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第十四話 漢になる為に①

さらに次の日の昼下がり。



わたしはちょっと用事があるから、今日は休みーと言ってリリスはどこかに行ってしまうし。



リコピンは、クエストに行かないのであればわたしは魔女裁判の続きがあるのでと、宿の部屋に引きこもるし。



そしてオレは、折れたショートソードを武器屋の店主に土下座して新しいモノに変えて貰い。



その帰り道であった。



とりあえず、今日の宿代と食事代でお金も尽きるし借金返済もあるから、明日はクエストに行かないとなーと考えながら歩く。



すると、街の噴水広場の近くで子供が四、五人ほど女性を囲って居るのが見えた。



そして、オレはついその女性に見惚れてしまったのだ。



聖職者の格好をして、胸には教団のモノかロザリオをしている。



髪は長く、被っているウィンプルからも透き通る様に綺麗な髪が見えた。



年齢はオレより少しばかり上に見えるが、そんなに変わらなくも見える。



身長は、170センチ前後だろうか?



スタイルも良く、出るところはちゃんと出ていて色ぽっさがある。



簡単に言うと、かなりの美人の女性が目の前にいたのだ。



「すまない……。なにか……私に用事だろうか?」



そう言って、銀髪碧眼の美少女がこちらを見てくる。



子供達はオレが、見惚れている間にどこかに消えてしまっていた。



「い、いえっ! いやー、今日も良い天気ですねー? 子供好きなんですか?」



「うん? あぁ、今日は確かに天気が良いな! 気温も丁度いいし、訓練するにはいい日かもしれない! 子供は……そうだな! 好きかもしれない! 騎士として、子供達の未来を守る事は義務だからな!」



あれ? 何かが、おかしい。



訓練とか騎士とかの単語が出てきたぞ?



「あのー……、聖職者の方ですよね?」



ふっ、とした疑問を投げかけて見た。



「むっ、確かに私はイチノセ教団の聖職者……いや、元聖職者と言うべきか……。しかし、それがどうかしたのか?」



「いやー……、訓練とか騎士とか聞こえたたもんで……。見た目は聖職者なんですけど、そっち系の人かと……」



「あぁ、そうか……。それはすまない。私は家の都合で心半ばで騎士を引退して、その後は教団でシスターとしてお世話になっていたのだ。しかし、それも先日までの話し。ワケあって教団を破門になり、冒険者登録をする為にこの街に来たのだ」



なるほどなー。



だからこんなに凛々しくも品があり、色ぽっさもあり喋り方も騎士みたいだったのか。



美人の女騎士も悪くないなー。いや、この姿もかなりいい。



「えっとー……冒険者登録するって事は、もしかしてギルドをお探しとかじゃないですか? それなら、丁度暇だったので案内出来ますけど……それに、もし良かったら一緒にご飯でもしながらお話しを……」



異世界に転生してリリスとかリコピンとかの変わったヤツしか出会いの無いオレでも、ついにチャンスがきた。



やっぱり、この位の歳の男はお姉さんタイプに弱いってもんだ。



「ほ、ほんとか? この街に来るまでに恵まれない子供達に施しをしていたら、手持ちのお金も尽きてしまってだな……。その……恥ずかしい話しながら、私自身はもう何日もご飯を食べてなくて……。そろそろ、限界だと思っていた所だったのだ……」



そう言われて、オレの中で更にスイッチが入る。



今のオレは既にホストモードだ。



「いえ、恵まれない子供達に施しをするその精神! 騎士として……いえ、聖職者の鑑だと思いますよ! 私は、そんな貴女に感動致しました! 行きましょう! 直ぐに行きましょう! たくさん食べて、たくさん飲みましょう!」



あぁ、これぞ天の導き。オレは今日、あわよくば男から漢になるかもしれないな。



「あぁ……すまない。 しかし、私は酒に関してはその……」



「大丈夫です! 例え、聖職者様でも今日は神もお許しになるはずです! 行きましょう! さぁ、早く!」



「いや……そう言う問題では……」



そしてオレは、躊躇する聖職者を半ば強引にギルド酒場まで連れて行った。



ーーー。


ーー。


ー。




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