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覆水下手に返らず

自分で考えた工夫を誰にも聞かれてないのに自分で解説するという痛々しい言動ランキングでまあまあの順位に食い込む行いをさせてください。


サブタイトルの読み方は「ふくすいへたにかえらず」で、上手の手から水漏れをいじってから覆水盆に返らずを組み合わせたものです。面白いでしょ。ふんすふんす!


なんで恥ずかしいってわかっててそんなことしてんだって思いますよね。というのも、今後いろいろな人名とか地名が出る予定なのですが、僕は基本的に意味をもって名前をつけるタイプなので用意してある人命のうち一つの名前の由来を完全に忘れてしまったので俺今すっごいムラムラしてんねん………………僕は誰にクレームをつければいいのでしょうか。アホみたいなこじつけをした当時の自分でしょうか。

要するに自分の工夫をここにちょっと書いとけば忘れないんじゃないかなということです。

まあとにかく見ていってくださいよ~頼みますよ~旦那~

『光!現状戦えるのはお前だけだ!構えろ!』

「構えろって………………」


燈子が公園の入り口に陣取るように立ちふさがり、こちらの動向をうかがっている。織枝は何が何やらといった様子。相手はコヨミ憑きであり自分を殺そうとしている。コヨミ憑きは光も同じ。確かにこの状況をどうにか出来るのは光だけと客観的に判断せざるを得ないだろう。だが。


「構えるって何の構え………?」


格闘技のかの字も知らぬ光は織枝の様子に負けず劣らずといった感じだ。構えろと言われてもどうすればいいのか。


『お前というやつは………とりあえずその女の襟首を放してからだ。構えかたはなんでもいい。棒立ちだけはやめろ』

「お前格闘技詳しいのか………?」

『どうでもいいから早くしろ!』


まーたなんやぶつくさ言うとるわ。と燈子が眉をひそめる。光は言われたとおりに織枝を放すと適当にファイティングポーズをとる。


「あ、光くん………?逃げよう?あの人ケンカして勝てる相手じゃないよ、絶対………………」


「まあそう言ったりなや。光くんかてエエとこ見せようと必死やねんな。ようさっきの見て素人丸出しの構えでどうこうしようと思たなあ?ガッツあるで自分」


「あんなこと言われてるよ……」

『いいか、実感はないかも知れないがお前もコヨミ憑きなんだ!お前でもあれぐらいはたやすい!』

「………やっぱ無理だよな?」

『ああっしつこいやつだな!出来るようになってるんだ!』

「ただブツブツうっとしいんは我慢出来ひんわ!」


光と権兵衛の問答とて、傍から見れば気味の悪い独りごと。気を悪くした燈子は盛大に砂煙を起こす勢いで地面を蹴り光に飛びかかる。殴るにせよ蹴るにせよ体当たりにせよ、先ほどの街灯の支柱を素手で握り潰した筋力が全身に余さず付いているのなら間違いなく死んでしまうだろう。彼女が選んだのはパンチのようだ。光めがけて腕を振りかぶる。


(あっ死ぬな……走馬灯みたいなの見えてきた)

(なんで俺はあんな冷静にファイティングポーズなんて構えたんだろう)

(逃げても死んでたかなあ)

(でも今こうしてるよりは生きる可能性あったんじゃないのか?)

(死ぬのかな)

(もうちょい色々したかったな)

(友達とか彼女とか欲しかったな)

(もっと勉強すればよかったな)

(一子に兄貴らしいとこ見せたかったな)

(お父さんやお母さんに心配させたくなかったな)

(せめて俺が死んでも悲しまないでほしいな………でもちょっとだけ悲しんでほしいかも)

(結局、コヨミってなんだったんだろう……………コヨミ……そう、コヨミ、コヨミ?)


そう。


(…………さっきからやたらと時間が長く感じるのは、なんでだ?)

『教えてやろう』


《光がコヨミ憑きでなければ》間違いなく死んでしまうだろう。走馬灯に対して後悔のコメントを残す光の脳裏に権兵衛が語りかける。あのときの、無縁仏の前で聞いた老人の声だ。


『お前はコヨミ憑きだからだ!』

「ンぬあッ!」

「なッ!?」


光にはまるで練った水あめを垂らすような速度で時間が流れているように感じられ、襲いかかる燈子の動きが止まって見えていた。これは燈子が全力を出さずに地面を蹴ったこと。そしてコヨミ憑きの標準能力として得た超人的な、―否。偉人的とでも呼ぼうか。―その生物の限界を超えた動体視力を光が得ていたからに他ならない!

当然動体視力だけにとどまらず、先ほど燈子が見せたあの握力に始まり、腕力、脚力、持久力、耐久力!あらゆる「力」が彼の体に満たされていく!


光は手始めに耐久力と腕力を使った。燈子の手加減、というか脚加減の入った移動速度と腕力が乗ったこぶしを手の平で受け、制止させた。


「お、お前!なんでこれが止められ――――」

「おらぁっ!」

「ぐあああっ!!」


動揺の隙を突いて左手で掴んだ燈子の右手はそのままに、右こぶしで燈子の右肩を打つ!燈子は衝撃で後ろにのけぞるが、光はそれを許さずに掴んだ手で引き戻す!


『そうだ光、振るえ!死にたくなければその力を振るうのだ!自覚はあるか?お前は今全種目のオリンピック金メダリストでさえ凌駕する身体能力を持っている!力がみなぎるだろう!視界が冴えるだろう!それが我々の力だ!技術面は私がサポートしてやる!さあ戦え!』


権兵衛のまくし立てる通り、光は己の肉体が作り変えられてゆくのを感じていた。格闘技やスポーツのプロはこのような気分で体を動かしているのか?光はふと考えたが、それは大きな間違いだった。何せ、格闘技世界チャンピオンでさえこれほどの力は持っていないだろうからだ!


「ぬんッ!」

「ぐっ!」

「ウオラッ!」

「うあぁっ!」

「もう一回っ!」

「づあっ!」


殴っては引っ張り戻し殴っては引っ張り戻しの繰り返し!突如として行われた反撃に燈子は正常な判断力を失い、空いた左手はおたおたと役目を探すようにさまよっていた。

しかし、それも5回目の殴打まで。


「ナメんなやボケがァコラァ!!!」

「あぁックソ!」


ちょうど光がパンチのタメを作った瞬間に燈子は光の左腕を勢いよく蹴り上げ、右手にかかっていたグラップリングを振りほどくと7mほど距離を取った。


「おいコラ郡原。なあ、お前。いちびっとんちゃうぞコラ。ああ?」


燈子からは公園に来た当初の軽薄な雰囲気は消え失せ、今や不自然にぶら下がった右肩をかばいながら光に睨み殺すような鋭い視線を向けている。


「コヨミ憑きかお前。なるほどな。それやったらスカウトやなくて殺せっていうのは妙な命令やけども……」


彼女は、突然負傷しているはずの右肩をストレッチでもするかのように回し始めた。コヨミ憑きの力で5回も殴られた上に、同じ回数だけ腕をむち打ちのように引っ張られたのだ。おそらく骨折もしているだろう。あんな動きは相当な苦痛を伴うはずだ。

だが、彼女の腕はボキリと音を立てて止まると、何でもないかのように人体工学的に基本的な、正しい位置に収まった。


「多分言われんでも殺してたと思うわ。お前ホンマ覚悟しとけよ。どんなエピソードでも関係あらへん。殺すわ」

「埜羽嶺さん。公園の端の方まで避難して」

「ぐ、郡原くん?一体何が……」

「いっちょ前に無視して主人公ごっこに夢中かお前コラァァァ!!!」

「早く!!」

「わ、わかった!」


棒立ちで今の戦闘を見ていた織枝は光に急かされ、おぼつかない足取りで公園の奥へと向かう。光は今自分の力を自覚している。この公園はそれなりの広さがあるとはいえ目の前の敵を何かしらの方法で排除するとなれば織枝を巻き込んでしまうのは間違いないのだ。自分がやるのだ。自分ならやれる。光は大きい高揚感と若干の緊張を感じながら燈子に対して構えをとった。先ほどの素人同然の構えとは異なり、洗練された構えだ。これが権兵衛の言うところの『技術面のサポート』か。自然と体が正しい動きを選択している。


「ほんっでケンカ慣れしてへんのもポーズだけかお前ええええええええ!!」


怒りの慟哭を上げながら燈子が瞬時に光の目の前まで詰め寄り、こぶしを打ちこむ。どうやら燈子は脚力が光より強いらしい。他のコヨミ憑きと比べてどの程度なのか、それが彼女に憑いたコヨミのエピソードなのかはまだわからない。


「どこまでもナメ腐りよってお前コラァ!!ああっ!?」

「ナメてない!」


燈子のパンチをかわし、受け流す。その合間合間にいくらかもらってしまったが光も防戦一方では無い。すぐさま脳裏から権兵衛が光の肉体に反撃の手段と技術を浸透させ、実践させる。

燈子も同じく光の反撃に対して防御、回避を試み、反撃に対して反撃を行う。

どこまでも続く反撃の無限ループ。勝負が持久戦の様相を呈し始めた頃、それを打ち破ったのは燈子だった。


「フンッ!!」

「んぬぐあ゛ッ!!」


燈子は上半身でのパンチの打ち合いに気を取られガードがおろそかになっていた光の股間を蹴り上げた。金的だ。

下品と笑うなかれ。これが多くの格闘技において禁じ手とされていることからどれだけ凶悪な技であるかは想像に難くないであろう。


しかし、それゆえ中々決まる技ではない。人体の急所であるためほとんどの場合体が反射的に足を閉じるなどの防御行動を行うのだ。

光の肉体もそれに倣い、太ももで燈子の足を挟み込むことで蹴りの威力は大きく殺せたが、それでも完全防御には至らなかった。弱まりこそすれどコヨミ憑きの蹴り。一瞬の間を置いた後に壮絶な苦痛が光の下腹部を襲う。今はそれどころではない。しかし人間の体は未来の苦痛より今の苦痛に耐えることを優先するのだ。


「ぐっ………………!」

「ハハハッ!」


一瞬だった。

光は前屈みになって上半身をやや丸めた。股間をかばったのか、挟み込んだ燈子の脚を掴んで投げ技なり関節技なりに繋げようとしたのかはわからない。だが、激痛にあえぐ光の反応は遅く、戦う姿勢になっていなかった。

ただ体が自分を守るためにとる行動。戦う相手から身を守るための行動ではない。それでもわずか一瞬の隙。即座に権兵衛から檄を飛ばされ、頭のスイッチを切り換えたため、光が見せた隙はごくごく一瞬。だが燈子は、コヨミ憑きはその一瞬を見逃さない!

両手が自由とはいえ、脚を挟み込まれて片足立ちの状態である次の燈子の一手を誰が予想できようか?彼女は火を噴いたのだ!文字通り口から、炎を!光に向けて!


「なっ」

『振れ!』


何を振れというのか。漠然とした指示であったが光は理解できた。頭上から向かってくる火炎に対して権兵衛が選んだ対処法は『腕を振る』こと。手うちわのように炎に向けて腕を強く振ったのだ。

火炎放射に対してなんと間抜けな対抗策か。とお思いになるかもしれない。何の効果もなく腕を焼かれるのみだろう。しかしそれは常人の場合の話。コヨミ憑きの人間を越えた膂力を全力で振るえば、たとえ前屈みになった不安定な姿勢でもわずかに軌道を逸らす程度は可能なのだ。

光の全力の手うちわで火炎放射は光の頭部から逸れ、代わりに振るった右腕が焼かれることとなった。どちらかと言えば炎を吹き飛ばしたというよりは、炎の向きを変えて腕に集めた格好になる。なんにせよ、今の手うちわで光の全身が火炎に包まれるという事態は回避できた。


「チッ、凌いだか」

「ぐうっ!」


しかし、コヨミ憑きといえど腕を焼かれて無事であるはずがない。放っておけば腕から炎が全身に燃え広がる。太ももで挟み込んでいた燈子の脚を離し、地面に転がり込んで体と地面で腕を圧迫し腕の火をもみ消した。

すさまじい痛みが光を襲う。焼けた腕が砂や小石で擦れる痛みは並大抵のものではない。皮膚はズタズタに破れ、中の肉に小石が食い込む。普通の生活では決して感じることのない尋常ならざる痛みだ。

しかし、命のやり取りをしているシチュエーションが何かしらの脳内物質を多量に分泌させているのか。消火が完了したあとは本来感じてしかるべきであろう痛みはそれほど感じず、じんじんと擦りむいた時の痛みをやや強くした程度の痛みにしか感じない。


「結構痛くないもんだな」

『脳内麻薬によるものだ。気が抜けて元の状態に戻れば悶絶するぞ』

「そうかよ」

「郡原よお。随分慣れとるなお前。こういう状況得意そうには見えへんで。お前のコヨミがそうさせとんか?」

「一応………」

「ほおー?自我残しとんかいな。そら羨ましいやっちゃな。ウチのコヨミも自我残ってたら話聞きたかったんやけどなあ」

「………………取り憑いたら自我って消えるのか?」

「はっ!このニュービーが!消えんかったらこんな好き勝手するコヨミ憑きがおるわけないやろ?ウチがコヨミやったら全力で止めるわ。世の中変えるためにあの世から降りてきたのにやってること前世と一緒やったら世話あらへん………………ああ、ウチのコヨミはなあ、なんや図書室のマンガ伝記に載ってるようなんとちゃうからな」

「………………………」


光の問いに燈子が返すも、光は構えをとって深く呼吸をしながらじっと黙りこむばかりで何も言わない



「あ?なんやお前無視かいな」

「はい?なんて?」

「………………お前はホンマに殺すからな」

「えっ?何!?」

『お前俺に話しかけたのか?あの女自分に聞かれたと思ったらしいぞ』

「めんどくせえな………」

「ゴラアアアアアアア!!」


怒り心頭。怒髪天を衝く。無自覚の挑発に燈子は完全にキレたらしく、正真正銘の本気の速度で光に向かってきた。


『脚力増強に火を噴く能力か。単純だが近接遠距離両方こなせる器用な能力だな………』


権兵衛が一人ごち、光が横っ飛びで突進をかわす。ただの横っ飛びでもコヨミの身体能力を以てすれば数メートルは移動する。光はそのことに若干驚きながらも少しずつ自分の力を把握していく。

しかし………


「ドッジボールとちゃうぞボケがァ!」

「なっ!?」


的がズレた燈子はそのまま光の後ろに突っ込んで止まらないと思いきや、光の移動に反応して直角に曲がった。なんたる反応速度か!増強した脚力で地面を蹴り、それまでの勢いを全て殺して改めて光へと突っ込む。今度は極めて近い距離からの突進だ。光はかわしきれずもろに体当たりを食らう。


「ッッッッ………………!!」


接地面積を可能な限り広げるために腕、頭、肩を胴体にぶつける瞬間時速数百キロにも届こうというタックルをもろに胴体に受けた光は大きく後ろずさり、自分の体内から不吉な感触を感じた。骨が砕けた。内臓が潰れた。血管が千切れた。


………………だが、関係ない!


「掴んだ!」

「なっ!?」


光は自分の胴体に潜り込むように突っ込んできた燈子の肩をがっちりと鷲掴みにした。燈子は度肝を抜かれたような声をあげた。仕留めるまではいかなくともしばらくは、少なくともほんの数秒ほどはダメージで動けなくなる公算であった。その隙を突いて今度こそ火だるまにするつもりだった。


だが実際はどうだ。スピードを乗せた体当たり。それが彼女の必殺技の一つであり、ここから他の攻撃手段へ繋げることが常勝パターンだった。それを、まるでなんともないように無視され、あまつさえ反撃の足がかりにされそうになっている。


そして、光にとってこれは言わばチャンス。

今の光にアウトレンジで戦う手段は無いことは彼自身自覚していた―中距離でも怪しいぐらいだ―。なんせ、エピソードがわからないのだから。

かといってこちらから飛び込めばあの火炎放射の餌食になるのは間違いない。そんな彼にとっては、直角移動に面食らいこそしたが向こうからの体当たりなど待ってましたと言わんばかりの好機なのだ。本来は最初の突進を横っ飛びでかわしてそのまま真横からカウンターを決める算段であったが、燈子がそれに合わせてきたため手痛い反撃を―燈子にとっては追撃を―許してしまった。しかし、傷付くことに怯える者が、傷付いたことを恐れる者が、勝利どころか最後まで戦い抜くことが出来ようか?今の光にはまだその問いの答えを返せないので、あの反撃を強烈な痛手と捉えている………………そう、今は。


状況は好転したわけではない。まだ肩を掴んだだけにすぎないのだ!おそらくこのまま胴体なり顔面なりに向けた至近距離の火炎放射に繋げてくるのであろう。ならば、それを封じるまで!


「こうだ!」

「ガッ!?」


光は肩を掴んでいた右手を素早く燈子の頭の上に移すと、そのまま鷲掴みにして一気に押し込んだ。どこへ?そう、地面に向けて!

地面に頭部を叩き付けることが狙いではない。それは副産物のようなものだ。

光の狙いは……………彼女の顔を地面に固定すること!もっと絞り込めば口を!


「放………………せっ!!ぐううう!!がっ!クソッ!」

「やっぱり火炎放射は口からしか撃てないのか」

『憑いてるコヨミがなんなのか、気になりますね………………』


火炎放射敗れたり!先ほど、わざわざ光に顔を向けて口から火炎を放ったことから口からしか火を噴けないのは明白!他の末端部から火を放てるのであれば光と接触している脚でも、より自由に動かせる手から放てばよい。それを燈子はしなかったのだ。口からしか噴けないから!


自分の武器を封じられた燈子は強靭極まりない脚とコヨミ憑きとしては平均的な腕をばたつかせ、周囲の地面をめちゃくちゃに破壊していく。当然光としても放せと言われて燈子を放すわけにはいかない。解放した次の瞬間に自分の身が火だるまにならない保証がどこにあるのか。舞い散る土ぼこりが目に入り涙を流しながらも逃がすまいと必死になって押さえ付けている、


「こいっ!つっ!なあ権兵衛すげえ暴れるぞ!」

『そりゃあこのままだとほぼ間違いなく私たちに殺されちゃいますし。逃げますよねえ』

「殺………………!?」

『普通そういう発想になりますよ。殺そうとしてた相手に身動き封じられたら殺される可能性大でしょう』

「そういうもんか………………クッソ!おい、じっとしろ!」

『頭を潰すぞ、と脅してください』

「えっ…?ああ、うん。おい、さもないとこのまま、えっと…頭潰すぞ。じっとしろ」

『そうですそうです。はいもっと力籠めてー』


言われるがままに光は燈子の後頭部へより力を籠めた。人の頭がい骨は相当に堅いと聞いたことがあったが、今の光にはずいぶん脆いものに思えた。本当にこのまま押し潰せそうに感じたし、その感覚は誤りではなかった。

自分の頭部への圧が強くなったことを感じ取った燈子は抵抗をやめ、手足を地面にゆっくりと降ろした。


「わ、わかった……わかったから、緩めてくれ………」

『緩めちゃいけませんよ。逃げられたり不意打ちされる恐れがあるので現状維持です』

「ダメだ。不意打ちされる可能性があるからな」

「クソォッ………!」


決着。あっけないものだった。お互いが満身創痍になり持てる力をすべて出し尽くした末の勝利という劇的なものでもなく、小さな弱点を全力で突いて得て、降参の言質をとって得た実質的な勝利。


かくして郡原光による人生初の殺し合いは、光の辛勝という形で幕を閉じた。



三ヶ月とか書いておきながら五ヶ月以上も間を空けたアホです。

まあそんなことはどうだっていい。重要じゃない。ないったら。


で、前話のタイトルなんですがね、ブルーハーツの『皆殺しのメロディ』という曲の歌詞のフレーズを間違えて覚えてたんですよ。


皆殺しのメロディが切り裂きジャックを呼んでいるーってやつ。それを僕は『歪んだ紳士のメロディが』って覚えてたんですね。『しの』以外かすりもしてねえ。バカかよ。


それにしてもここまで遅くなるとは思わなかった………いやなんかニンジャスレイヤー読んでると戦闘描写にイヤグワ使わないのすげえ難しいんですよ。あれめっちゃテンポよくなるんですね。すごい発明だわ………………

そんなニンジャスレイヤーもすでに四部に突入しております。そこのあなた!こんなエクスタシーの無い小説よりもニンジャスレイヤー読んだ方がいいですよ!

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