バスルームでの解放
「ふふ、可愛い。じゃあ、前も綺麗にしてあげるね」
アミの指先が、白い泡と一緒に蓮の胸元から、さらに下へと滑り落ちていく。
遮るもののない、お風呂場の狭い密室。アミの濡れた肌が蓮の身体にぴったりと密着し、湯気の熱気とは違う、彼女自身の体温がダイレクトに伝わってくる。
「あ……っ、アミ、ちゃん……」
蓮の口から、掠れた声が漏れた。
アミの、プロとしての容赦のない、けれどどこまでも優しい手つき。泡に包まれた彼女の手のひらが、蓮の最も敏感な部分を捉え、ゆっくりと、しかし確実に熱を帯びさせていく。
駅のホームでの張り詰めた緊張感、一昼夜眠れなかった脳の疲労、それらすべてが、アミの指先がもたらす極上の刺激によって、ドロドロに溶かされていく感覚。
「蓮さん、ここ、すごく固くなってる……。気持ちよくなって、全部置いていっていいんだよ?」
耳元で囁かれる甘い言葉が、最後の引き金だった。
アミの手のひらの中で、蓮の身体の奥底からせき止められていた熱い衝動が、一気に跳ね上がる。
「は、……あ……っ!」
蓮はアミの細い肩にしがみつき、のけぞるようにして身体を震わせた。
頭の中が真っ白な光で満たされ、自分の内側にある熱い「魂」のようなものが、アミの手の中へと、激しく、何度も放出されていく。
視界が激しく揺れ、シャワーの水しぶきが、まるで遠い世界の出来事のように白く霞んで見えた。
「――っ、はぁ、はぁ……」
すべてを出し尽くし、蓮の身体から完全に力が抜ける。彼はアミの胸元に顔を埋めるようにして、荒い息を繰り返した。お風呂場の床を流れる水が、二人の足元で白く濁り、やがて排水口へと吸い込まれていく。
アミは、そんな蓮の背中を、母親が子供をあやすように優しくトントンと叩いた。
「よく頑張ったね、蓮さん。全部出せて、スッキリした?」
その完璧な優しさに包まれながら、蓮の胸には、やはりあの冷たい現実が戻ってくる。
(こんな風に僕のすべてを優しく受け止めてくれるアミに、僕は、お金以外の何で応えられるっていうんだろう……。彼女にとって、僕はただの『洗い流すべき仕事』の一つなんだ)
温かいシャワーのお湯が、蓮の涙のような切なさを、静かに洗い流していった。




