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Kindle出版舐めてたら全部でつまずいた専業主婦の記録 ――パソコン苦手な私が地獄を見た話  作者: ちよ


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第二話:登録の時点でもう普通じゃなかった

「とりあえず、登録すればいいらしい」


そう思って、私はKDPのページを開いた。


Kindle出版。

「誰でもできる」「簡単に本が出せる」——そんな言葉だけを頼りに、まずは入り口に立ってみる。


「サインアップ」


それらしいボタンを見つけて、手が止まる。


……これ、何?


ログインは分かる。入るやつ。

じゃあ、サインアップは?


サイン……アップ……?


なんとなく「登録っぽい」とは思う。でも、“なんとなく”で押していいボタンかどうかが分からない。


少し怖くなって、一度調べた。


――サインアップ=新規登録。


あ、そうなんだ。


小さく安心して、ボタンを押す。


次に出てきたのは、Amazonのログイン画面だった。


……待って。


Kindleって、Amazonなの?


Amazonといえば、ネットで買い物するやつ。

そこまでは分かる。でも、それ以上は何も知らない。


これ、Google?

いや違う。

Apple?

それも違う気がする。


じゃあ何?


会社? サービス? 仕組み?


頭の中が、一気に散らかる。


それでも止まっていられなくて、画面を見続ける。


——「アカウントを作成」


……が、ない。


どこにも、それらしいボタンが見当たらない。


あるのは、


・パスワードを表示

・パスワードを忘れた方

・サインイン(やけに存在感のある黄色いボタン)


この三つだけ。


スクロールしても、出てこない。


「……あれ?」


ここで、完全に手が止まった。


どうしようもなくなって、スマホを手に取る。

AIを開く。


「これで助かる」


そう思った。


分からないことを聞けば、正解を教えてくれる存在。

今の私にとっては、それが唯一の道だった。


画面の向こうで、AIは淡々と答える。


『下の方にある「Amazonアカウントを作成」を探してください』


……ない。


どこをどう探しても、ない。


スクロールしても、ない。

見直しても、ない。


「……」


画面と、AIの言っていることが噛み合わない。


どう見てもここは、“すでに持っている人の入口”だ。


でも私は、まだ何も持っていない。


また止まる。


——その時だった。


ふと、最初から二番目の画面の上に目がいく。


小さな切り替え。


今まで気にも留めなかった場所。


よく見ると、「サインイン」と「新規登録」が並んでいる。


……これ?


半信半疑で、押してみる。


画面が切り替わる。


名前。

電話番号。

パスワード。


——あった。


最初から作る人の画面が、ちゃんとあった。


今まで自分がいたのは、「ログイン専用の入口」だったらしい。


「……そっちだったの?」


思わず、声が漏れる。


混乱の原因が、一瞬でつながった。


AIが間違っていたわけじゃない。

Amazonが意地悪だったわけでもない。


ただ、私が入口を間違えていただけ。


分かった途端、ほっとする。


ちゃんと道はあった。


——でも。


同時に、別の感情が浮かぶ。


こんなところで、つまずくの?


まだ何も始まっていないのに。


そして、じわっと込み上げてくる。


……恥ずかしい。


誰に見られているわけでもないのに、妙に居心地が悪い。


こんな簡単なことも分からなかったのか、とか。

もっと普通にできる人がいるんじゃないか、とか。


勝手に浮かんで、勝手に刺さる。


安心と、情けなさと、恥ずかしさ。


それが混ざったまま、次に進む。


名前を入力する。

電話番号を入力する。


——その瞬間、また手が止まった。


番号の頭に、「+81」がついている。


国際電話のマークがついた。なんか怖い。

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