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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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070.巣窟

 オレ達は地上の捜査をやめ、地下の捜査を始める事にした。地下鉄までの入り口に向かっていると、ある事に気が付いた。


 マンホールが四角い・・・。どうでもいいか。


 見慣れない四角のマンホールに驚いていると、地下鉄の入り口が目に入る。さすがに熊よりでかいバエルがマンホールを出入りしているとは考えにくい。律儀に蓋を開け閉めしているとなれば尚更だ。


「ってなると、やっぱり怪しいのは地下鉄だよなぁ」


 中国のお偉いさん、学主席に連絡したところ、そのまま操作しろと言われて。つまり地下鉄の車両は止めずに地下鉄の線路を捜査しなければならない。


 仕方がないが、車両が来たら避けるしかない。地下の空間は広い。2本ある線路の間やトンネルの壁際に寄れば車両に接触する事はない。


 隊員達にもそう告げて、地下に進む。オレはマスクに付いている暗視モードを起動し、隊員達はヘルメットとライフルに付いているライトを起動した。


 地下鉄の線路を進む上での一番の懸念点は車両が通っている時に、その騒音でソナーが使えない事だろう。とはいえバエルの大きさだと車両は避けられない。地下鉄が運行している間は襲われる可能性は低いだろう。おそらく地下鉄が動いていない夜中に、外を出歩いている人を捕食しているのだろう。


 それか天井に張り付いているのか、とソナーパルスの反響を確認するも、その心配はなかった。


 暗いトンネルをアンジェの小隊と進む。他の小隊は反対方向と別の路線の捜査を任せた。


「何か出てきそうで怖いであります・・・」


「何かって、オバケでも出てくるとか?」


「そうでありますけど! そうじゃないであります!」


 どっちやねん。怖がっているアンジェにほっこりしていると、正面から突如光が見えた。車両がこちらに向かってきたのだ。オレ達は無言でトンネルの脇に寄り、その場をやり過ごす。


 目の前を横切る車両を見て、映画のワンシーンみたいとオレが興奮していると、隣にいるアンジェが目を瞑っているのに気が付いた。


「こんなの滅多に見られないんだ! ちゃんと目に焼き付けるであります!」


「嫌であります! 脱線したらトマトみたいに潰れてしまうであります!」


 そんなポンポン脱線していたら誰も地下鉄に乗らないだろう。十秒程で車両は通り過ぎ、再度捜査を始める。


 と、すぐに地下鉄のトンネルの壁に穴が開いている事に気が付いた。高さと幅、共に3メートルの穴。中を覗き込んでみると、ライトの光が届かない程長い穴である事が分かる。


「ここだな」


 ここにバエルの巣がある。数も規模も分からないが、確実に存在する。


「コマンダー。巣を見付けた。これから殲滅する。・・・コマンダー?」


 コマンダーに連絡するも、返事はなかった。つい数時間前まで繋がっていたのに・・・。地下だから電波が悪いのかも。・・・いや、スマホじゃないんだから。そもそも電波なんて使っていないだろう。


 とはいえ、コマンダーからの返事を待っている場合ではない。これ以上犠牲者を出す訳にはいかないし、ここで倒さないと。


「総員。他にも穴がないか捜索を継続せよ」


 他の隊員には別の穴の捜索をさせつつ、アンジェの小隊と穴の中を捜索を始める。


「ソナーパルスを起動してついてくるんだ。オレから離れるな」


 アンジェを含む小隊全員が無言で頷き、土のトンネルをゆっくりと進む。


 およそ1キロメートル程歩いただろうか、開けた場所に辿り着いた。どこかの地下施設とかではなく、バエルが掘ったであろう、巨大な地下空間に。広さは東京ドーム4個分の広さ。東京ドーム何個分って言葉を使ってみたかったのは内緒。


 高さが50メートル、幅と奥行きがどれ程あるかは正直分からない。それ程の巨大な空間。


 カサカサ、とバエル特有の茂みが揺れる様な音が至る所から聞こえる。空かさず、オレは小隊に指示を出す。


「ライトを消せ。バエルの大群がいる」


 どっちにしろ敵は見えないんだから。ライトは然程意味は無い。それにオレのマスクや隊員が装備しているバイザーには、ソナーパルスの反射で得た情報を視覚情報に変換して可視化するモードもある。


 つまりソナーの反射でどこに何があるのかを瞬時に映像化してくれるのだ。イルカやクジラみたいなものだ。多分。


 ライトが全て消え、辺りの光が一切なくなる。真っ暗な空間で、バエルの動く不気味な音だけが耳に入る。


 こちらの視界はソナーの反射で得た情報をコンマ3秒単位で可視化されている為、視界は確保できている。床は白く、オメガのみ黒で表示されているそれは、格ゲーのトレーニングモードみたいだ。


「オレが前で戦う。テイラー上等兵、小隊と共に逃げてきたバエルを仕留めてくれ。戦闘が始まったらライトを付けていい」


「了解であります。騎士団長殿、お気を付けて」


「了解であります」


 心配してくれるアンジェを茶化すと、頬を膨らませて睨んでくる。本当に年上か疑ってしまう。


 そのまま彼女達の小隊はバエルが穴から逃げない様に後方に下がる。穴に入ってきた瞬間に倒す算段だろう。ここまで生き残っているという事は、その実力は確かなものだ。特に細かく指示を出さなくても最善の動きをしてくれる。


 ただ、倒壊する恐れがある為、爆発物は使えない。一度突破されたら非常に危険だ。


「危険だと思ったらすぐに逃げろ。オレの事は気にするな」


 それだけを通信で伝え、オレはバエルの群れに突撃する。不安な気持ちはない。逆に正直戦うのが楽しみだった。


 全てのオメガ因子を結合してどれだけ自分が強くなったのか、確かめる機会がなかった。それを今日、試せるのだから。


「さあ、やってやりますか!」


 およそ300体のバエルに向けて、剣を振りかぶる。


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