閉塞と邂逅
「ガンダム、発進を、確認」
その報告に、艦長は、承認の、返事もせずに、外を、見つめていた。
全ては、事務的に、進められていく。
陰鬱で、冷たく、効率的に、素早く、処理されて行く。
敵の総数は、不明。
会敵しだい、準じ、対応せよ。
それが、今回の、ミッションの、あらましだった。
分隊は、何故か、わたしを、取り囲むように、展開し。
何だか、嫌な雰囲気だ。
モニタの、罫線が、乱れ始める。
それは、直ぐに、波線に代わって行く。
異常が、始まった。
そして、それが、自分の脈拍だと気づく。
その後、何かの、点に気づく。
仕方ない。
「チェック」
Aiは、問題なく、三つの点を、表示する。
右に、展開する。
味方は、それに呼応する。
それで分かった。
「ミサイルだ」
最初のイントネーションで、察知した各員は、散開する。
「当たらないよ」
各員、全弾回避。
敵、発見。
そして、現れた。
奴だ。
全周、索敵するような、表示が、現れる。
「先読みでも、する気か」
敵が、撃ってくる。
牽制の、始まりだ。
味方は、付いて来れるかな。
操縦スロットの、スイッチ達が、ざわつく様な、振動を、伝えて来る。
不愉快なスラスター制御の、後に、全力加速に入る。
アイコンが、敵を、ロックする。
だが、そんな事に構っては、いない。
高速で、敵と、すれ違う。
あれは、味方に、くれてやる。
アイコンが、アウター表記のまま、加速罫線が、流れていく。
黄色の、ブラックマーク現れた。
「またか」
全天を、覆う、意味不明な、表示。
だが、見えた。
「ファンネルっ」
二、三発、撃ってくる。
センス無いな。
横に、飛び跳ねるファンネル。
それを、横から、撃ち落とす。
敵は、主力だ。
次の、ファンネルが、背後に回り込もうと、接近してくる。
「近いな」
本体は、近くに居る。
敵が、撃ってくる。
こちらも撃ち返す。
解らないのか、こっちは、牽制で、撃ってるだ。
次の射撃で、撃ち落とす。
二機の、ファンネルを、墜とした。
次は、本体が、出て来るな。
四つ、ファンネルが、姿を、現す。
「馬鹿にするな」
加速が早い。
敵の、本体が、直ぐに、視界に入る。敵の、盾を、ビームサーベルで、切り落とす。
さすがに避けられる。
そして、自分の、隙に、一瞬で気が付く。
横転をして、後ろに、加速する。
そこに、後ろからの、攻撃が、来る。
もう一台、居る。
「味方は、付いて来れないか」
それと共に、解らない、波線が、モニタを、全面を、覆い始める。
何だ、これは。
レバーを、切り替えて、全周を、見渡す。
何だ、これは。
「宙が、見えないじゃないか」
見つけ出した、ファンネル本体を、射撃する。
加速が、早い。
まただ。
感覚が、違う。
ファンネルが、撃ってくる。
もう一台は、潜伏か。
だが、位置は、大体、解る。
ファンネルの、本体が、螺旋を、描きながら、追いかけてる。
なら、もう一体は、たぶん反対に居る。
「私を囲んで、追い詰めたつもりか」
最大稼働で、矩形軌道を、限界進行する。
見えている敵から、見えない敵を、予測する。
不規則軌道を、打ち切って、加速する。
見えた。
邪魔な、波線が、一瞬消えて、詳細フィールドを、表示して、すぐに消える。
「余計なまねを、してくれる」
敵も、撃ってくる。
よく狙っている。
だが、もう私は、彼の背後に、立っていた。
「君、強いね」
かなりの至近から、三連射する。
敵の、モビルスーツが、爆散する。
直ぐ後に当たり様の無い射撃が、こちらに、放たれる。
「遠すぎるだろう」
一直線に、ファンネルが、飛んで来る。
一台を、ビームサーベルで、切り裂き、もう一台は、無視する。
「早く逃げろ。何をしている」
敵に向かって、そう叫んだ。
その時に、上下に、同時に、黄色の、ブラックマークが、現れる。
それは、次第に、大きく成って行き、視界を、遮るほどに、拡大していく。
「何の、まねだ」
敵の、ロックオンマーカーらしき物が、敵を、追いかける。
だが、それは、一つでは無いのだ。
「何を、考えている」
あらぬ方向から、ビームが、やって来る。
それを避けた。
すぐに、そのファンネルを、撃ち落とす。
その後は、左の盾で、ビームを、受け止めながら、敵に、接近する。
みるみる大きく成って行く敵。
敵も回避運動は、している。
だが、大きくなって来る。
私は、何の思考も無く、ただ、ライフルを、撃った。
ただ、それだけ。
敵は、爆散した。
もう、視界は、完全に、謝絶されていた。
「やっていられるか。こんな事」
加速して、帰還コースに入る。
「こちら、ガンダム。これより帰艦する」
「帰還は、許可できない。戦闘を、続行せよ」
「知るか。そんな事」
その時、オープン回線で、通信声が聞こえた。
「お前を、生きて返さない」
私に、急速接近する。モビルスーツが、有った。
「バカが」
私は、そう叫んだ。
そのモビルスーツは、下から撃たれた、三方向からの、ビームで、射貫かれて、爆散した。
味方の攻撃だ。
私は、苦々しい顔で、沈黙した。
ハッチの中に侵入して、着艦する。
モニターの、表示は、何かを、掃除するように、普通の、表示に、戻って行く。
どうせ、モニターデータは、オーバーライドされてて、記録には、残らないのだろう。
ガンダムの、ハッチを、開ける頃には、モニターは、正常に成っていた。
ガンダムから、出る。
すると、そこに士官が、待ち受けていた。
「敵前逃亡は、重罪だ。わかっているな」
私は、相手を、睨みつける。
「手錠を、掛けろ」
戦闘の結果が、これか。
私は、士官に、軽蔑の、眼差しを、向けた。
士官は、その態度に、意も介さずに、人を、見下したような目線を、おくってくる。
これで、終わりか。




