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ママは女子高生♪  作者: 苺みるく


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ある日の休日⑦-1 高1(挿絵有り)

ピンコン♪



私がリビングで新聞を読んでいると、LI◯Eの通知音が鳴った。

あれ、なんだろう?誰かな??と思いつつ、開けてみたけれど何も来てはなかったんだよね。

あれ〜?確かに鳴ったよね?と、不思議に思い考えてみて分かった。

鳴ったのは、お母さんのスマホの方のLI◯Eだったんだよね。


私は通知音とかを特に変えていない。

で、お母さんも変えてないから同じ通知音で勘違いしたんだね。

出かけ先で側にいた人の通知音がたまたま一緒で勘違いする、そんな良くあるような光景。

だから、こういう時は混乱するね。

そんなことがあっても、私は特に変える気はないんだけどさ。


テーブルに置いてあった、お母さんのスマホを覗いてみた。

ああ、確かに通知のお知らせが表示されてるね。


「お母さーん、LI◯E来てるよ〜」


私はリビングを出て、階段の下から2階で洗濯物を干してるお母さんに伝えました。

聞こえたかな?ベランダで干してると恐らく聴こえないんだけど······。ちょっと心配になる私です。


「はーい。干し終わったら行くわ〜。」


良かった······。聞こえてたみたいで。


我が家は基本、お母さんがお父さんと葵の洗濯物をします。

そして私は自分のと雪ちゃんの洗濯物をする分担制です。

それは畳んでおくのも当然セットでね。

例外もあって、お母さんが朝から出掛けるとか具合が悪いとかって場合は、私が担当するけどね。逆も然りで。



程なくしてお母さんが上から降りてきて、スマホをチェックしました。

呼ぶには呼んだけど、これが何かの案内やお知らせといった特に用のない物の受信通知だったら凹むよね。

私もよくあるし。

忙しい時、手が塞がってる時に来た通知を確認してみたら、それこそどうでもいいようなお知らせとかだったとかさ。



「あら?お父さんからだわ。珍しい······。」


「お父さん?」


私というか私達は、家族のグループLI◯Eを作ってあるの。

何かの連絡をしたりだとか、雪ちゃんの写真を送ったりだとかで使うから。

だけど、お父さんからは基本来ない。個別でも。

雪ちゃんの写真を送ったりすれば『ありがとう』くらいは来るけどね。

お母さんなら夫婦だし、何かしらのやり取りくらいはあるんだろうと思うけど「珍しい」って先程言ってたくらいだから、本当に珍しいのだろう······。


「ちょっと電話してみるわね。」


「うん。」


そう言って、お父さんに電話をかけるお母さん。

さてさて、お父さんはどうしたのやら······。


「もしもし?どうしたの?? うん······うん···ん?···ちょっと待ってて。」


なんだろね?

通話したままリビングを出ていっちゃったよ。

行き先は······お父さん達の部屋かな? 

暫くして戻ってきたお母さん。その手には何か持ってるね。



「どうしたの?お母さん。お父さんなんだって??」


「はぁ〜······それがね、簡潔に言うと忘れ物したんだって。今日の午後に使うから持って来て欲しいってさ。」


困ったわ〜とお母さん。そらそうだよね。急だもの。

急の用事でもこちらに予定がなければまだいいけれど、何かしら予定が入ってれば無理っていう事もあるから。


「お母さんは仕事があるからこのは、貴女にお願いしてもいいかしら?」


「うん。いいよ。雪ちゃんの迎えまでは特に予定ないし、大丈夫だよ。」


「よかったわ〜。貴女がたまたま休みで······。」


そう。実は今日、平日だけど学校が休みなんだよね。

この間もあったけど、高校入試の関係でお休み。

詳しくは知らないけど、推薦入試とか一般入試とかの違いなのかな?


「お父さんの勤め先ってどこだっけ?家じゃ、その手の話はしないからよく知らないんだよね······。」


「えっとね······。」



そう言ってお母さんはパソコンをつけた。

その後にインターネットを開いて何やら始めたお母さん。

地図でも印刷してくれるのかな?


先程も話した様に、お父さんは家では極力仕事の話はしないんだ。

ただ単に私達子供の前で仕事の話をしないだけで、お母さんにはしてるかもしれないけれど。

なのでお父さんの仕事内容とかは、全く知らないんだよね。

どういった業務をしてるのとか、そういうのを。 


それでもさすがに、勤め先名は知ってるよ。

保険証にお父さんの会社の表記があるからね。

住所も乗ってるけど、詳しい位置は調べた事ないから大まかな市町村単位ぐらいしか分らない。

おまけに今日これから持っていく場所が、そことは限らないからね。



「はい、これ。お父さんの所ね。」


「ありがと。お母さん。」


そう言って渡してくれたのは、印刷してくれた地図だった。

やっぱり地図を印刷してくれたみたい。

どれどれ······。



「おぉ。結構遠い······大宮か?」


「そうね。ここからだと電車で1時間もかからずに着くわ。それに駅前辺りだから電車でいけばいいわよ。車だと逆に時間かかるし駐車場も探すの大変だからね。」


「うん。そうする。さすがにあの辺りに車で行こうとは思わないから。」


渡された地図によると、駅に近い場所だった。

なるほど······。保険証はさいたま市となってたけど、ここだったんだね。

ひょんな事からお父さんの詳しい勤務地を知った瞬間だった。


でも確かにここなら、電車の方が早いね。

車で行こうってなると、交通量もさることながら交差点なんかも複雑だったりなんだりで、大都市部って何だか怖いんだよね。

だから車を走らせるなら地方がいいです。


でも、夢の国なら行けそうかな?とは思ってる。

あそこなら直前までは高速でいけるし、今は複雑な首都高を経由しないで行けるようになったみたいだからね。


挿絵(By みてみん)



「それで、向こうに着いたらどうすればいいのか聞いてる?」


「えーとね、1階の受け付けに話を通しとくから、そこで呼んでもらえば来るって。時間はお昼、正午前ぐらいに来れたらお願いだって。」


「うん、了解。正午前ね。」


「よろしくね。お父さん、このはが行くとは思ってないから多分驚くわよ······。」



うふふふ、と笑うお母さん。

たまにいたずらっ子みたいなのが出るんだよねー。

昔、雪ちゃんのお披露目の時もそうだったしさ。

でも私も偶にサプライズ的な事をして驚かしたりする事があるから、こういう所は似たんだなーって思うことはある。


にしても、お昼前か。

急な出来事ではあったけど、時間的にはまだ結構な余裕があるね。

早めに気がついたのが、せめてもの救いかな?

これが間だったら諦めるんだろうけど、ギリギリ間に合うか?レベルだとこっちも焦るからねー。



「そうだ!」


「なに?急にどうしたの?お母さん?」


「今日、雪ちゃん迎えに行ってあげるから、少し向こうで遊んで来るなり買い物してくるなりして来なさいよ? トンボ帰りじゃ、勿体ないわよ。」


「······別にトンボ帰りでも、私は構わないけど?」


「いいのいいの。向こうならこっちにないお店もあるだろうし、おしゃれな飲食店なんかでお昼でも食べてきなさい。」


「はい、コレ。」と、交通費兼昼食代としてお金を渡されて押し切られてしまった。

全く、お母さんったら······。

ただこれを口実に、雪ちゃんの迎えに行きたいだけじゃないの?

そんな考えが見え見えだよ。


「ありがとう、お母さん。じゃ、お言葉に甘えてゆっくりしてくるよ。幼稚園には連絡入れとくからね。」


「はーい♪」


それでも結局、私はお母さんの提案を受け入れることにした。

お買い物云々は別にして、こういうお母さんは引かないのは分かってるから。

それに折角のお母さんの楽しみを取ってしまうのも悪いからさ。


折角向こうに行くなら、着替えて行こうかな?

今の格好でも問題ないと思うけど、折角お父さんの職場に顔を出すならもう少しちゃんとした姿の方がいいもんね。

着替えに行こうとして、ふと思った。



「ねぇ、お母さん。お父さんって、こういう忘れ物ってするの?」


気になって聞いてみた。

少なくとも私が雪ちゃんを産んでからは、こういう忘れ物をしたって事はなかった筈なんだよね。


「いや、多分ないよ?お父さん、しっかりしてるからね。こうして考えてみると、このはの真面目でしっかりした性格はお父さん似ね。逆に葵の陽気でちょっとおっちょこちょいなのは私似だわ。ほんと、良く似たものだわ。」


アハハハと笑うお母さん。

そう言われると確かに姉妹2人で全く違う性格してるなとは思う。

それに、それぞれがお父さんとお母さんに似てなくもないなと思うし。

雪ちゃんも見た目はもちろんだけど、性格も私に似てるって言われてたりもするし。

まぁそれでも雪ちゃんは、今後どういう風になるかは分からないけどさ。

そう考えると、遺伝って面白いよね。




  ーーーーーーーーーー



「じゃ、お仕事行ってくるわね。お父さんの方は頼んだわよ。」


「うん、任せといて! お母さんも気をつけて、雪ちゃんをお願いします。」


お母さんを見送ったあと、私もそろそろ出掛けようかなと思う。

まだ行くのには早い時間だけど、電車だから途中で停まっちゃうとかあると困るからね。

そういうのを考慮して、念の為に早めに行こうと思う。

それに早く着いたら着いたで、駅ビルでも行って時間を潰したっていいし。



大宮······行くの何気に初めてかな?

とゆうか、東京駅方面とか池袋、新宿なんかも行ったことすらないね。

小学生時代にそっち方面に行くともかなったし、中学以降は子育て一本だったから。

中学を休んでなかったら、社会科見学とか何かで行ったのかもしれないけど。


そう考えると私って、車で行った場所以外にほとんど行った事がないなって、今更ながら気がついた。

遠い所でも新潟の祖父母の家くらいだし、休日でも精々片道20キロくらいの位置のショッピングモールくらいまでだしね。

小さい雪ちゃんを連れてそんな遠くに行けないってのはあるけれど、私としてはそれでも別に不満とかないから気にしてないんだけどね。



さて、行こっかな。

戸締まりも一通り確認して、閉まってるのを確認済み。


そしてメインのこの書類袋。

出来ればバッグの中に入れて持っていきたい所だけど、サイズ的に入らないので手持ちになってしまった。

これが途中で車の中に忘れたとか、電車の中に置いてきちゃったなんて事のないように気をつけないとだね。

車に乗る時降りる時、電車に乗って降りる時。

その都度きちんと確認するようにと、心掛けて。



よし、行こう!


この歳にして初めての東京方面への一人旅。

旅ってレベルでは全然ないけど、気分的にはそんな感じ。

玄関を閉めて車に乗って。

目的地は一先ず隣町の大きなJRの駅。




「行ってきます。」



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