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勇者スレイヤー 勇者絶対殺すマン  作者: ランタン丸
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勇者の出航


潮の匂いが漂う白浜の海岸。空は快晴で絶好の船出日和だ。


白浜から見える沖の上には、3隻の戦艦が停泊している。3隻の中で一番大きい戦艦の甲板に勇者はいた。勇者は海を眺めながら、兵士からの報告を聞く。


「兵の乗り込みは順調でございます。この分なら昼には乗船が完了し出航準備が整うかと思われます」


「ちっ、まだそんなにかかるか、少しでも早く終わるように急がせろ!ととっと出航するぞ」

勇者は舌打ちをし後、急ぐように指示を出し、兵士を下がらせた。


戦艦はその大きさゆえに、白浜まで近づくことができず、海岸から手漕ぎ船で2刻ほどかかる距離の沖合に停泊していた。兵士たちは、皆船を漕いで戦艦の下までくると、そこから縄ばしごを使って戦艦に乗り込んでいた。

2万もの軍がその様な方法で戦艦に乗船ため、どうしても時間がかかる。



軍隊の将として一番に乗船した勇者は、待ちくたびれていた。勇者は苛立ちを紛らわせるためにワインのボトルを空け、グラスに注ぐと一気に飲み干す。そして2杯目を注ぎ、同じように飲み干そうとしたときに声がかけられる。


「ここに居られたのですか、探しましたぞ。勝利の美酒を味わっておりましたか」


声をかけて来たのは参謀の一人、マーベルであった。


勇者は手に持っていたグラスを手すりの上に置くとマーベルに文句を言う。


「出航の準備に時間がかかり過ぎているぞ!!いつまで待たせるつもりだ。こののままでは俺がこの船のワインを飲み干してしまうぞ!」


勇者の怒りが分かるとマーベルは申し訳なそうに口を開く。


「これは申し訳ございません。何ぶんガイア大陸の西側には目ぼしい港町ありませんので、この規模の戦艦が停泊できる港となるとそれなりの大きさが必要でして」


ガイア大陸の西側、つまりハール大陸側には戦艦をはじめとする巨大な船が停泊できるような港町町はなかった。これは100年もの間、ハール大陸側と交易が殆どなされていなかったためだ。


マーベルは事情を説明し、勇者に陳謝した後、さらに言葉を続ける。


「ガイア大陸の東側には魔族の大きな港町があると聞いております。次回の魔族討伐遠征の際は、東側から攻めるのはどうでしょう?大きな港町であれば多くの魔族がいるでしょうから魔族の討伐が進みますぞ!」


マーベルの言葉を聞き、勇者は口の端を大きくつりあげた。


「それは本当か?まだ魔族どもの巣食う地が残っているのだな。ならば、次の遠征も俺は参加するぞ。薄汚い魔族どもを駆逐しなければ勇者の名折れだからな」


「はっはっは、それは頼もしくございます。勇者様が我らが軍率いれば魔族など敵ではありまん」


勇者が次回も魔族討伐に参加すると申し出たことにより、マーベルは嬉しそうに笑った。


「しかし、この戦艦は見事だな。風魔法と水魔法を封じこめた魔石を使って船体を安定させつつ、風がなくとも海流に流されることなく進むことができるように造られている。それが3隻もあるのだから驚きだ」


「勇者様にお褒めいただきシエン王国の臣下として光栄でございます。この戦艦は我が国の技術と財を惜しげもなく使い製作されたものです。魔石以外にも戦艦に使用されている鉄鋼材と木材にはすべてに強化魔法が施されております。また、各戦艦には、船体の左右にそれぞれ40門ずつ大砲が設置されており、海戦においては無敵の強さを誇ります」


マーベルは嬉しそうに戦艦について説明する。よほどこの戦艦に自信があるのだろう。上機嫌に細かく戦艦について勇者に説明を続ける。

そして、長い説明を終えた直後、兵士から全兵が乗船し、出航準備が整ったとの報告がはいる。


長く続く説明に少しうんざりしていた勇者はその報告を聞くや、全兵に出航の号令を響く声でかける。勇者の号令に兵士たちは勢いよく「うぉー」と応えた。

兵士たちのかけ声に戦艦が小さく揺れると、戦艦が進み始めた。


3隻の戦艦は、ハール大陸の南西にある国シエンを目指して進むのであった。








3隻の戦艦の遥か上空にを飛ぶ小型のワイバーン。その背にハイリは乗っていた。そして戦艦が出航するのを見送ると小さく微笑む。その目には復讐の炎が宿っていた。




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