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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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041.ブランデンブルク門防衛線

 ベルリンには沢山の観光名所がある。その中の一つがブランデンブルク門だ。高さ26メートル、幅65メートルの巨大な門は、1791年に造られたもので、その歴史は200年を超える。


 その門の正面には、広場と片側3車線の大きな道路が存在する。更に2キロメートルも真っすぐ伸びる道路の先には、戦勝記念塔がある。こちらも歴史のあるベルリンの観光名所とされている。


 逆にその門の裏には、芸術の街が広がっており、歴史ある博物館や美術館、歌劇場が並んでいる。


 ここではベルリンの歴史や芸術を多く学ぶ事が出来る。そんな歴史的価値のある場所をオメガは襲撃しようとしているのだ。温厚で気さくな方だと有名なヨハネス連邦大統領が、今回ばかりは大激怒し、自ら作戦の指揮を執っている。


『兵士諸君。ヨハネスだ。君達には、なんとしてでもこの場所を死守してもらう。一匹残らずオメガを蹂躙するのだ! ここは我々の星だという事を思い知らせるのだ! 敵を全滅せよ! キルゼムオール!』


 ヨハネス連邦大統領の声が通信装置から響く。あまりにも興奮しているその様子に、兵士の一人がぼやく。


「まだオメガ来てねぇぞ」


 そう、オメガはまだ地球に到達していない。到着予想時刻はおよそ10分後。今はまだブランデンブルク門の正面で防衛網を築いている最中だった。兵士達がバリケードや自動照準タレット、もしバエルが来た時に備えてのソナーパルス装置も数人の隊員が背負っている姿が見える。また巨大な門の脇には、複数のソルジャーも配備されている。


 そんな中、先程ぼやいた兵士が黒い輸送船が、今頃になって着陸している事に気が付く。防衛網の準備が8割程済んだ時に現れるなんて、一体どこのどいつだと文句を言いそうになる。


「なあ、パーカー。あの黒いのって誰が乗っているんだ?」


 その男は、同じ部隊にいるアメリカ人のパーカーに聞く。彼は振り向き、その輸送船を見ると、驚いた表情をした。


「ありゃ騎士の船だよ」


「騎士?」


「あー、お前はまだ手術を受けたばかりで実戦は初めてだから知らないのか。あれは最強の兵士、騎士が乗っているんだよ。バロウ、間違っても話しかけたりするなよ」


 パーカーに声を掛けた男、バロウもアメリカ人だった。彼はその船からたった一人降りてきた黒づくめの男を見つめる。


「なんだよ、仮面をした変態じゃねぇか」


「バ、バカ野郎! あの人は一部じゃ英雄って呼ばれているんだぞ。崇拝している奴だっている。そんな奴らに聞かれてみろ。殺されるぞ」


 バロウの発言に、パーカーは焦りを覚えつつ、今の会話が周りにいる連中に聞かれていない確認し、その心配がない事が分かると、安堵の息をついた。


「とにかく、あの人が戦う姿を見たら、度肝を抜かれるから期待しておけ」


「ふーん。あんなのが、ねぇ」


 大した期待をしていないのか、バロウは気にも留めず、タバコを吸いながら待機した。


 10分後――


 オメガの卵型ポッドがブランデンブルク門の正面にいくつも降り注ぐ。門の正面にある広場と大きな道路の脇には、多くの木が生えている広い公園が存在する。今は秋なので、しぶとく枝に残っている枯れ葉が視界を遮っている。その公園や記念碑にポッドが着弾する。


『あーっ! 戦勝記念塔がぁ! ベルビュー宮殿は大丈夫かな!? へ、兵士諸君! 速やかにオメガを皆殺しにするんだ! 近くの戦勝記念碑や銅像を破壊しないように、射撃には気を付けるんだよ!』


 怒り狂った大統領の声が、通信装置に響き渡る。誰もが大統領のマイクをミュートにして欲しいと願うも、誰もそれを口にする事はなかった。大統領相手にその様な発言を出来る訳がないからだ。


 皆殺しにすればいいのか、射撃してはいけないのかどっちなんだ、と兵士達が射撃を躊躇してしまう。


 そんな中、騎士の通信が全隊員に発信される。


『ヨハネス大統領、少し黙っていて下さい』


『ケ、ケイジ君!? で、でも――』


『コマンダー。ヨハネス大統領の通信を切ってくれ』


『あ、ちょっと待――』


 騎士の容赦のない対応の後、ヨハネス連邦大統領の声が聞こえなくなる。そのやり取りに、兵士達は唖然とした。大統領相手になんて物言いをするのかと。だが、結果的に指揮系統を乱していた不穏分子を除去できた事に感謝していた。


 そして続いて騎士からの命令が告げられた。


『総員、発砲して周囲の木をなぎ倒せ。視界を確保した上で歩兵部隊は各隊長の指示に従って任務を遂行せよ。正面のトウテツと戦車型はオレとソルジャーが引き受ける』


 刹那、数え切れないほどの銃声が響き渡り、視界に映っている木が軒並み倒れていく。およそ500メートル以内の木が倒れ、視界が確保される。視界の左側に穴だらけになったアマゾンの銅像が見えるが、誰もが見なかった事にした。ヨハネス連邦大統領にばれたら絶対に殺されると思ったからだ。


 それよりも、視界が確保されたおかげで、数多のオメガが視界に映った。倒れた木々の中から多くのトウテツとバジリスク、そして少数の戦車型オメガであるベヒーモスの姿が見える。兵士達はそれらに向かって発砲を開始する。ベヒーモスに対しては、門の脇に配備されていたソルジャーが攻撃を始める。


 そして門の正面にある道路には、数え切れない程のトウテツと戦車型オメガの姿があった。その群れに向かって、黒い騎士は突撃した。そしてソルジャーが戦車型オメガを排除しながら、ゆっくりと騎士を追って進み始めた。


「お、おいパーカー! あの変態野郎一人で突っ込みやがった!」


 焦りを隠せないバロウに対して、パーカーは鼻で笑う。そして騎士の背中に期待の眼差しを向ける。その目には一切の不安も疑いも見えない。まるでそれが見慣れた光景の様に。


「まあ、見てろよ。我らが騎士様の力を」


 そんなパーカーの言葉の意味が分からず、バロウは射撃もせずにその姿をひらすら眺めるのだった。


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