勇者の魔法
短いです。
ハイリは戦艦に侵入すると、すぐさま内部に入るための入口を見つけた。見張りの兵士の位置を瞬時に把握すると見つからぬように素早く移動し、入口の扉に手をかけた。
そして、船室に入るため扉を開ける。
「よお!お前は何者だ?それでも殺気を隠してるつもりか?殺気が溢れ出てんぞ!おかげで目が覚めちまったよ」
そこには勇者がいた。
突然の宿敵である勇者の出現にハノイは、反射的に持っていた剣で勇者を斬りつけようとした。しかし、振り下ろした剣は、勇者の剣に受け止められた。
「ふん!挨拶もなしか。お前魔族か?俺を殺しにでもきたか?愚か者め。とりあえず死ね」
勇者は剣を持っていない左手をハノイの方に向けると風魔法の呪文を唱えた。
直後、ハノイの体がものすごい風圧により、ドアとともに甲板へと吹き飛ばされた。
吹き飛ばされたハノイは甲板の一番端の手摺に激突する。ハノイは衝撃をうまくそらすことができず、衝撃をモロに受けてしまう。強化魔法が施された手摺が単純な物理的衝撃で折れてしまったことからも衝撃の凄まじさがうかがえる。
「・・・っ、痛え、、」
ハノイは全身に激痛が走る中、なんとか意識を保っていた。しかし、強い衝撃と痛みによりうまく呼吸ができず膝と手を甲板の床に手をつけた状態で動けずにいる。
風魔法の衝撃で顔に巻いていた黒い布が破れ落ちる。
甲板にいた兵士がいきなり吹き飛んできたハノイに気づき驚いた様子をみせながらも、不審者がいることを甲板全体に響く大声で叫ぶ。
兵士が一斉にハイリのもとへ駆けつけて剣先を向けた。
「何者だ?顔をあげろ!!」
そんな兵士の質問に答えることなくハイリは、呟くような小さな声で回復呪文を唱えた。そのおかけで激痛が和らぎ呼吸をなんとか戻すことに成功する。そしてすぐさま、自分に剣先を向ける兵士を剣で斬りつけた。
「ぐはぁ...」
「貴様!よくもやってくれた!死ね!!」
ハイリに斬られた兵士は倒れ、それをみていた他の兵士たちが次々にハイリ斬りかかる。しかし、そんな兵士たちの剣を躱し、今度はすれ違いざまに5人の兵士を斬った。
斬られた5人は悲鳴をあげ倒れると、未だハイリを取り囲む兵士たちは、あまりのハイリの鋭く早い剣技に怯んでしまい、妙な間合いをあけたまま動けずにいた。
膠着状態が続いている状況の中、扉のあった方から勇者がハイリを囲む兵士の位置までゆっくりと歩いてきた。
「ほお、俺の魔法を受けてまだ生きてるか。お前は体が丈夫だな。やはり魔族か?」
勇者は再度、ハイリ問う。
「魔王様を返してもらうぞ。そして、お前を殺す」
「魔王様か・・・、やはり魔族か。虫ケラの魔族ごときが勇者である俺を殺すだと⁉︎ナメるなよ。ゴミ屑が!!お前は楽には殺さんぞ」
ハイリの言葉に勇者が激昂する。
「命乞いしてももう遅いぞ!お前の顔が苦痛に染まるまで甚振ってやろう。しかしこのままでは暗すぎてお前の顔がよく見えんな」
勇者は突然、左手を空にむける。
そして、「フレイシャーナ」と叫ぶ。
勇者が叫ぶと同時に戦艦上空に小さな太陽が現れる。戦艦一帯の海は、まるで昼間のように明るくなるだった。




