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黎明を灯す光 ~神に至る道~  作者: Mr.Z


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098.ルカとクララ

 およそ1時間程、ルカの相手をしていた。周りにはオレ達の戦いを眺めているギャラリーが多くいた。訓練をしていた兵士達だ。オメガ因子を取り込んでいないピュアな人間達。彼らの目にはオレ達の動きは速すぎて見えていないだろう。


「はぁはぁ・・・ありがとう、ございました・・・」


「オレに勝つにはまだまだ掛かりそうだな」


 額から大量の汗を流しながら肩で息をするルカの頭をくしゃくしゃと撫でる。


「僕がお兄さんに勝てる日なんて来ないですよ・・・」


「おいおい。その短刀でオレの心臓を貫けるぐらい強くなってくれないと、いつまでも引退出来ないだろ?」


「そんな事したら引退どころか死んじゃいますよ・・・」


「ハハッ。心臓を貫かれたぐらいじゃオレは死なないさ」


 実際に見た事がないから信じられないかもしれないけど。


 オレ達の戦いが終わったのを見て、ギャラリーが散り散りになっていく。この戦いを見て、何を感じ、何を思うのかは分からないが、これからも精進して特殊強化兵になれる事を祈っている。


「汗だくだな。ひとっぷろ浴びるか」


「え!? い、一緒にですか・・・?」


「嫌ならオレ一人で入るけど」


「い、一緒します!」


 別にルカは女の子でしたっていう設定はない。だというのにいつもオレと風呂に入ったりシャワーを浴びたりするのを恥ずかしがる。まあ、最終的には付いてくるんだけどさ。


「クララも」


「いや、クララが一緒に入るのはまずいでしょ」


「ルカとばかりズルい」


 男同士なんだからズルくはない。それにクララは幼く見えるが、実際は2歳しか離れていないのだ。一緒に風呂に入る様な歳ではない。


「クララは今度ミカエラとクーナさんと一緒に入ろうな~」


「・・・いや」


「いやじゃない」


「いや!」


 おお・・・。いつにも増してワガママだ。最近はオレやミカエラに対して結構甘えてくるというか、ワガママを言う様になってきた。それ自体は悪い事ではない。心を開いてくれた証拠だから。


 とは言え、お風呂一緒に入りたいはアカン。さすがにミカエラとクーナさん以外の女性と一緒にお風呂入るのは抵抗がある。クララだってれっきとした女の子なのだから。


「クララのこと嫌い?」


「そんな事ないさ。でも、クララは女の子だろう? これからクララが心から大切だと思える人が出来た時、その人と一緒に入るんだ。分かった?」


「・・・ん」


 納得はしていないけど、とりあえずは頷くクララ。今はこの言葉の意味が分からないかもしれないが、いずれ分かる時がくるだろう。


 という訳で過去にオレが割り当てられていた個室に向かう。そこは今、ルカとクララの部屋となっているからだ。


 そこの浴室で軍服を脱いでいると、ルカがオレの体を食い入る様に見ていた。


「どうかしたか?」


「い、いえ!」


 頬を赤く染めながら視線を逸らす。何故乙女みたいに恥じらう・・・。こっちまで恥ずかしくなってくるじゃないか。


 まあ、今となっては余分な脂肪が一切ない完璧な肉体美を誇るオレの体に見入ってしまうのも無理はない。鏡で体を見る度にオレでも見惚れる程に仕上がっている。が、ミカエラとクーナさんには不評だ。高身長でマッチョな男がモテるなんて嘘だった。


 軽く汗を流してから大き目のバスタブの中に入ると、ルカも背中を向けながら入ってきた。何故背中を向けるのか。


「恥ずかしいのか?」


 まだ毛も生えていないのかもしれない。別に恥ずかしがる事ではないのに、とそう思っていたが多分違うだろう。


「そ、そんな事は・・・」


 だから何故乙女の様に恥じらうのか。


 こちらを向こうとしないルカを後ろから眺めていると、相変わらず綺麗な髪をしていると改めて思う。クララといい、サラサラとした金髪は高級な人形の様だ。


 自然と手が伸び、それを後ろから触る。


「んぁ・・・」


 何その艶めかしい声? 驚いたルカがなんかエッチな声を上げる。


「悪い。くすぐったかったか?」


「い、いえ、大丈夫です・・・。お兄さんに触られるの・・・好きですので・・・」


「お、おう。そうか・・・」


 なんか・・・なんかエッチだぞルカ君。


 何故か男のルカ相手にドキドキしていると、ガチャっと浴室の扉が開く。視線を向けると、そこいたのはスッポンポンのクララ。タオルで体を隠す事なく、堂々とこちらに向かってくる。



「あのぉ・・・クララ? 何をしていらっしゃるのかしら?」


(にい)が言った。大切な人と一緒にお風呂に入れって」


 言った。確かに言った。でもそれはオレじゃない誰かという意味で言ったはずだ。なのに何故この子は今ここにいるのだろう?


 オレの疑問を無視して、クララがバスタブの中、オレとルカの間に入ってくる。


「ふぅ」


 いや、ふぅじゃない。色々とカオスな状況になっているが、大き目のバスタブとはいえ3人で入るには狭い。無理矢理入ってしまえば体を密着させる必要がある。


 そんなのお構いなしに、クララはオレの足の間でくつろぐ。クララ相手に劣情を抱く事はないので、別に何かがある訳ではないが・・・。


 クララ自身もそのままお風呂を楽しんでいる中、ルカが急に立ち上がる。


「僕もう出ます!」


 顔を真っ赤にしながら、タオルで腰回りを隠しながら走り去ってしまう。その様子をクララと二人でポカンとしながら見送る。


「ルカのヤツ、どうしたんだ?」


(にい)とお風呂に入れて興奮してた」


「いやいや、まさか」


 男同士なのに。どうせクララと風呂に入るのが恥ずかしかったのだろう。双子とはいえ、いい歳なんだ。オレだって沙紀と一緒に風呂に入れって言われたら断る。


 今回は軽く汗を流せればよかっただけなので、少ししてからオレもクララを置いて風呂から上がった。するとトイレから出てきたルカと目が合う。


 すぐに風呂から上がったのは恥ずかしかったからではなく、トイレに行きたかっただけだった様だ。まあオレも中学の頃、学校でウンコするの恥ずかしかったから良く分かる。


 顔を赤くしているルカの頭を軽く撫でてから、オレは部屋を後にした。


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