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サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
12/21

第十話 忍び寄る影

先に言っておきます。

急展開です。同時に、謎展開です。

作者が狂ったわけではありません。ご安心を。

それでは、第十話お楽しみください。

Now lording...

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Wondows/system :[■■■■□□□□□□]40%

2019/9/28 A.M.08:00


「あれ、そういえば昨日、情報交流もするはずだったんだよな...。」


少し気づくのが遅かった。


あまりにも楽しい時間だったため、情報交流のことをすっかり忘れていた。


それだけじゃない。


「主がデザート持ってきてたんだっけ。いろいろ忘れすぎだろ。」


結局昨日は、パスタを食べながら談笑し、食器を片付けた後、三人でテレビを見た。


やるべきこともやらずに、楽しむだけ楽しんだ。


「ミチルだったら、こういう時にこそ、7INEのグループトークが役に立つんですよ!とか言って、ドヤ顔するんだろうな。」


そう思い、7INEのグループを開くと、ノートに新しいメモが加えられていた。


主「これからは全員、下の名前で呼び合うように!!」


「分かってるよ。一番分かってないのお前だろ...。」


わざと、画面に向かってそう言ってみた。


下の名前で呼び合うという決まりは、ミチルの提案で決まった。


まさに昨日の出来事である。


「さてさて、本題に入らなきゃ...。」


翔「なぁ、昨日情報交流忘れてたよな?いつする?」


主「あ、デザート忘れてた!」


主からはすぐに返事が返ってきた。


ただ、会話になっていないが。


翔「デザートも忘れてたな。んで、情報交流は?」


主「うーん、日程がなぁ...。次に時間を確保できる日、実際まだわからないんだよね」


主だって、忙しいのだろう。


あんな子どもっぽい感じをしていても、社長で、一つの企業を営んでいる。


なかなかの人間だと思う。


扇「あの、今晩にでもグループトークで話せませんか?本当は会って話す方がいいのでしょうけど、早めに話し合ったほうがいいとも思うので」


主「まぁ、そうだね。晩なら、暇だし」


翔「決まりだな。じゃあ、やることあるから、とりあえずドロンする」


そう書き込んで、携帯をしまった。


ミチルの話し方がいつもより硬い気がした。


「まぁ、まさかとは思うがな。弟がいるとか、言ってたけど...。」


デザートは、自分一人で食べてしまうことにした。



________________________________________________

Now lording...

データを取得中...

2019/9/28 A.M.11:30


今日は、初めての出勤日。


田舎から東京に出てきて早くも半年。


やっとの思いで就職することができた。


「いやー、緊張するなぁ...。」


就職先は、A's電機。


昔からゲームや機械類が大好きだった自分にとって、まさに適しているだろう。


「やっぱり、上司とか怖いのかな...。優しい人が多いといいな。」


自分は少々内気な部分があるが、それでも東京に出てくるとなって、ここまで頑張ってきたんだ。


きっと、うまくいく。


もう一度ネクタイを締め直し、身なりを確認し、いざ社内へ。


「おはようございます!」


「......おはようございます。新人さんですか?」


社員の方らしい女性が答えてくれた。


会話になると、少し嬉しい。


「あ、はい。進藤(シンドウ)といいます!よろしくお願いします!」


完璧だ。自分で思い描いていた通りの挨拶ができた。


「あ、えぇと...配属先はどの部署ですか?」


「はい!商品開発部です!」


「でしたら、ここの通りをまっすぐ進んでいただいて、突き当りを左に......。」


「あ、場所を教えていただけるんですか?ありがとうございます!」


「あの、恐縮ですが、ここはエントランスですので、周りの方々の迷惑にならないよう、お静かに願います...。」


「あ...すいません...。」


とまぁ、田舎でもこんなことばっかりが続いたせいで、クビになったわけだ。


どうしても、途中で熱くなってしまうんだよな...。


「あ、新人ちゃん?おいでおいでー。」


「どなたですか?」


「あ...!社長ですよ...!」


「ははは、そんなにかしこまらなくてもいいのに。」


やっべ、いきなり社長に出くわして、しかもどなたですかー、だなんて聞いちゃったよ。


「しゃ、社長!?え、今日からお世話になりま...。」


「進藤君でしょ?採用したのは俺だし、分かってるよ。じゃあ、この子案内するから。玄関は任せたぞ!」


問題なかった...なかなかオープンな会社なのかな、と思ったが、今時珍しいなと言った方が、いいのだろう。


「あ、はい。」


受付の人的な立ち位置なのかな、この女性は。


なら、あまり関係なかったのか...。


「ついておいでー、進藤君。」


「あぁ、わかりました!」


今日から充実した東京ぐらしが始まる予定だったのに、最初からしくじりまくっている。


この先どうにかうまくやらないと...。



________________________________________________


「うんとね、今日から君には商品開発部の一員として働いてもらうわけだ。」


そんなことはわかっている。


見たところ、身なりはきっちりしていて、見た目はそこまで悪くない。


そこそこ稼げているのだろう。


ただ、話し方が...。


「そこでね、君に部下を三人プレゼントするから。上手に使ってあげて。それと、一応君は一部隊のリーダー的な立場になるんだけども...。」


へ...?就職した瞬間上司とかどんな状況?


「部隊のリーダー達をまとめるリーダーのところに今から連れて行くから。」


挨拶しろってことか。それにしても、なんで僕なんかが、こんなに優遇されているんだろう...理解できない。


三人の部下持ち上司...明らかに、就職したてホッカホカの新人ちゃんの立場ではない。


ついでに、この社長はとてもチャラいような印象がある。


果たしてこんな人について行って大丈夫なのか...?


「おーい、連れてきたよ。今日からの新人さんだから、いろいろ教えてあげて。はい、これ資料。」


「え、急に来たと思ったら...。私だってまだ教えられてもいいくらいなのに。」


「まぁまぁ、そこは君のスキルでどうにかしてくれ。じゃあ俺、今日はもう帰るから。頑張ってね!」


「うぅ...お疲れ様です。」


本当に大丈夫か?この社長は...まだ昼の12時だというのに、帰っちゃった。


なんで回るんだ、この会社...?


「えと、進藤です。今日からお世話になります。」


「私は扇。少し前に、商品開発部のトップになったばかりだから、あまり教えてあげられることも少ないけど、よろしくね。」


少しおっとりとした感じの印象を受けた。


顔は、まぁ、美人だね。という感じ。


身長が低めっていう所と、小顔なところがなんとなく女性らしさを醸し出している。


メガネが似合いそうだな。


ただ、少し前に、というセリフには少し引っかかった。


「えと、少し前とは、どのくらい前なのですか?」


「ちょっと言えないかな。いろいろあったんだ。」


思ったことがすぐ口に出てしまう性格なもので、たまにこういう事態になる。


なんというか、場の雰囲気が崩れるというか...。


「あぁ、はい。申し訳ございません...。」


「謝らなくていいのよ。じゃあ、まずは何をしたらいいのか説明するね。」


「あ、はい。」


僕は、メモを取るためにノートとボールペンを用意した。


「えと、商品開発部の中にも、いろいろな部門があるわけなんですけど、あなたが配属されたのはアイデア部門です。いろいろなアイデアを出してもらいます。」


「はい。」


「以上です。」


「へ?」


「...だから言ったんですよ、社長にも。絶対こういう反応をされるから、って。私も最初そうなったわ...。」


えぇ、えぇぇ!?社長さんゆるっゆるだな!!


大丈夫かよ、おい。


もちろん、ノートには一字も書き込むことがなかった。


「え、本当にそれだけなんですか...?」


「うん。一日中デスクワーク。月に一回アイデアシートを提出してくれるだけでいいよ。今はね。」


この会社がなぜ回るのか、という謎がますます深くなっていった。


「たまーに、帰省とかで人が減っちゃう時があるんだけど、そういう時には工場の方に回ってもらうこともあるんだよね。でも、最初の一週間か二週間は、大丈夫だから。」


「それは、扇さんもやることがあるんですか...?」


「あるよ。人数の埋め合わせだー、とかって言ってた。社長もたまに手伝ってくれるらしいんだけど、私は見たことないかな。」


...大丈夫か。俺の東京ぐらし。


始まって早々瀕死状態に陥っているような気もするが...。


まぁ、これも仕方のないことだ。


ーーなんせ、仕事だから。


「そうそう、生まれはどこ?」


「はい、北海道です。〇〇町っていう、山と山の間にある小さな田舎なんですけど...。」


ーーって言っておく。


「へぇー、親孝行のために上京してきたの?」


「そうです。やっぱり、貰った恩は返さないと...。」


ーーって言っておく。


「まぁ、大変なこともあるだろうけど、頑張ってね。」


「はい。足を引っ張ってしまうこともあるかもしれませんが、これからよろしくお願いします!」


ーー上っ面だけの挨拶、ご苦労様。僕。


「えっと、あ、部下がつくんだ。確かに、この三人は使う側より使われる側の方が輝きそうだなー...。」


...?少し前にトップになったばかりだ、という人間の発言じゃないぞ?


「やっぱり社長ってそういうの分かるんだな...。」


あ、社長が言っていた言葉なのか。


いや、それでも納得ならん。


あの社長からそんな言葉が出るところを、全く予想できない。だって、あんな社長が...。


うちの社長の方がよっぽどましだぞ。


「じゃあ、これから部下三人に自己紹介してもらいましょう。とりあえずここで待って。今呼び出しかけるから。」


そう言って、扇は受話器に手をかける。


うーん、少々微妙な感触だが...この会社で間違いないはずなんだ。


うんうん。気合を入れていかないと...。


せっかくの人生なんだ。楽しんで行かなきゃ。


とりあえず今は周りに合わせて...。


ーー僕の仕事は、まだまだ始まっちゃあいないんだ。





新キャラの進藤さんです。これから彼のこともよろしくお願いします。いろいろなものを抱えていそうな感じですね。これから三人にどう関わっていくのでしょうか。

それでは、次回も良しなに。

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