ある日の休日⑦-2 高1(挿絵有り)
お父さんの忘れた荷物を届けるべく、私は駅に来ています。
駅と言っても私の住む街の駅ではなくて、隣町の駅なんだけどね。
こちらは新幹線の停車駅の為、それなりに大きくて尚且つ私の街の駅よりも東京寄りなので料金も若干ですが安いのです。
またこちらの駅に行くのに私の家からの場合、川沿いの信号のない土手道を走っていけるので、距離の割に所要時間が極端に少ないというおまけ付き。
これが我が街の駅の場合は似た距離なのに、3倍くらいの時間が掛かるんだよね。
信号の数が普通にある通りだから、それが普通と言えばそうなんだけど。
さらにおまけがあって。
それは安い1日駐車場が豊富なんだよね。
駅に近い場所なんかは1日500円ぐらいなんだけど、ほんの、ほんのちょっと距離が遠くなるだけで300円とか沢山あって······。
ちなみに碌に電車を使わない私がなんで知ってるのかというと、全部お父さんの受け売りです。
お父さんはこの駅から電車通勤だからね。
まぁでも、私も極稀にこの辺りを通る事もあったりするから、あるのは知ってるんだ。
さてさて。
やって来た電車にのって大宮へと向かいます。
大宮へ行くのは初めてって知ったものの、そういえば1人で電車というのも凄く久しぶり。
少し前にも電車に乗ったけど、あの時はクラスの女の子達と一緒だったし。
その前だと免許を取得する前に、検査で病院に行ったりした時以来かな?
今回は色々と初めてづくしだなと思いつつ到着するまでの間、バックから新聞を取り出して読み始めます。
読むといっても大きくは広げないよ?
通勤時間は過ぎてるといってもそれなりの人は乗ってるし、迷惑にもなるからね。
上手くバラして折りたたんだ状態で持ってきたから、それでチマチマと読むつもりです。
私が読み始めた新聞を見た隣に座ってる女性や、近くで立ってるサラリーマンの方がギョッとしたのが分かった。
理由は簡単。
新聞は新聞でも私の見てるのは日本の新聞ではなく外国の新聞。
ニューヨーク・タイムズ紙だから。
何でこれを読んでるのかというと、ある理由から勉強の為にニューヨーク・タイムズ紙を購読することにしたからなんだけど、それはまたの機会にでも。
でもこういうのを読んでたりすると良いこともあるんだよ。
それは100%外国人に見られる事。
普段でも初見の人にはそう見られる私だけど、こういうのを読んでると間違いなくそう思われるし。
それに雪ちゃんがいればそうでもないんだけど、私一人だと稀に声をかけてくる人がいるんだよね。
都心部に行くのに多少警戒はしてるんだけど、これなら電車内については大丈夫そう。
ま、いざとなれば英語で応えてそのフリをするんだけど······。
ガタンゴトンと電車に揺れらつつ約40分。
その間、ひたすらに新聞を読んでました。
もうこの新聞については、スラスラと読めるようになった。
帰ったら次の新聞に取りかからなくちゃなとか考えながら読んでて、やっと着いた、大宮。
40分が長いのが短いのか全然分からないけど、取り敢えず電車も遅れたりすることなく着いたから良かった。一安心です。
時間は早いけど、まずはビルの場所を確認しないとね。
地図を片手に目的地を探します。
先ずは出口がえーと······。
うん。広い。そして人が多い!
私が乗ってきた駅も新幹線ホームとJRと私鉄1線の計3路線で多少は大きいけど、こっちは比が全然違うよね。
乗り入れてる路線数も違うけど、何と言っても人の数がさ。
驚きながらも隅っこの方で印刷してくれた地図を見つつ、案内板を頼りに出口へ向かう私です。
そこからは対して難しくはなかったよ。
私に方向音痴とかそういう特技はないから、普通に地図は読めるからね。
駅の出口から光景と道の特徴を地図と照らし合わせる。
そこから地図の印までどっち方面に行って、いくつ目の角を曲がるとかを確認して出発です。
駅から近いとは言ってたけど、知らない場所だから遠くには感じる。
でも実際には、やっぱり近くて。
確認しつつ歩きながら探して、あった!
目の前に出てきたビル。多分これだ。
近づいて、ぐるっと周って入口を探す。
分からないとはいえ、ここを間違えるとビルを一周する羽目になるからなぁ······なんて思いながら。
心配をよそになんとか2分の1の賭けには勝ったみたいで、見つけた入口。
確認すると、『株式会社◯◯◯◯』と表記してある看板があったよ。
良かったです。無事見つけられた。
それにしても、大きいビルだなーと感心しながら眺めてます。
お父さんの会社は全国に展開している、大手衣料品メーカー。
誰でも必ず名前を聞いたことがあり、女性はかなりの人が利用した事あると思う会社。
子供服から年配の方向けまで幅広く扱っていて、若い子向けには姉妹店的な店舗でも展開してる。
今ではネットショップの方にも、力を入れてるみたいだけどね。
そんな会社。勿論私も使ってる。
頻度的には自分のより、雪ちゃんの方でなんだけど。
子供は日に日に大きくなるから、当然といえばそうなんだけどね。
それにしても大きいね〜。
テレビ中継で見る、東京のビルよりは小さいのだろうけど私から見ればこれでも立派に大きい。
このビルの中で仕事してるんだから、お父さんは凄いんだねって改めて知ったし思った。
時間がまだ早いので駅に戻って、その周辺で暇を潰すことにしました。
大きな街なだけあって平日でも人が多くて驚いたよ。
駅周辺だとサラリーマンやOLさん風の方が多いけど、商業施設だとさすがに一般の方が多い。
それでもまだ開店してちょいくらいの時間だからチラホラって感じだけど。
お店に入って商品を見たり手に取ってみたりしてるけど、やっぱりというか案の定、チラチラとよく見られてる。
電車に乗ってる時もそうだったけど、都市部だと人が多いから尚更視線を感じるのかな?
何時もの事だけど、まぁ気にしないのが一番。
「Excuse me」
ぼちぼちいい頃合いかな?と思って、移動してる時に不意に声をかけられた。
なんだろ?って振り向いてみると、そこにはリュックや鞄、カメラをぶら下げた外国人の方達だったんだ。
「sorry. How can I get to Asakusa?」
······うん。道を尋ねられました。
さて、どうしましょ?
いや、言葉は分かるんだよ?返答もできる。
じゃあ何に困ってるかと言うと、私も道を知らないんだよね。
浅草までの道を尋ねられたけど、私は行ったこともないからさ。
でも、知らないで返すのも折角日本に観光で来てくれたらしい、この方達に悪いしな······と思ってスマホで調べてみたよ。
「Please wait a moment」
ふむふむ······なるほど。
乗り換え自体は、ここから1回で行けるみたいだね。
そうすると簡単といえば簡単なのかな?
向こうの、上野駅の構造を私は知らないからホームを探せるかは分からないけど······。
「Please follow me」
「Yes」
調べた乗り換え案内を元に、先ずはホームまで案内をすることにしました。
知らない駅とはいえ、このくらいなら流石に大丈夫。
目線の上の方にデカデカと、行き先と路線名が書いてある案内板が出てるからね。
歩きながら少しだけお話をしたよ。
なんでもこの方達はこの後、浅草に行ってからスカイツリーに行くんだって。
まだ何日か泊まるみたいで、歌舞伎を見たり屋形船に乗ったりだとか
東京を満喫プランをするみたいです。
凄いなーって思っちゃった。と、同時に楽しんでもらいたいなとも。
「 Please go to Ueno Station from here. Transfer from there. Ok?」
(ここから上野駅まで行って乗り換えです。)
「Ueno station, right? roger that」
(上野駅ね。了解。)
「From there, take the Tokyo Metro Ginza Line to Asakusa.」
(そこから東京メトロ銀座線で浅草です。)
「Thank you! It was very helpful!」
(とても助かったわ!ありがとう!)
「you're welcome. Please come and enjoy.」
(どういたしまして。楽しんできてください。)
「Thanks so much. She's a very nice girl.」
手をブンブンと振ってくれて、私も小さく手をフリフリして別れです。
大丈夫かな?行けるよね??
一応念の為にスマホに文章で書いて、それをカメラに撮って貰ったから迷うことはないと思うけど。
·········。
はぁ〜······ドキドキした。
実はこういう道とかを尋ねられるのって、何気に初めてなんだよね。
しかも、外国の方だしさ。
英語を勉強しといて良かったなって、実感した瞬間だった。
ーーーーーーーーーー
そんな出来事もあって、お父さん会社に再び着いた頃は丁度よい時間だった。
正門らしき所から入り、建物の扉に近づくとガーーっと自動ドアが開いてロビーへ。
第一印象。
広い。天井が高い。そして綺麗で明かるい。
中に入って正面奥に受付カウンターがあって、左脇にはエレベータが2基ある。
反対側には来客用なのかな?
テーブルと椅子がいくつか用意されてあって、ここで待てたり話が出来たりするのかな?
それに床もキレイにしてあって光を反射してて明るいし、適度に観葉植物なんかも置いてありで、すごくいい印象です。
さすが衣料品メーカーって感じ。清潔感が半端ないよ。
「こんにちは。こちらは株式会社◯◯◯◯様の受付でよろしいでしょうか?」
受付のお姉さんに訪ねました。
ちなみに3人いたよ。さすが大企業。
「はい。そうです。どのようなご用件でしょうか?」
「私、鈴宮このはと申します。こちらに勤務されている鈴宮航平をお呼びして欲しいのですが······。受付の方に話は通しておくと言われてるんですけど。」
「少々お待ち下さい。」
受付のお姉さんはそう言った後、多分お父さんの部署かな?連絡を入れてくれたんだ。
「連絡が取れましたので、暫くしたらこちらへ来られるそうです。その間、此方でお待ち下さい」
と、テーブルと椅子のある方へ案内されました。
「お飲み物ですが、何になさいますか?」
飲み物のリストを見せてくれて、「この中からお好きな物をどうぞ。」だって。
温かい物から冷たい物。
コーヒー、お茶、紅茶にカフェオレとか色々で。
凄いよね。ここまでしてくれるなんて、至り尽くせりだよ。
なんかさ、かえって悪い気がしてきちゃったよ······。
それと、お父さんって意外と偉いのかな?なんて、思ったりもして。
暫く待つこと5分くらい?して、お父さんがエレベーターからやって来た。
立ち上がって手を振ってあげる。
······驚いてるね。
その反応だとお母さんが来ると思ってたと思うから、お母さんの読みは当たりだね。
それを見た受付のお姉さんがクスクスと笑ってて、それに気づいて今度は照れてる······。
照れてるお父さんを見るのは、新鮮だなぁと思う私でした。
「悪いな、こんな所まで持って来てもらって······。お母さんはどうした?」
席に座り直して、お父さんとお話中。
「お母さんは仕事が休めないから私が代わりにね。で、私は高校入試絡みでたまたま休みだったから、持って来たの。」
「そうか。それは折角の休みを勿体ない事させちゃたな······。」
「それは別に構わないんだけどさ、お父さんはどうしたの?お母さんが珍しいって言ってたけど??」
気になってた事を聞いてみます。
「ん?まぁ、なんだ······簡単に言うと『うっかりミス』だな。」
「ならいいんだけどね。珍しいって言ってたから、何かあったのかなーって思ってたからさ。正直、身体の調子が悪いとかだったら困るからね。」
「ありがと。今んとこそれは大丈夫だ。」
なら本当に良かった。
ミスは誰にでもあるけれど、身体の具合なら大変だからね。最悪命に関わることもあるからさ。
その後も少しお父さんと雑談してたんだけど、お父さんがこんな事を言ってきた。
「なぁ、このは。お昼はまだこれからか?まだなら、ここの食堂で食べないか?メニューも豊富だし、来てもらったお礼に父さんが奢ってあげるよ。」
「いいの?一応のお母さんからお昼代も貰ってるんだけど?」
「いいんじゃないか?どこかで食べたって事にしておいて、お小遣いにとっとけば分からんさ。」
「······じゃあ、お言葉に甘えようかな。」
今日のお昼はお父さんの会社の食堂で頂く事になりました。
これだけの大きなビルでメニューも豊富って言ってたから、どんなのだろう?
ちょっとワクワクしてる、そんな私でした。
いつもご愛読頂き、誠にありがとうございます。
今話ある英文については、翻訳サービスで作成したものを記載してますのでご了承ください。
私は英語がダメダメなもので······。




