000.エピローグ
人は二度死ぬといった言葉がある。一度目の死は命を失う事。そのままの意味だ。
そして二度目の死は誰からも忘れ去られた時。まあ、二度目の死は偉人にでもならない限り、死後100年も経てば勝手に訪れるものだ。まあ、オレには無縁の言葉だったが。
「――さま! またお話聞かせて!」
自然豊かな平原の中、せっせと働く人々の生活の営みを眺めていると、頭から猫耳が生えた小さな女の子がそう言ってオレに抱き着いてくる。オレに合えたのが嬉しいのか、腰にある尻尾が左右に揺れている。
「ミーシャはホントにお話が好きだなぁ」
「うん! ――さまがかみさまになるお話好き!」
「何度も言うけどオレは神様じゃないよ」
そう言って少女の頭を撫でるが、ふてくされた様子を見せる。
「だって普通の人は羽なんて生えないよ! だから――さまはかみさまなの!」
確かにオレの背中には金色と漆黒の翼が生えているが、それはオレが神様だから生えている訳ではない。と、この少女に言っても無駄だろう。
「そうだね。じゃあどのお話が聞きたい?」
「えっとね、――さまのお話が聞きたい!」
「ま、また? 前もその話をしたじゃないか」
「聞きたいの!」
何度もオレの話を聞きたがる少女。普通、他人の武勇伝語りなんて聞きたくもないだろう。だが、この少女は違うようだ。
「分かったよ。あれは今から3千年前・・・。そのくらいだったかな? 多分・・・いや、確か・・・」
「もう――さま! ちゃんとお話しして!」
「ご、ごめんよミーシャ。コホン、当時のオレがまだ人間だった頃――」
かつて、高校生になりたてのただの一般人であるオレが、軍人になる所から物語は始まる。




