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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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004.初めての戦地

 輸送船から光の柱に入り、惑星マザーにワープする。オレが軍に召集され、アンドロイドに拉致された際に入った光の柱は、オートマタの技術の結晶である転送装置から発せられているものだったのだ。


「転送してくれ。ミスターケージー」


「何言ってんだ? もう惑星マザーに着いただろ」


「スター〇レックのセリフだぞ。知らないのか?」


 マックスの言葉に、オレは肩をすくめて知らないとリアクションすると、「マジか・・・」と返される。知らないものは知らないから仕方がない。SF映画だというから、もし生き残れたら見てみるとしよう。


 窓のない輸送船からは戦況が見えないが、オメガがそこら中にいる気配だけは読み取れた。そんな中第二中隊長からの通信が届く。


『惑星マザーにいるオメガはおよそ2万体の斥候型オメガのトウテツ。我々の任務はアールヴの戦術級超位魔法を行使するまでの時間稼ぎだ。無理に敵を倒す必要はない。危険と判断したならば後退せよ』


 東京を襲ったオメガの名前は、結局トウテツで決まった。元々中国の神話で出てくるモンスターか何かだったが、語源なんてどうでもいい。


 そしてアールヴの魔法。フィクションにしか存在しなかったエルフと魔法の存在が同時に確認された事で、SNSはお祭り騒ぎになっていた。とはいえ、先程言われた戦術級超位魔法はゲームでいう必殺技みたいなものだが、その火力にはゲームのものとは異なり、可愛げなんて一切ない。


 座学で習った事だが、その威力は半径10キロメートル以内にいるオメガを消し飛ばす威力がある。しかし、そんな威力の魔法を使えるアールヴにも弱点がある。それは『詠唱時間』だ。強力な魔法であればあるだけ、詠唱には時間が掛かる。


 戦術級超位魔法程の威力のある魔法となれば、およそ1時間の詠唱が必要だ。惑星マザーでは植物等の自然が無い為、詠唱が長くなってしまうらしい。


 オレ達はその1時間を稼ぐ為の要員。捨て駒じゃなければいいが、とそんな言葉は口には出さずに心の内にとどめておく。


 アメリカから惑星マザーまでの何億光年という距離を、およそ30分程で終える。そうしてオレ達は乗っていた輸送船が惑星マザーに着陸する。同時に後部のハッチが開いた。マックスと無言で頷きあい、オレ達は輸送船を降りる。


 惑星マザーの大地は、一言で言うなら黒に染まった、自然が一切ない荒野がひたすら続くだけの場所だ。有機生命体が生きるのにはふさわしくないその惑星に適応する為、オートマタは無機物で体を構築し、この惑星に適合した。この惑星には地球上に存在しない原子が存在し、それを実現したのだ。


 オートマタの根源と言われる原子で出来た金属、それは『アダマンタイト』。正式名称は違うが、地球人に分かりやすい様にオートマタが翻訳してくれた結果、ゲームでお馴染みのその名称が採用された。ちなみにだが、オリハルコンもあるらしい。


 アダマンタイトにはその特性として、情報を保存する事ができるらしい。天然のUSBメモリーといったところだろう。そのおかげで記憶という情報のコピーが可能となり、言語のみを抽出してオレ達の頭に移植する事が出来たのだ。


 また、意志の力によって形状を変化させる事も可能の為、現在はそれを用いたナノスーツや武器が研究されているとかいないとか。ただの一兵卒にはそこまでの情報は降りてこないので、ただの噂を耳にした確実性のない話だ。


 アダマンタイトはオートマタにとって命であり、武器でもある為、惑星マザーの防衛は宇宙防衛軍として第一目標に掲げられている。今や人類にとっても重要な物質でもある為、5000人もの地球人が戦場に投じられたのだ。


『第四中隊、第五中隊はシールドを展開して防衛網を築け。1時間、ここでオメガの侵攻を止めるぞ』


 第一中隊長がオープン回線で全部隊に通達する。オレ達は第四、第五中隊の連中が持ってきたパルスシールドの防壁の後ろに立つ。成人男性のの腹部までの高さがある青く光る半透明のシールドは、スーツを着ているオレ達には無害だが、そうでないものは触れると焼き切れると言った性質を持つ。


 聞いた時は非常に強いと思ったが、オメガを10体も焼けば故障する、いわば使い捨ての盾だ。パルスエネルギーは消耗が激しく、小型化したエネルギータンクでは長持ちしないらしい。モバイルバッテリーみたいなものだろうと一人で納得していると、防衛網が完成したのか、各々銃を構えて地平線を見つめる。


 地平線の向こうには、大きな土煙を上げながら迫るオメガの大群が見える。


「オレ達・・・生き残れるよな・・・?」


 オメガの大群を見て怖気づいたマックスが問いかけてくる。


「当たり前だろ・・・。生き残ったら一緒にスター〇レック観ような」


 あの日、父さんが家族を安心させようと、自身の不安を隠しながら言ったように、オレはマックスに嘯く。


「ああ、そうだな!」


 マックスと拳を合わせて、オレ達はオメガの大群を固唾を飲んで見据える。オメガとの距離がおよそ3キロメートルになったところで、戦いの火ぶたが切って下ろされた。


『射撃開始ぃ!』


 第一中隊長の言葉と同時に、オレ達の鼓膜を破る勢いで、銃声が絶え間なく轟いた。


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