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第十七 初めてのパーティ戦

【街外れの森 怪鳥の巣】



「うわあぁぁぁぁーん! なんでよおおおぉぉーっ! なんでわたしばかり狙うのよおおおぉぉぉーっ! たしゅけてよおおおぉぉーっ! ハルト! リコピン! シルビア! 助けなさいよおおおぉぉーっ! お願いしますからあああぁぁーっ!」



リリスは、泣き叫びながら怪鳥に執拗に追い回されている。



今回はクエストで、怪鳥の巣に来ているのだが……。



巣の横でぐっすり寝ていた怪鳥の尻尾を思いっ切り踏んづけたリリスは、怒った怪鳥に追いかけられていると言うわけなのだ。



そして、シルビアはその怪鳥の後ろをシスターの杖で殴りながら追いかけていた。



「な、なぜだ! なぜ逃げるっ! 私は堂々と戦っているのに! お主はどうして逃げるのだ!? まて、待たぬか!」



それからリコピンは、ここに来るまで馬車で酔ったらしく……。



「あ、あのー……ちょっとそこまで……」



と、言って木陰に行ってからまだ帰って来ていない。



ちなみにオレは、今回のクエスト内容の『怪鳥の卵の納品』を達成する為に、持ってきたカバンに小玉スイカ位の大きさの卵を詰めていた。



一つ辺り十万ギルでギルドが引き取ってくれるらしい、超優良クエストである。



四つ程詰めて、カバンを背負って立ち上がる



「結構、重いな……」



感覚的な問題だが、七、八キロ位の重さはありそうだった。


とりあえず、後はこれをギルドに納品したらクエストは完了だ。



「おーい、リリス! シルビア! 遊んでないで帰るぞー!」



まだ、怪鳥と戯れている二人に声をかける。



今回は、怪鳥の討伐ではないから別に殺す必要はない。 



って言うか、ギルドに怪鳥を殺さないでくれと逆に頼まれているのだ。



理由は、怪鳥自体が中々卵を産んでくれないらしく、卵自体が貴重でクエスト報酬が高い理由もそこにある。



「ちょ、ハルト! 遊んでないからっ! 見てないで助け……えっ、うそ! いや、やめてええええええぇぇぇーっ! 美味しくないから! 食べないでえええぇーっ!」



怪鳥は、リリスの服の首根っこ辺りを掴むと持ち上げた。



いつもの事ながら、食べられそうな勢いである。



「くっ、リリス! 大丈夫か!? 私が、不甲斐ないせいでお前を失うとは……」



「ち、違うからっ! まだ、食べられてないからっ! 失ってないからっ! 諦めないでたしゅけてよおおおおぉぉぉぉーっ! 」



流石に可愛そうになって来たので、助けてやるか……。



そう思って、腰のショートソードに手をかけた時だった。



「ふぅー……スッキリした。それじゃあ、クエストを……って、なんでリリスが食べられてるの!?」



リコピンが、木陰から用を済ませて戻ってきた。



「おーっ、リコピン。トイレはもう良いのか? ちゃんと落ち葉かなんかでブツは隠しとけよ」



「なっ……。ち、違うからっ! そ、そんなんじゃないですから!」



リコピンはそう言って顔を真っ赤にしている。



中々、からかい甲斐がある奴だ。



「うわあぁぁぁぁーん! 美味しくないからっ! お腹壊すだけだからあぁーっ! ぐしゅ! 嫌だよおぉぉーっ! まだ、死にたく無いよおおぉぉーっ!」



そう言って、怪鳥に捕まったリリスは未だに泣き喚いていた。



ちなみにだが、リリスを食べようとしている怪鳥は肉食ではない。



オレもクエストに行く前には下調べをするし、シルビアも人を食べない事を知っているからこそ、こうして傍観出来るのだ。



「ど、ど、どうして助けないの?」



見るからに、動揺したリコピンがオレに質問をする。



「いいか、リコピン。これは、あいつが望んだ事だ。自分が多額の借金を背負ってしまった事に絶望したリリスは、自分に保険金をかけてみんなの為に……うぅ……」



そう言って、泣くフリをする。



顔を隠した手の隙間からチラッとリコピンを見ると、顔面蒼白にして立つリコピンの姿が見えた。



「う、うそ……。そ、そんなのダメよ! リリスは、わたし達の……。大切な……な、仲間なんだから!」



そう言って、リコピンがバッと駆け出す。



「あっ、おい!」



オレの制止の言葉も聞かずに、リコピンは走って行ってしまう。



そして、怪鳥の側面に立ち。



「リリス! 待っててね! 今たすけるからっ!」



リコピンは、そう言って右手を怪鳥に付き出すとーー。



「い、いきます! 汝、此の世の理を司る精霊よ!地獄の業火より誕生し煉獄の炎より別れし、火の粉! 赤く熟したトマトの様に! 力強く握り潰したトマトの様に爆ぜなさい! ぷ、プチファイヤー!」



リコピンのなんとも言えない詠唱。



それもトマトって何だよって、思いながら見ていると。



リコピンの右手から、プチと言う割にはデカ目の炎の渦が現れて怪鳥の即頭部に命中した。



そして、怪鳥はクエーと泣きながらリリスを離すと倒れた。



オレも走って駆け付けると、怪鳥は死んではないらしく。



どうやら目を回して、倒れている様だった。



それを見てホッと安心する。



仮に殺してはいけない怪鳥を殺しでもしたら、ギルドから罰金でも言われかねないからだ。



そして、倒れた怪鳥の横を見ると助けてくれたリコピンに泣きつくリリスの姿があった。



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