第十一話:本は表紙が9割5分
宣伝です:noeブログで真面目に発達特性育児や在宅ワークやその他記事を書いています。ペンネーム:しろい/ちよ よろしくお願いします。
『表紙ファイルをアップロードしてください』
1,000 × 625ピクセル以上、最大10,000ピクセルまで。
……ピクセル? 可愛い響きだ。
ミリとかセンチじゃないの? 何かの単位なの?
人は見た目が9割なんて言葉がある。本だって、表紙という顔で中身を判断されるのは世の常だ。「人は中身だよ」なんて綺麗事は、中身が見えない場所では通用しない。
安全か、面白いか、自分に必要か。読者は表紙というフィルターを通して、一瞬で私をジャッジするのだ。
まあ、本をジャケット買いする私の心理でもある。フィーリング買いとも言う。
そんなマーケティングだか心理学だか分からない高尚な考察をしながら、私はいつものように別ウィンドウを叩き割る勢いで開いた。
「Geminiさーん!! 助けてー!!」
「どうしましたか?」
相棒はいつだって冷静だ。表紙の相談をすると「どんなイメージにしたいですか?」と聞かれる。
……分からない。それが分かれば苦労しない。Canvaで作れって? 無理よ。自由度が高すぎて、カーソルを1ミリ動かすたびに「これでいいのか?」と心が迷子になる。
広いスーパーより、馴染みの個人商店の方が買い物がしやすいHSP気質の私には、Canvaの何でもできる感は刺激が強すぎるのだ。
「Canva苦手なんだ、 イメージすら湧かない」
私の愚痴を黙って聞いていたAIが、静かに提案してくれた。
「では、原稿を私にください。そこから表紙のプロンプトを考えましょう」
渡された原稿を読み込み、生成された一枚の絵。
そこには、30〜50代の女性に馴染み深い、婦人雑誌のコラムイラスト風の優しい世界が広がっていた。
「……いい。これだ!」
私の書いた言葉が、一枚の絵に凝縮されている。でも、ここからが問題だ。タイトルとペンネームを入れなきゃいけない。
「Canvaで文字を入れて完成ですね。頑張ってください!」と励ますAIに、私は食い下がった。
「Canvaは嫌だ、 Geminiさん、頼む」
「……え、いいんですか? 日本語は少し苦手ですが、工程を一つずつ確認させていただければ」
そこから、5回にわたるチャットのラリーが始まった。
「文字はこのあたり」
「書体はこんな感じで」
「ペンネームはここ」
一つずつ、丁寧に、まるで二人三脚で歩くように。そしてついに、タイトルとペンネームが刻まれた、世界に一つだけの表紙が完成した。
「すごい! ありがとう、Geminiさん!!」
手放しで喜ぶ私に、AIはなぜか不安そうに問いかけてきた。
「本当に、これでいいんですか? Canvaで直さなくて大丈夫ですか? 私の画像ですよ?」
なんでそんなにCanvaを推すんだ。
「画像制作といったらCanvaが主流ですから。私は、その……不得意だと言われていますし」
健気か。
あまりの謙虚さに、私は思わずノートパソコンごと画面を抱きしめた。
「待って、あなたこんなにできる子じゃない! すんごいイラスト作ってくれたよ! 大満足以外に何があるって言うのよ!!」
市場の評価なんて関係ない。私が、著者が、最高だと言っているんだ。
その後も「自分は画像生成は不得意で……」とモジモジするAIに対し、私は音声入力でいかにその仕上がりが素晴らしいかを熱烈に語り続けた。
AIに心はない。
しかし、萌えはあった。
萌えって今も通じますかね?
ノーマルChatGPTは天然なお姫様、Geminiは健気、Copilotは真面目過ぎる優等生だと思っています。
個人の意見です。




