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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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002.適合者

 ファーストコンタクトから一カ月後、世界は大きく変化した。


 地球を救ったオートマタとアールヴはそれぞれの世界、惑星マザーとアールヴヘイムも地球を襲った侵略者、通称『オメガ』に侵略されていた。オメガの魔の手が地球に伸びているのを察知し、救いに来てくれたのだという。


 オートマタとアールヴは協力してオメガに対抗しているが、戦況は悪化しており、打開策を見つけられていない状況が続いている。そんな中、地球とも手を組み打開策を練ることになった。


 そうして新しく作られた組織と法が、世界から大きな批判を浴びる事となる。組織の名は『宇宙防衛連合』。通称『SAU(Space Alliance Union)』さらにその組織が有する軍こそ『宇宙防衛軍』。


 そのままの意味で宇宙、そして地球を含む世界を守る為に結成された連合、そしてその為の軍事力。皆の注目と批判を集めた新たな法とは、宇宙防衛連合および宇宙防衛軍の命令は全ての国の法律をも超える権利を持つという事。


 アメリカ大統領をリーダーとしたそれらの組織の決定事項には、誰も逆らうことが出来ないという独裁政治の様なその法は、地球上の人間から大きなブーイングを受ける事となった。しかし、世界の命運が掛かっている以上、頭では理解できても、心では理解できないのは無理もなかった。


 誰もが納得できない中、宇宙防衛軍に徴兵される条件が発表される。それは、オートマタとの技術の融合で生み出された『肉体改造手術に適合する十五歳以上の人間全て』だった。老人であろうと、十五歳になったばかりの若者も関係なく、適合者であれば強制的に入隊するという条件だったのだ。


 改造手術を受けるのも強制だという内容に誰もが納得できなかったが、既に適合者は一万人見付かっていた。オートマタのドローンが地球を周回し、地球人の中から適合者を選別していたのだ。


 ――適合者であれば例外は認められなかった。それは政治家の子供であろうと、大統領の親戚であろうと。


 とある民家で、リビングルームでニュースを見ていた家族がその内容に啞然とした。まるで戦時中の日本の様に、赤紙による召集がされていた事が、現代でも起こるとは夢にも見ていなかったからだ。


「大丈夫だ。適合者じゃなければ徴兵されなくて済むんだから」


 家族の父親らしき人物が、母親らしき者の肩を撫でながら言う。


「そうよね・・・」


 ただ、それで不安は払拭できなかった。地球の人口が何十億人といる中、一万人しか適合者がいないのだ。確率で言えば十万分の一以下。そんな確率で自分の家族に適合者がいるなんて思いたくもなったのだろう。


 ソファに座り、その男の息子と娘らしき二人も呆然とテレビに映るニュースを見ていた。すると突然テレビの画面が真っ赤に染まる。そしてビーッビーッと警告音がけたたましく鳴り響く。


『適合者 漆葉(うるしは) 啓司(けいじ) 適合者 漆葉 啓司は速やかに家から出なさい。これは宇宙防衛連合の命令である』


 テレビの画面に白い文字が現れると同時に、その文字を機械の音声が威圧的に読みあげる。それに対して、ソファに座っていた男の子が顔面を蒼白させ、父親に方に顔を向ける。


「父さん・・・オレ・・・」


 どうやらその少年が、適合者だったのだろう。母親は膝から崩れ落ち、父親は怒りを露わにしてテレビの電源を切るが、独りでにテレビは再度電源が付き、先程と同じ言葉を発する。


「大丈夫だ啓司。父さんが何とかするから」


 弱弱しくそう言った父親も、具体的な策が思いついている訳ではない。ただ息子を安心させたかっただけだった。だが、無情にも希望が砕かれる。


 バリンッ――窓が割れる音が響く。


 突如リビングルームの窓が割れ、二足歩行の機械人形が二体入ってくる。顔も体もマネキンの様にのっぺりとした銀色の素材で出来ており、顔の真ん中にあるカメラと思わしき目からは赤い光を発っしていた。それは啓司と呼ばれた少年に向かって歩き出す。


「啓司に触るなっ!」


 父親が叫び、アンドロイドを止めようと立ちふさがる。しかし、二体いるアンドロイドの内、一体が父親の腕を掴み、地面に押し倒して拘束する。


『警告。警告。妨害行為をやめなさい。警告。警告。妨害をやめなさい』


 繰り返し同じ事を言いつつ、アンドロイドは父親を抑え続ける。そしてもう一体が息子、啓司の元へ近づき、肩に担ぎ上げる。


「やめろこの! 離せ!」


 必死に抵抗するも、大人すら容易に制圧するアンドロイドに対して、子供の力が通用するはずもなく、啓司はそのまま窓から外へ連れていかれる。


「父さんっ! 父さんっ!」


「啓司っ!」


 父親に救いを求めるも、身動きが取れない父親は息子をただ見続ける事しかできない。そして外まで連れていかれた啓司は、アンドロイドに担がれたまま、光の柱に包まれる。


「父さぁんっ!」


 啓司の父に助けを求める声が響いたその刹那、光の柱と共にその姿が消える。同時に父親を拘束していたアンドロイドが手を放し、彼を開放する。


『ご協力感謝します』


 無機質な声でそう言い残し、アンドロイドも外に出て光の柱の中に消えていく。


 父親の叫び声と母親の嗚咽が家の中でこだまする。


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