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第104話 リリナの新しい武器

 翌日、オリスさんにガランの街の鍛冶場を使わせてもらえないかと相談すると、快く街の鍛冶場を紹介してもらえた。


 俺は紹介してもらった鍛冶師のレイスさんに頭を下げる。


「すみません。急なお願いなのに聞いてもらってしまって」


「あ、ああ。気にするな。ただ、あれだ……暴れたりするのは勘弁だぞ」


 レイスさんは俺をちらっとみて、控えめにそう言ってきた。


 やはり、偽金を売りさばいていたのが俺ではないと判明しても、元々あった悪評が消えるわけではないらしい。


 そのせいか、下出に出た俺を見て目をぱちぱちとさせていた。


「レイス。ロイドさんに失礼なことを言わないでくれ。悪評は嘘の噂だと言ったはずだ」


「いや、分かってはいるんだ。ただ他の街の同業者から聞いた話を考えると、いちおう注意せずにはいれないだって」


 俺はそんな二人の会話を聞いて、気まずさから頬を掻いた。


 多分、同業者から聞いたという噂は本当だと思う。それだけに、一体過去のロイドが何をしたのか少し怖くもあった。


 すると、俺の隣でリリナが嬉しそうに銀色の耳をピコピコと動かしていた。


「ロイドさま、ロイドさま! 本当に私に武器を作ってくださるのですか?」


「ああ。前に作ってやるって約束したからな。ルナの跡を追うのにも時間が必要だし、ちょうど良いだろ」


 普通にルナを見つけるのは難しいと考え、オリスさんを通して憲兵団の方にとある情報の収集をお願いしておいた。


その情報収集に少し時間がかかるとのことだったので、その間にリリナの武器を作ってしまえば、俺たちのパーティ事態の火力が上がることになる。


 戦いの準備をするには、一番良い時間の使い方だろう。


「リリナの新しい武器ですか。ロイドさま、どんなのを作るんですか?」


 アリシャは少し考えてから、ちらっと俺を見上げて首を傾げる。


 リリナはずっと短剣を使ってきた。ここで火力を出すために大斧なんかを持たせたら、戦い方をまたガラリと変える必要が出てくる。だから、いきなり武器の形状を大きく変えるようなことはしたりしない。


 あくまでこれまで通りの戦い方ができて、かつ火力を上げることができるであろう武器。


 俺はそんな武器を頭に思い浮かべて口を開く。


「湾刀を作ろうと思う」


「湾刀? 湾刀って、刀身が沿った刀ですか?」


「ああ。サイズ感的には今の短剣よりも少し長く、脇差しくらいの長さの剣にしようと思う。湾刀なら連続攻撃もしやすいし、刀が食い込みやすいからダメージも大きく入るはずだ」


 長剣にしてしまうとリリナの速さを上手く活かせない気がする。


 確か、昔観た武器の紹介動画か何かで湾刀は、ダメージを与えるのに合理的なデザインをしていると言っていた気がする。


 すると、俺たちの会話を聞いていたレイスさんが目を細めて俺を見た。


「ほう、タダの冒険者にしちゃ知識があるんだな」


「武器が好きだったんで、色々調べたりしてたんですよ」


「なるほどな……刀を打つなら、こっちに来な。道具の場所を教えてやる」


 レイスさんは少し何かを考えてから、俺を手招きして鍛冶場を案内してくれた。


 なんかさっきよりも少し距離が近づいた気がするのは気のせいだろうか?


 俺はそんなことを考えながら、案内してもらった場所で『生産』のスキルを使用して湾刀を打つことにした。


 初めて見るはずの始めてみるはずの鍛冶の道具に手を取り、さっそくリリナの剣を作っていったのだった。




「で、できたぞ」


 俺は完成した湾刀を天井に掲げる。


 俺が作った湾刀は、海賊が持っているような刀身が少し太いカットラスのような剣だった。握りやすさと軽量化のためにナックルガードは取ってある。


 リリナの戦闘スタイルに合わせるため、長さは脇差しくらいの刀身をしてある。


 ふむ、なんか双剣の片方みたいで、中二心を刺激する剣だ。


「それにしても……完成するまでに滅茶苦茶時間がかかったな」


 『生産』のスキルがあるおかげで作業に躓くことはなかったが、単純に作業量が多すぎたのだ。


 ……ラノベとかアニメで簡単に作ってたくせに、実際に作ると滅茶苦茶手間がかかるんだな。


 まぁ、中々ルナの情報も掴めなかったし、他にすることがなかったと言っても、随分時間がかかってしまった。


 ただそのおかげでいい湾刀が作れたのは確かだった。


「ロイドさま! できたって本当ですか⁉」


「ああ。ほら、持ってみな」


 俺の声が聞こえたのか、離れた所で見ていたリリナが俺のもとに駆けよってきた。


 俺が湾刀を手渡すと、リリナは『おおっ!』と感動の声を漏らして湾刀を嬉しそうに見つめていた。


「凄くかっこいいです! ありがとうございます、ロイドさま!」


 それから、リリナはきらきらとした目で俺を見てきた。


 どうやら、リリナは俺の作った湾刀を気に入ってくれたらしい。無邪気に喜ぶ姿を見て、俺はここしばらく剣を打つばかりで溜まった拾いうが吹き飛んでいくようだった。


「これをロイドさまが作ったんですね。凄すぎます」


「ああ。とても、素人の作った剣じゃないぞこれは」


 すると、遅れてやってきたアリシャとレイスさんが、リリナが掲げている剣を見てそんな言葉を漏らしていた。


 まぁ、これも全部ロイドの『スティール』の力のおかげなわけだから、素直に喜んでいいのか分からない。


 それでも、リリナがこれだけ喜んでくれたのなら、作ったかいもあったという物だろう。


 俺がそんなことを考えていると、ひょいこっとオリスさんが鍛冶場に姿を現した。初日以外は別の仕事があると言って中々姿を見せなかったのだけに、久しぶりに会ったような気さえしてくる。


 それから、オリスさんは一枚の紙をひらひらとさせながら俺を見る。

「ロイドさん。遅くなりました。ここ最近被害のあった村のリストと地図をまとめてきましたよ。見てください」


「本当ですか⁉ ありがとうございます!」


 俺はオリスさんの言葉を聞いて、急いでオリスさんのもとに駆けよった。


 俺はオリスさんが机の上に広げた紙を見てから、少し考える。


 オリスさんが広げた紙には、ここ最近誘拐被害のあった街の情報がまとめられていた。そして、それらは、どれも近い距離で行われたものだった。


 俺はそれ等のまとめられた情報を見ながら、オリスさんを見上げる。


「ちなみに、これらの誘拐被害があった街の近くで、近くでまだ誘拐の被害に遭っていない珍しい種族がいたりしますか?」


 すると、オリスさんは少し考えてからとある街を指さした。


「確か、この周辺にハーフリング族の村があると聞きました。珍しさで言えば、結構上位に来るかかと」


「なるほど。そうなると、次にルナが現れる可能性があるとしたらそこですね」


「リリナ、アリシャ。俺たちでルナを捕らえるぞ。そして、ルナの裏にいる黒幕を捕まえて、今後ロイドの名前を使って悪さをするようことができないようにしてやる」


「「はい!」」


 こうして、戦いの準備を万全に済ませた俺たちは、ルナの確保に乗り出すことにするのだった。


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