな。


「コータは……元の世界に帰りたいの?」

 凛が俺の方をじっと見ている。

「そりゃ……」

 帰りたいに決まっている。……そう言おうとして固まってしまった。

 本当にそうなのだろうか。元の世界に帰らなければいけない理由なんて俺にあるのだろうか?

 家族……親が心配するから? 確かに親は心配はするだろうが、引きこもりでニートの俺が帰ったところで向こうにとってプラスはないように思えた。境内の掃除の手間が多少減るぐらいか。

 俺自身も、両親を除けば向こうの世界に待っている人がいるわけではない。元の世界だからという理由で帰ったところで今までと変わらない惰性に満ちた日常を送るだけだろう。

 そこまで考えたところで俺は愕然とした。元の世界に帰らないといといけない絶対的な理由など、俺にはないのだ。 

「いや、今はわからないな……」

「……そう。別に今決める必要はない。この世界で答えを探すのもいいかもしれない」

「そう……だな」

 今は考えてもこれ以上答えが出せるとは思えなかったので、凛の提案に乗ることにした。

 まずは帰る方法を見つけなければ話にならないのだ。帰るかどうかはそれまでに決めておけばいい。

 そう考えると気持ちが少し軽くなったような気がした。凛は俺に気を使ったのだろうか? まさかな。


「あ、こんなところにいた!」  

 不意にエステアの大きな声が耳に飛び込んできた。 

 どうやら俺を探してくれていたようで、リーザとエステアがこちらに歩いてくる。

「コータ! あの、さっきはごめんなさい。馬鹿にするつもりはなかったの。ちょっとびっくりしちゃっただけなの」

 リーザがすまなさそうにこちらを見る。

「私は馬鹿にする気満々だったけどね!」

 ふふんっ、どーだと言わんばかりの態度でエステアがこちらを見る。

 まあ、なんだ、こいつはこういうものだと思い込めば、こういった態度もなんだか少しずつかわいく見え……るかぁぁぁ糞がぁぁ!

「ぐっ、お前をいつか俺の前に跪かせてやる!」

「いつかじゃなく、今やって見なさいよ」

 ほらほらと言わんばかりにジェスチャーで促してくる。

「ごふっ」

 ただでさえ俺のガラス製のハートが粉々だったのに、更にそれを素粒子レベルまで破壊するきか!?

 そもそも他人と言い合いをするような事自体が苦手な俺が、この悪魔の申し子の様なやつに勝てる道理はなかったのだ。


「もうっ、エステア。いい加減にしなさいよ! さっきは、少し言い過ぎたかも……なんて言ってたくせに。ほらっ、あなたもコータに謝るんでしょ?」

「い、言ってないわよそんなこと! それに近いようなことは少し……言った……かも……だけど、それはこいつが思いつめて川に身投げでもしたら困ると思ったからよ!」

 ん? 何か少し話の風向きが変わったようだ。

「エステア!」 

 おおっ、リーザが珍しく怒っている。結構怖い顔するんだな……。

 エステアがわかり易い分目立たないが、何気にリーザもかなり頑固で気が強い。

「ぐっ……、わ、わかったわよ! あんた、一回しか言わないからちゃんと聞きなさいよ!」

 リーザに押されてエステアが折れたようだ。

「お、おう」

「さ、さっきは確かに私もやりすぎたわ。今は反省……してる。一ミリぐらいだけど」

 謝ってるのか挑発しているのか判断に困るが、エステアからしたら一応謝っているのだろう。

「い、いや、俺も熱くなり過ぎたところもあるし。もういいよ」

「じゃあこれで仲直りね!」

 リーザが嬉しそうに言う。まあリーザが喜んでいるからよしとしよう。


「でもこのバングル、本当に何も効果はないのかな?」

 女神からもらったアイテムとはいえ、段々不安になってきた。

「そんなこと無いと思うわ。イーリスから直々にもらったアイテムですもの、きっと何か力があるはずよ。時間はまだあるし、私もできることがあれば協力するから色々調べてみましょう」

「ありがとう、リーザ。でもリーザは何でそこまでしてくれるんだ? イーリスの導きだって話だったけど、俺みたいな身包み剥がされて行き倒れ手前のようなやつは手厚く扱わないといけない、なんていう教えでもあるのか?」

「んー、そんな直接的な教えはないかなぁ。生き物には優しくしなさいみたいなのはあるけどね。私がコータの面倒を見てるのはイーリスの件もあるけど、なんだか放って置けなくて……」

 こ、これは! 今度こそ期待してもいいのか!?

 い、いや落ち着け、フラグなんていつも立つ前にへし折れてばかりじゃないか。冷静に、冷静になるんだ俺。

「ふ、ふーん。そうなんだ」

「コータと話してると、年上なのになんだか駄目な弟ができたような感覚になるのよね……」

 そう言ってリーザは控えめに笑う。

 で、ですよねー! もちろん分かってましたとも。

 何故かエステアと凛がじっとこちらを見ている。な、なんだよ!?


「あ、そうそう、大事なことを忘れるところだった。さっきの学園への報告の件だけど、今日はもう日が暮れかかってるから、明日の朝に向かおうってことになったの。コータもそれで大丈夫?」

「ああ、俺は大丈夫だ」

 そもそもこの世界に来たばかりで何も予定なんてないしな。

「よかった。じゃあ明日の朝、あそこにある時の塔の針が左を指す時に、学園の門のところで待ち合わせでいいかしら?」

 リーザが指差した方を見ると確かに塔が立っており、その上のほうには大きな時計の様なものが付いている。

 普通の時計は1時間刻みで1周12時間だが、あの塔の装置は4つしか印が付いていないし、針も1本しかない。よくは分からないがざっくりと3時間刻みぐらいで考えていればいいのだろうか?

 まあ、この世界の1日が時間に換算して何時間なのかさえ分からないのだ。細かいことを気にしても仕方が無い。

「分かった。俺もそれで構わない」

「エルドお爺さんはラウル司祭ともう少し話をしてから帰るって言ってたから、私達もここで解散しましょうか。私達は学園の中にある寮に住んでるんだけど、門限もあるからそろそろ戻らないといけないの」

「そうか。二人とも今日は色々と本当にありがとう。このお礼は必ずするよ! あ、そうだ、知ってたらでいいんだが、この街の安くて飯のうまい宿をどこか知らないか? 見た目はぼろくてもいいから」

 そういえばまだ今日泊まる宿が決まっていないことを思い出した。俺は飯がうまければ何でもいい。

 凛は食事をするのかわからないが、仮に食べ物を食べられるとするなら、うまい方がいいだろう。

「んー、私はあんまり宿には詳しくないから分からないわ。ごめんなさい。エステアはどこか良い所知ってる?」

「えっ!? んー……、安くておいしい所って事なら雨宿り亭がいいんじゃないかしら? 宿はぼろいけど、食事の味は良いって聞いたことがあるわ。確か街の中心にある大通りのはずれにあったはずよ」

「そうか! ありがとうエステア。恩に着る!」

「べ、別にこのぐらいのこと、大したことじゃないからいいわよ。でも、どうしても感謝したいって言うなら、こ、今度お昼ご飯でも奢りなさい!」

「分かった! 必ずご馳走するよ。」

 リーザにも助けてもらった恩があるし、そのときは一緒に誘おう。

「そ、そう」

 エステアが、なんだか調子が狂ったとでも言わんばかりのなんともいえない顔をしている。

 良く分からないが、少し溜飲が下がった気がする。

「じゃあ、また明日!」

 俺は二人に手を振りながら別れを告げる。

「ええ、また明日ね、コータ」

「明日は遅れない様にしなさいよ!」

「おう!」


 俺は二人と別れた後、肩に凛を乗せて宿のある大通りへ向かった。

 大通りに着く頃には大分日が落ちてきていたが、通りはまだ大勢の人で賑わっているようで、露店もまだやっているようだった。

 宿に着く前に何か買い物でもしてみるか。お金の単位や価値についても確認しないとな。

「ちょっと、そこのお兄さん!」

 前方の露店の男から声がかかる。

「え? 俺のこと……ですか?」

「そうそう。お兄さん珍しい鳥を連れてるね。そんなペットを連れて歩けるなんて、どこかのお金持ちと見た! どうだい? うちの商品を買って行ってくれよ!」

 呼び止められたので思わず男の露店の前で止まってしまった。どうやら貴金属やアクセサリー類を扱う店の様だ。しかし、俺は特に興味がないので、断ってそのまま立ち去ろうとするが、いつの間にか凛が肩から降りてアクセサリーを間近でじっと見つめている。

「ほら、ペットの鳥ちゃんも買って欲しいって言ってますぜ」

 店主が好機とばかりに煽ってくる。

 そういえば鴉は光物が大好きだったな。凛もその例に漏れずやはり光るものが好きなのだろうか?

 いつもはペットと言われると怒るのに、今は目の前の光物に夢中なのか耳に入っていないようだ。

 これから凛の力を借りることはたくさんあるだろうし、ここで恩を売っておくのも悪くないな。

「気に入ったのがあるのなら一つぐらい買ってやるぞ」

 俺は凛に声をかける。今はラウル司祭にもらったお金があるし、少しぐらいいいだろう。

 俺が凛に話しかけたことは冗談だと思ったのか、店主は特に気にしていないようだ。

 凛はチラリとこちらを見るとアクセサリーの方に向き直り、くちばしで1つの指輪を咥えて俺のほうを向き直った。

 その指輪は、銀色に鈍く輝くシンプルな指輪だった。デザインは悪くないが、素材が明らかに上等な金属でないのが、素人から見ても明らかなものだった。

「指輪はもうあるのに、また指輪がいいのか?」

 凛に尋ねるが、指輪を咥えたままこちらをじっと見たままだ。つまりこれを買えということなのだろう。

 既にイーリスからもらった指輪があるため2つ目の指輪になるが、それほど指輪が好きなのだろうか? 

「へぇ、この鳥は珍しいだけじゃなくて、賢いんだねぇ」

 凛の一連の対応を少し賢い鳥、ぐらいに認識したようだ。

 まあ、そうなることを見越してのやり取りではあるが……。

「こ、この指輪はいくらですか?」

 買うものも決まったので、店主に確認する。丁度いいのでここで通貨の単位も教えてもらおう。

 あからさまに吹っかけてきたら、買わずに去ってしまえばいい。小心者なので少し勇気がいるが……。

「んー、そうだなぁ、いいもの見せてもらったから安くしとくよ! 1000ギルでどうだい?」

 1000ギル……手元には金貨10枚、銀貨10枚があるが、どれを何枚出すのが正解だろうか。

 感覚で行くと銀貨1枚ぐらいじゃないかと思うが。

 悩んでいてもしょうがないので、ここは素直に聞いてしまおう。どうせこの金額もぼられているのだろうが情報料だと思えば安いもんだ。値切り交渉なんて俺にはハードルが高すぎるしな。

「す、すみません、実は田舎から出てきたばかりでこの辺りの通貨のことが良く分かってないんですが、1000ギルというのはこの銀貨1枚で足りますか?」

「えっ!? そうだったのか! じゃあもう少し吹っかければ良かったな……。ははは、もちろん冗談さ! 1000ギルはお兄さんの言うとおりその銀貨1枚で合ってるよ。その銀貨10枚で金貨1枚分、つまり10000ギルだ。その銀貨の下には銅貨が丸いのと四角いので2種類あるんだが、丸いほうが100ギル銅貨で、四角いほうが10ギル銅貨だ。その下に1ギルの硬貨もあるが、ほとんど流通してないから覚えなくても大丈夫だろう。しかし、通貨が流通してないというのはよっぽど田舎だったんだなぁ」

 少し苦しい言い訳だったが、露店の男は大して気にしていないようだった。

 ふむ、四角い銅貨=10ギル、丸い銅貨=100ギル、銀貨=1000ギル、金貨=10000ギルというわけだな。

 しかし、1ギル硬貨があるのに殆ど流通していないというのは、物価や値付けの問題だろうか? そういえば確かに露店をざっと見回すだけでも、値段が見て取れるものは100ギル以上の物が殆どだし、一番細かな位でも10ギル単位のようだ。

「勉強になりました。ありがとうございます。ではこれを」

 そういって銀貨1枚を露店の男に渡して指輪をもらう。

「毎度あり! こいつはおまけだ、取っといてくれ!」

 露店の男は商品の脇に置いてあった麻袋をまさぐり目当てのものを見つけると、そう言ってこちらに何か丸いものを放って寄越した。

「わわっ」

 俺は慌てて投げられたものをキャッチする。どうやら食べ物のようだが、真っ青な色をしている。甘い香りがかすかにするが、この世界の果物だろうか? それにしても毒々しいな……。

「そいつはこの街の特産の果物、レナーダだ。よかったら食べてくれ!」

「あ、ありがとうございます。」

 俺は露店の男に礼を言って凛をまた肩に乗せ、露店を後にする。

 なんだかんだ良い人だったな……。そんなことを考えながら通りをどんどん歩いていくと、明かりに照らされた、大きな葉っぱの下に雨宿りする蛙の絵が描かれた看板が目に入った。おそらくこれが目的地の雨宿り亭なのだろう。

 エステアが言っていた通り確かにぼろいな……。二階建てのその建物は、薄暗くなったこの時間でもいたるところが傷んでいるのが見て取れ、倒壊しないか心配になってくるレベルだった。

 俺は勇気を出して入り口のドアを開く。すると一階はどうやら食堂になっているようで、大きな空間にテーブルや椅子がいくつも並べられていた。しかしまだ準備中なのか、食堂に客はいないようだった。

「いらっしゃい! 泊まりかい?」

 この宿の女将さんらしき人が声をかけてくる。どうやら部屋の隅で掃除をしていたようだ。

「あ、はい。この鳥も一緒に泊めてもらいたいんですけど、大丈夫ですか?」

「見ての通りぼろ宿だから、そのぐらいいいよ! その代わりといっちゃあ何だけど、食事もうちでしてくれるとありがたいね」

「えと、知り合いからこの宿の食事がおいしいって聞いてきたので、そのつもりです」

「そうかい、そりゃあ光栄だねぇ。腕を振るうから楽しみにしとくれよ!」

「は、はい。楽しみにしてます。それでここは1泊いくらですか?」

「料金は後払いだけど、泊まりだけなら一泊1000ギル。食事付きなら一泊1500ギルだよ」

 さっきの指輪が1000ギルだったのを考えると安い気もするが、正直まだ相場が全然分からないので比較にはならないだろう。まあ、ラウル司祭にもらったお金は全部で10万ギル以上あるのだ、全く問題ない。

「わかりました。じゃあ食事付きの方でお願いします」

「あいよ! その鳥の食事も一緒に出してあげるから安心しな! おや、それはレナーダかい?」

「さっき露店で買い物をしたらおまけでもらいました」

「そりゃあよかったね! じゃあデザートとして食事の時に出してあげるよ。後、部屋は2階の一番奥右手の部屋が空いてるから自由に使っとくれ。また食事の時間になったら呼んであげるよ」

「ありがとうございます。じゃあ2階で休んでますのでよろしくお願いします」

 そう言って毒々しい果実を女将さんに渡して2階に上がり、奥の右手の部屋に入る。部屋の中には簡素なベッドが1つおいてあるだけで、他の物は一切置いていない。本当に寝るだけの部屋のようだ。

 部屋について安心したのか、急に今日一日の疲れがどっと襲ってきた。俺は耐え切れずベッドに倒れ込み目を瞑る。

「疲れたから少し休む。女将さんが呼びに来たら起してくれないか」

「無理。私も疲れたから休む」

 そういって凛もベッドの上に乗ってきたのか、ベッドが少し揺れる。まあ無理も無い。

 起きれなければ一食無駄になってしまうが、今の俺達には休息が必要だ。

 今日一日で色々な事があった。今日あった出来事をぼんやり思い出そうとするが、疲れで思考がまとまらない。そうしている間にもどんどん意識は薄れていく。


 意識が薄れ行く最中、不意に左手のバングルがじんわりと熱くなっていくような感覚を覚える。

 なんだろう……温かいな……。

 しかし強い眠気の前に、その感覚も徐々に意識の外に追いやられていく。

 そして、俺の意識は暗い闇の中に沈んでいった。


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