アメージング 事務所にて
― アメージングの事務所 ―
買い物袋を置くと、沙紀が言った。
「ほら蘭、暗くなる前に家に帰りなさい」
「やだ〜、蘭、ママと居たいもん。ママと一緒に新城のオジちゃんと遊ぶの」
「3Pですね」
「もう、この変態だけは!ちょっと、武さんいない?」
ロビーの方から足音がし、事務所の扉が開く。
「何でしょうか、社長?」
「武さん居て良かった、蘭の相手しててくれない?」
「かしこまりました。蘭お嬢様、私と散歩に参りませんか」
「あら、よろしくてよ」
武の差し伸べた手を取り、お嬢様気取りで歩き出す蘭。事務所を出る前に一礼し、外に出ていった。
「女王様も似合いそうですね、蘭ちゃん。」
「もう・・・、怒る気も失せたわ。それで?」
「はい?」
「私の貧乳に会いにきたという顔じゃないわね」
「それはどんな顔ですか?」
携帯を取り出して、沙紀が言う。
「こんな顔よ」
(-_☆)キラリ
「さすが沙紀さん、察しが良いですね。」
「だてにこの店やってないわよ」
「この娘をご存知ですか?」沙紀に写真を見せる新城。
「あら、可愛い娘ね。どこかで見たような気がするけど…」
「では、こちらを見て下さい」
新城から受け取り、目をやる沙紀。
― もう、貧乳とは呼ばせない。驚異のバストアップエキス配合。D―UP↑!! ―
「一万五千円です」
グシャッ!!
沙紀の手の中で、握り潰される D―UP↑ のチラシ。
「どこまでくそガキなのよ、この弁護士!」
身を震わせる沙紀。
「震えてもふるえませんよ、沙紀さ…」
パンっ!
新城をにらむ沙紀。
「沙紀さん、落ち着いて。」
「誰がさせてんのよ!」
怒る沙紀に、新城が再び手渡す。
「本当に、まったく…」
ぶつぶつと言いながら、目をやる沙紀。表情が変わった。
「元総理の中曽根 豊じゃないの…、あ、この娘中曽根の…」
沙紀がふと新城の方を見ると、新城が微笑んだ。




