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サクッと世界が終わらせられた話  作者: ☆4IPON☆
第一章
11/21

第九話 記念パーティー

早くも一ヶ月が経ちました。

そろそろ新章に突入?なんて事もなく、今話も始まります。

それでは第九話、お楽しみください。

「薄羽の作るパスタ...楽しみだなぁ。」


薄羽の家の玄関前で、不意に口から言葉が漏れる。


「そうだね。俺も楽しみ。早く食べたいなぁ...。」


相田は、私より先に到着していた。


「俺、パスタのために昼飯食わなかったんだよ。もうお腹ペコペコでさ。」


世界を終わらせようとしてるのに、なんて平和なんだろう。なんかもっと、こう、苦労とか惨事とかが起こってもいい気がしていた。


もっとも、起こらないに越したことはないが。


それでも、少しうまく行きいきすぎているような気がしてならなかった。



________________________________________________


玄関をくぐると、美味しそうな匂いが漂ってきた。


薄羽はすでに調理を始めていたようだ。


「お邪魔します。」


「お邪魔するよー。」


私と相田は、そう言いながら靴を脱ぎ、リビングへ入る。


「あぁ、とりあえず食器とかの準備頼むわ。」


「あ、はい。」


「薄羽、デザート持ってきたよ。」


「ん?そうか。ありがとう...?冷蔵庫空いてると思うから、ぶっこんどけ。」


そんなものを持ってきているとは...いつにも増して、相田のテンションが高い。


「もう少しで、できるから。座っとけ。」


「うん。わかった。」


もう、この二人には、慣れた。


最初の頃みたいに、ずっとビクビクするようなことは、なくなった。


この二人からは、不思議な何かを感じる。


そう思った。


「あ、そうだ。聞こうと思ってたんだけど、薄羽ってパスタ以外に好きな料理とかある?」


「少し前までなら、ピザとか作ってたな。まぁ、飽きたから最近は作ってないけど。」


「ふーん、ピザかぁ。」


「どうしたんだよ。今度は俺が振る舞う!ってか?」


「え?いや、別に...そんなんじゃないよ?」


「明らかに、図星...って感じですね。」


「可愛い性格してんなぁ、相田さんよぉ。」


「......ええもん!すっげぇ美味いの作って、びっくりさせたるからな!」


「急に方言入りましたね...。」


「あ、俺都会育ち。ネタだよ、ネタ。」


「ほら、出来上がったぞ。さっさと食おうぜ。」


そう言いながら、薄羽は完成した料理をテーブルに運んだ。


「あれ、今更かもしれないけど...テーブル変わった?」


「あれ、そういえば...前来た時はこんな感じじゃなかった気がします。」


「あぁ、頻繁にやってきそうなお客さんが二人ほど増えたからな。迎え入れた時に、快適な環境で飯を食って頂きたく、テーブルを買い替えたのです。」


薄羽は、少し嫌味っぽくそう言った。


「そのお客さんって俺と扇?へぇー、なんだか、前のテーブルより部屋に馴染んでる感じがするな。」


「当たり前だろ。俺が選んだんだし。」


「薄羽には、センスがあるようですね。」


「これもパスタのおかげ...パスタを料理することによって磨き上げられた俺のセンス...。」


「ふふっ、ユーモアのセンスもあるみたいですね。」


「薄羽ばっかり褒められてなんかずるいぞ!俺のことも褒めてみろよ!」


「さぁさ、くだらないことは後にして、まずは食おうぜ。」


「え!?くだらないって何!?」


「「いただきまーす。」」


「あ、いただきます。」


私と薄羽が手を合わせたのに続いて、相田も手を合わせた。


「ていうかさ、後にして、って言ったよね?てことは、後で褒めてくれんの?」


「その後、っていうのが何年先になるのか分からんが、まぁ嘘は言ってないつもりだ。」


「えぇー...。それって何か意味あるの?」


「特にないけど...。どうだ、俺のパスタ?」


「最っっ高に美味いぞ!」


さっきまでの話はもういいのかと、つっこみたくなった。


「あ、昨日ネットでみたんですけど、円周率って10桁で割り切れたらしいですよ。なんでも、これまで計算を間違えていたらしくて...。」


「え!?まじで!?うっわー、小学生のとき、3.14で頑張って計算してたの覚えてるわ。」


もちろん、10桁で割り切れただなんて嘘だ。


「そして中学生になったら、今度はπなんて出てきてな。これまでの努力は一体...。ってなったのも覚えてるわ。懐かしいなぁ。」


「ふふっ、こんな嘘に引っかかっちゃうだなんて、相田さんはとても純粋ですね。」


「純粋っていいことだと思うぞ。褒めてやろう。」


「え、嘘だったの?やっぱ円周率って永遠と続くんだな。ていうかさ、なんで俺だけそんな褒められ方雑なの!?」


「褒めるのに、雑も丁寧もないだろ。」


「相田さん、今日はすごくいじられてますね。」


「くぅぅ...パスタがうますぎて反論できない...!」


薄羽の作るパスタは、本当に美味しい。


もはや、世界中の料理人が認めそうなくらい、美味しい。


「薄羽は、なんでパスタにはまったんですか?」


なんとなく聞きたくなったから、聞いてみた。


「昔、一度だけ家族とパスタの店に行ったことがあってな。始めて食うものだったから、最初は少し拒絶してたんだけどよ、食ってみたらすげぇ美味い、ってなってさ。」


「へぇ、それで自分でも作ってみようっていう流れに?」


「まぁ、そんなところだな。一時期はマジで料理人を目指してたときがあったぜ。」


「なんで料理人にならなかったの?薄羽だったらすごい人になっちゃいそうだけどね。」


「すごい人って、なんかまたすごいザックリとしてるな。料理人になるより、やりたいことができたから。」


「その、やりたいことって?」


相田のこの質問によって、薄羽がこの計画にとても積極的になっている理由がみえた。


「俺パスタを食う前までの夢は、テレビの中の人、だったんだ。まぁ、つまりは大物になりたい、って話だ。」


「俳優とか、スーパースターとか、そんな感じ?」


「うんうん。まぁ、それがどんどん肥大していって、総理大臣とか、大統領って話になってよ。」


「一気にハードルが上がりましたね...。」


「成長して、現実を見て、無理だってことが分かるようになる頃、俺はでかいことを成し遂げたい、っていう気持ちに変わっていたんだ。」


「へぇー、それで料理人にはならなかったのね。なんか、夢をはっきり語れるってスゲェな。俺は社長になりたいって言ってたらマジでなっちまった身だからな。」


「それはそれで人並みはずれてると思うけどよ。ま、その夢をがっつりこじらせて、今に至るという訳だ。」


「だから世界を終わらせる気が満々なんだな。」


「あぁ。だからと言って、俺一人じゃ成し遂げられる話じゃねぇんだがな。相田と扇がいるから、この計画がうまいこと成り立ってるんだって、思うぜ。」


「お、嬉しいこと言ってくれるねぇ。」


「私なんて...やっぱり、相田さんと薄羽さんが一番働いているように見えます。」


「人間って、そういう風に見ちゃうもんなんだよ。俺だって、ちょっと前までは二人が超頑張ってるから、俺ももっと頑張らなきゃ、って気だったけどね。」


「あぁ、昨日の7INEの話ですか?」


「そうそう。やっぱり、全員が頑張って成り立ってるんだ。全員の力で、ここまで進んでこれたんだ。って気持ちかな、今は。」


「視点が、自分から見た周りじゃなくなったんですね。」


「あぁ、感動するねぇ。まぁ、これからもよろしくってことで。なんか昨日と話がほとんど同じな気がしてならない。」


「私も、それ思いました。」


「あ、そういえば俺さ、スルーしてたんだけど、てか、しちゃったんだけど、扇の下の名前って、ミチルなの?」


少し、ビックリした。


ずっと扇って呼ばれてきてたから、下の名前のことなんて特に考えていなかった。


「え、あ、はい。そうですけど、それが何か?」


「ファミレスでアケチって名前をつけたときさ、ミチルのチ、って言ってたよね。俺、あのときまで扇の下の名前知らなかったんだよ。」


「へ?あ、そうですか。」


「薄羽は知ってた?」


あ、まずい。一度二人きりで会っていることがバレる。


と言っても、カウンセリングの先生がたまたま薄羽だった、ってだけだけど。


もしかしたら、スルっと口が滑って...とか、ないよね?


少し不安になる私。


「...いいや、実際俺も知らなかったな。」


一瞬こっちを見て、察してくれたのか、嘘をついてくれたようだ。


優しい。薄羽がとっても優しい。


ついでに、話題の方向も変えてくれた。


「ていうかよ、下の名前が一番知れてないのって、相田の方だと思うんだけど、な?」


「え、二人とも知らないの!?」


と言ったときの相田の顔は、アニメや漫画でよく見るあのガビーンってやつを、まさに具現化しているようだった。


「いっつも主、主、って7INEで呼んでたじゃないか!」


「え、相田の下の名前って、(ヌシ)、なのか?」


「いいえ、(アルジ)です。」


全然知りませんでした。ごめんなさい。


その言葉は声に出さず、心の中にとどめておいた。


「あ、わり。全然知らなかったわ。」


代わりに薄羽が言ってくれた。


「えー!?なんか傷つくなぁ...。」


この柔らかい雰囲気が、大好きだ。


「えっと、あの...その...。」


「あれ、扇が久々にキョドってるよ?」


「あー、察し。」


「え、なんて言いたいか分かるの?」


「逆にわからねーってのがすごいよ。」


「あの、私たち三人、下の名前で呼び合いませんか?」


なんか、勢いで言ってしまった。すごく恥ずかしい。


確かに仲がいいとはいえ、私は女の子。彼らは男性。


よくよく考えてみれば、親しくしすぎだったような気がした。


「俺はいいと思うぜ。もしそれやるんだったら、俺のことは(カケル)でよろしく。薄羽って呼んだら怒っちゃうからな。」


そう言って、私に微笑む。


「薄羽がいいって言うなら、俺も賛成だ。呼びにくかったら、(ヌシ)でいいよ。」


薄羽に続いて、相田もオーケーと言ってくれた。


「え、じゃあ、あの...私はミチルって呼んでください...。」


「おう、ミチル。」


薄羽が超かっこいい。


素直にそう感じてしまった。


これはやばい。


「これからも頼むよ。ミチル。」


「はいっ、よろしくお願いします!」


パスタを食べながら、個人的には感動的に思えるストーリーが展開されていた。


「ところで主さんよぉ、お前さん早速俺のことを薄羽って呼んでくれたなぁ?数秒前に戻ってよく考えてみてくれよ。」


「え、あ、違う。翔?おーい、もしもし?そんなに怒らないで?え、なにその手...ダメ、こちょこちょはダメ。本当にダメ、あ...。」


この後どうなったかは、言うまでもない。


ちゃんとオチも用意されていたかのようだった。


これで、私たちの一ヶ月記念パーティーが終わった。



________________________________________________

Now lording...

データを取得中...

Wondows/system :[■■■□□□□□□□]30%

2019/9/28 A.M.08:00

~深刻なエラーが発生しました。

~この問題の解決策を検討中です...


「...ふぁーぁ...。あぁ、朝か。」


久しぶりに健康的な睡眠時間を確保した。


昨日は、本当に楽しかった。心から楽しめた。


そんな、記念パーティーの次の日の朝のこと。


「おはよう。姉さん。」


珍しく、弟が部屋まで挨拶しにきた。


「あ、おはよう。朝ごはん、もうできたの?」


少しの間をあけて、彼は言った。


「あの、姉さん、計画って、何?」



ーー視界が、真っ白になった。





はい。ミチルの弟に計画のことがばれたところで、今回は終了です。どうやって情報を手に入れたのか、また、そもそもなぜバレてしまったのか。どうやって勘づいたのか。などなど、様々な疑問を残して、次回へ続く。

それでは、次回も良しなに。

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