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蝉のように儚く  作者: 櫻井賢志郎
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自ら命を絶っていく人たちは何を思いながら命を絶っていくのだろう。優香は最後にどんなことを思って死んでいったのだろう。何度も考えたこの疑問が解消されることは当然なかった。

それでも後から知った優香の中での幸せな思い出、家族での海に行った過去の記憶と僕たち3人で撮った当時の優香の幸せな記憶。それを身につけながら亡くなった優香はきっと遺書の通りに輝きを感じながら命を絶ったのかもしれない。


誰も亡くなった人を責めることはできないし、責めるのであればそれはきっとそこまで追いやってしまった人たちなのかもしれない。

でも、追いやった人たちもきっと何かの苦しみや痛みは抱えていて、その連鎖がどこかで死として幕を下ろしている。

誰にも止めることは出来ないのかもしれない終わりは当然ないのかもしれない。

優香は僕たちに知られたくなかったかも知れないけれど今僕は沢山の子どもと関わる中で少しでも早く知り解決の糸口を探したいと思っている。

それがこの仕事についた僕にできることだから。


優香が亡くなって9年たった。僕たちは命日には一緒にお墓参りに来ていて今日がその日だった。

和馬はあれからも野球を続けていて今では有名企業の中で野球をしている。都市対抗野球にも出るほどのチームでレギュラーとして活躍する和馬は相変わらず忙しい日々を送っていた。

お互いに仕事や大学院での研究もあって一緒に墓参りに来る事が出来ないこともあったけれど今年は都合があって一緒に墓参りに来た。


「久しぶり」

そう言って和馬が僕の背中を軽く叩く。

あれからもう9年経つけどあの頃のことは鮮明に、ついこないだのことのようにお互い覚えていた。

昔話に花を咲かせながら近況報告をする。

和馬は去年結婚をして子供が産まれていた、すっかり父親の顔になった気がしたけど話していると何も変わらない昔のままの和馬がそこにはいて安心を感じた。


お墓について手を合わせてお互いの近況を優香にも伝える。

何だかすぐそこに優香がいる気がして懐かしい気持ちがした。

3人が揃うことはもうないけれど、ここに来ればあの頃に戻ってこれるそんな気がした。


ふとあの頃に道端で裏返しになっていたセミを思い出す。

一生のうちのほとんどを土の中で過ごすセミにとって地上に出た後の約1週間はきっと1番輝く時なのだと思う。

その輝きのために暗い暗い土の中で必死に育ち必死に生き続けた彼らを馬鹿にする事なんて決してできない。

その儚き命のように優香が人生を過ごしたならそれは誰にも責められるものではないのかもしれない。むしろよくそこまで生きたと褒められるべきものですらあるのかもしれない。

たとえそれが儚き命だったとしてもその人にとっては必死に生きた誰にもわかることのない日々なのだから。


人生で最も輝く時はいつなのか。誰にもわかるはずのない答えを、バスに揺られながらふと考える。

「人間は、みんなに愛されてるうちに消えるのが一番だ」誰の言葉だったかは知らないけれど、僕にとってこの言葉が意味するものは、まさに人生の輝く時を知ることにつながるんじゃないだろうか。

そして、彼女が死んだのもきっとこの言葉が意味するところなんじゃないか、、どうして死んだのか、何かしてあげられることがあったんじゃないか、そう思って僕は考えるのを辞めた。


それでも僕は愛されているうちに消えることよりも愛された分だけ誰かを愛し続けて消えていく事が人生においての輝きなのではないかと思う。

それがカウンセラーになった僕なりの答えであっていつかその日を迎えるために人は生きなければいけないのだと思う。

優香がどんな想いで命を絶ったのかはわからないけれど、優香だったらきっとこれ以上勝手に解釈されるのは嫌がるかもしれない。

今僕がやるべきは優香が何を思ってたのかを引きずり続けることよりも、優香が示してくれたこのカウンセラーの仕事を通してどんなふうに人にかかわっていくことが出来るのかを見つけていく事が重要な気がした。


そして、今日カウンセリングに来た鮎坂悠太くんの話を思い出しながらカウンセラーになった今ならきっと彼の力になれる。ならなきゃいけないと心から思う。

まだ今は悠太くんがなぜカウンセリングに来たのかはわからない。姉を亡くした事への悲しみからなのか、それとも改善されることのなかった家庭環境が理由なのか、もしかしたらそのどちらもなのかもしれない。

どれにせよ僕は1人の大人として、カウンセラーとして悠太くんが苦しみを乗り越えられるように力になってあげたい。

それが今僕にできる1番のことなのだから。


この小説は僕自身の人生の一部を詰め込みながら書く初めての小説です。

きっと拙い文章で、何が言いたいのかわからないなもしれない、それでも優香が生きた証を皆さんには知って欲しくて、死ぬまでにどれほどの痛みがあったかを考えてみてほしかったです。

きっとその人の痛みは気持ちはわからないけれど、もしかしたらと想像する事が誰かを救うきっかけになるかもしれません。

そして、しずくのように生きる中で輝きを見つけ自分の意味を見出していく事が誰かのためになり、受けた愛を返すことになるんだと僕は思っています。


初めての投稿で何かと良くない点もあったかと思いますが最後まで読んでいただきありがとうございました。


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