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スタジオとお姫様



私の名はレイナ。


私の

父は弁護士。

母は女優。

姉は官僚。


世田谷の一等地の実家は

誰が見ても勝ち組の邸宅。


そんな私も、もう大学四年生。

順風満帆の人生を送ってきた。


大手企業に就職も決まり、

彼氏は政治家の息子で

医者の卵。すでに婚約済み。

早く結婚したいと彼は言うが、

社会人を経験してから

結婚したいという

私のわがままを聞いてくれ

2、3年ほど待ってくれるとのこと。


母の影響で役者を志したこともあったが

私はいつか自分で会社を立ち上げたいという

夢があるので社会経験をして、

結婚して出産もしてからゆっくり

事業を始めようと思っている。


そのくらい人生計画は順調。

何も弊害はないまさに勝ち組コース。




ただいま〜


帰宅した私は珍しく姉が家にいることに驚く。


「トモエ姉さん?実家に帰ってるなんて

珍しいね?どうしたの?」


「あ〜おかえり。少し休暇を取ってね。」


「えー珍しい!仕事一筋完璧超人の姉さんが!?」


「あ〜まぁ少し色々あってね〜」


「え!え!何があったのですか!?」


私はこの姉を心底リスペクトしている。


人生勝ち組の私が霞んで見えるほどの

超人エリート官僚である姉は

私や家族の誇りでもある。


「少し疲れただけよ」


「姉さんが仕事で何かあるなんて

考えられないし......プライベート?

男でもできた?」


「【趣味】が少しできたくらいかな?」


「へー!聞きたい!」


「また今度ね?レイナこそ?

就職決まったのでしょう?おめでとう」


「......まぁ!姉さんが私に

興味を持ってくれるなんて!」


「どんな酷い姉だよあたしは」


「とても酷い姉よ?

超人すぎて男も作らず仕事一筋。

家族にも愛を向けたところを

見たことがないわ?」


「それは悪かったわね」


「休暇はいつまで?お出かけしましょう!」


「だーめ。予定は詰まってる。

また年末年始にでも行けたらね」


「え〜......残念です姉さん〜」


愛を向けられた覚えはないが

私はこの姉が大好きだった。

まさしく天才と呼ぶにふさわしい才女。


一般人にこの人の思考なんて

わかるわけがない。

我が姉ながらめちゃくちゃカッコイイ。

男ウケするタイプではない。

まさに女性にモテるタイプ。


学生時代は男性よりも

女性からモテすぎて

ファンクラブまであり

王子様扱いされていた。


トモエは喋りながらずっと

スマホで何やら動画を観ているので

レイナはスマホをこっそり覗き込んだ。


何やら女の子2人が歌って踊っている。


「あ、それ、なんかバズってる2人組よね?

そんな若い子の動画観てるなんて

姉さんらしくないね?

ほんとどういう風の吹き回し?」


「ふふ。趣味が少し増えただけだよ」


トモエは時計を確認すると

スマホを閉じた。


「出かけるわ。夜の予定は?たまには

家族でディナーでもどう?」


「やった!パパとママに、連絡しとくね!」


「任せたよレイナ」


「はーい♪姉さん行ってらっしゃい♪」






ウキウキのレイナを置いて車に乗りこむトモエ。


行き先は中野にあるとあるスタジオ。


その時トモエのスマホが反応する。


職場からのメッセージが大量。


『法務局外局公安調査庁より

来週休暇明けからの任務について連絡

コードネーム【木枯らし】宛』


「珍しく休暇とったら

バリバリ仕事詰めてきやがるな......

ぁあ、仕事休みたい......」







中野の撮影スタジオに到着したトモエを

待っていたのは例の2人組。


「トモエ!遅いですわ!

アリーを待たせないでくださいまし!」


「いやいや、スタジオ借りてる時間

伝えましたよね?早く来ても入れませんから......」


「言い訳はやめなさいトモエ。

アリエル様が怒っています謝りなさい」


「無茶言わないでくださいよ!

ほらもうスタジオ入りますよ!」


何故かこの謎の2人組の配信を

手伝わされているトモエは

撮影スタジオの手配から

チャンネルの運営、計画、手続きに至るまで

マネージャーのごとくやらされている。


「2人の魅力ももちろんですが

期間限定配信というのが効いてますね。

人気が出て何よりです。

あ、それとこのスタジオもう、

連絡すれば借りれるように

手配済みなので来週からは自分らで

段取りして予約して使ってください」


「え〜トモエ来てくれないの?」


この調子のいいうさ耳メイドは

突き放すとすぐ上目遣いで甘えてくる。


「私も仕事ありますから......

とりあえず1週間やってみてください。

問題あればいつでも相談は受けますから」


最初は無理矢理マネージャーを

やらされていたのだが

この2人に正直魅了されているのと

やってみると意外と

このプロデュース業?も楽しく、

実際バズってくれていることもあり

トモエもまんざらでもない様子。


「何かあれば頼みますわよトモエ!」


「はいはい......」


今日の撮影は新しい歌ってみた動画の撮影。


まったくのノーギャラでのお手伝い。


輝かしいキャリアを持つ仕事を休暇を取ってまで

時間をさいているこの【趣味】は、

仕事一筋で走り続けてきたトモエにとって

初めての仕事以外での

お楽しみになりつつあった。






「トモエ〜!機材の使い方がわかりませんわ〜!」


「トモエ助けて〜!!」


「......はいはい」


クスクスと笑いながら


今日も


トモエは


2人の撮影の手伝いを始めるのだった





読んでいただきありがとうございます!


もし少しでも面白いな、

続きが気になるなと

思っていただけましたら

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