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黎明を灯す光 ~神に至るまでの軌跡~  作者: Mr.Z


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040.ベルリン

 二人が部屋を出ていき、嵐が過ぎ去ったか後の様な静けさが訪れる。もし二人が戻ってきた時の為に、オレは部屋にいようとしたが、けたたましく鳴り響く警告音がそれを許さない。


 オレはすぐに出撃の準備に取り掛かった。その最中、コマンダーから状況を説明される。


『今回は地球上のドイツのベルリンが舞台だ』


「地球での作戦は久々だな」


 香港でバエルに心臓を貫かれて以来。つまり3カ月振りだ。それにドイツは初めて行く。まあ、プライベートで海外なんて一度も行った事ないから、前の香港が初めての国外進出だったけど。


 オレはいつもの戦闘用スーツに着替える。その上に、オレの部隊である騎士団のみが身に着ける事を許された衣服を身に纏う。


 脛の中間まである黒いブーツに、スラックスみたいな黒いズボン。上は黒いロングコートで、ボタンや騎士団を表す剣の形をした刺繍は、金色で統一されている。また裾が戦闘の邪魔にならない様、腰回りのベルトで体にフィットするタイプ。トレンチコートと呼ばれるものだ。


 正直、かなりオレ好みの見た目だ。


 顔は、相変わらず黒いのっぺらぼうみたいなマスクのまま。


『アールヴは復興で疲弊している為出撃しない』


「だよな。それに前回もアールヴヘイムを襲撃されたから、また浄化の作業しないとだし」


 そう、前回の襲撃はアールヴヘイムだったのだ。バエルを観測するのが遅れて、ユグドラシルまで残り1キロメートルという所まで侵入された時は焦った。それにトウテツの死骸が山積みになっていたから、宇宙に捨てる必要もある。


「大変だな~」


『暇なら君が手伝えばいい』


「オレは戦うの専門。片付けは専門外」


『逢瀬も専門だな』


「う、うるさい」


 ガブリエル大統領と共犯のくせに良く言う。


 コマンダーと軽口を叩きつつ、アダマントソードの状態を確認してから輸送船に乗る。ちなみに輸送船もオレ専用のものだ。従来のものはグレーカラーだが、オレのだけブラックだ。全部黒基調にしたのは、コマンダーであってオレではない。・・・嫌いじゃないけど。


 実際には、オレが着ているコートや輸送船には、アダマンタイトのコーティングが施されている。色は変えられるが、変えなかった場合は黒になってしまうのだ。だからラグナ、じゃなくてアダマントソードも黒いのだ。


 その黒い輸送船の名前は、コマンダーが命名して『スレイプニル号』となった。北欧神話のオーディンが乗っている馬だというのはオレでも知っている。が、恥ずかしいからオレは普通に輸送船と呼んでいる。・・・スレイプニル号、発進! とかやってみたい気持ちがあるのは秘密だ。


「敵の数は?」


『トウテツが3万、バジリスクが5千、ベヒーモスが50、ゴライアスが20だ』


「うえ、羽蟻いるのかよ」


 羽蟻とは、バジリスクの事だ。こいつは新型ではないが、オレもまだ一度しか戦った事のないオメガでもある。トウテツ同じ斥候型で、一体一体は弱い。過去にアールヴで確認された種だ。


 見た目は蛾の羽が生えたでかい蟻。だから羽蟻と呼んでいる。特長は羽から毒性の鱗粉を飛ばして攻撃してくる事。鱗粉に触れると、神経系がマヒして、石化した様に動けなくなってしまう。だからバジリスクの名前が付けられている。


 空を飛んでいて鱗粉を飛ばすせいで近付けない、と剣で戦うオレにとっては天敵だ。こいつは他の兵士に片づけてもらおう。


 そしてゴライアス。これも過去に観測された事のある固体。ベヒーモスと同じ戦車型だ。動物に例えるなら、ベヒーモスがカバかサイで、ゴライアスがゴリラだ。ゴライアスの特長は、その大きさと腕力。


 ベヒーモスの大きさは大型トラック4台を2台ずつ重ねた様なサイズ感。高さが7メートル、幅10メートル、頭からケツまで20メートルとかなり大きい。


 が、ゴライアスはそれを上回る大きさをしている。大きな前足と小さな後ろ足で走る姿はまさにゴリラ。また、ある程度スピードが出たら、そのまま体を丸めて転がるという特徴もある。丸まった時の大きさが、直径20メートル。近くで見るとその巨大さに圧倒される。


 20メートルもの高さのあるゴリラが、15メートル程の長さのある腕を振り回して攻撃するのだ。その破壊力は凄まじいものとなる。身体はベヒーモスと同様、岩みたいな外皮を纏っている為、防御力も高い。


 小学生が考えた最強生物みたいなその存在に、思わず笑ってしまいそうになる。そんな厄介な戦車型が、今回は合計で70体もいるのだ。歩兵だけならどれだけの被害が出る事か。歩兵だけなら。


「ソルジャーは? さすがに戦車型がそんなにいたら歩兵の火力じゃ勝てないぞ」


 それに今回も市街地のど真ん中。空爆なんて期待できない。そもそも今までの戦闘で、空爆なんて一度も使えていない。地球を狙っているオメガは、人口の多い場所を襲うのが今回で確定した。おそらく捕食と情報収集が狙いなのだろう。


『無論、戦車型はソルジャーで引き受ける。人間に任せて観光名所を破壊されたらクレームを入れられてしまうからな』


「あー・・・。香港の時は流れ弾で犠牲になった人がいて炎上したんだっけ?」


 こちらは命を賭けて戦っているというのに、一般人に犠牲者が出たからといってクレームを入れるなんて一体どんな神経をしているのだろうか。一度戦場を体験してみればいい。蚊帳の外で声を大にして叫んだところで、意味はないのだから。


 そんな奴らがもし歴史ある建物を破壊してしまったらどんな騒ぎを起こすのかなんて考えたくもない。目の前でそういった発言をされたら問答無用でトウテツの餌にしてやる。


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