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初事件!?

水上高校に入学した藤堂新は無理やりな部活勧誘で探偵部に入部。ほぼ雑用のようなことを毎日しており、退屈が募っていたある日のこと閑静な住宅街に悲鳴が響き渡り・・・

「うぉっ!なんだ?」

 悲鳴の後に最初に声を上げたのは仁だった。三人とも聞こえていたようで新の空耳ではなさそうだ。

「な、何ですか?今の――――ってぶちょーー!何ガッツポーズしてんすかっ!」

 新が振り向くとYES!といわんばかりのガッツポーズをかましている。

「いや、キタコレと思って」

「キタコレじゃねぇぇぇ!って、部長ぉぉぉ!」

 新がツッコミ終わる前に仁は声のした方に飛んでいった。

「あーなってしまった仁君は私も止められん。行こう」

 しかし、探すと言ってもここら辺の住宅街はかなり込み合ってるつくりのため、迷子になる人も少なからずいる路地となっている。先に行った仁は置いとき、やむなく残った二人は手分けをして探すことにした。

 しばらくして時間がかかるだろうと思われた捜索だが、あっけなく悲鳴を上げたと思われる女性を発見するに至った。

「いたぞっ!」

 そう仁に携帯で呼びかけられた二人は仁の案内で突き当たりのT字路へと向かった。T字路の奥には被害者であろう女性がうずくまっており美緒が接触を試みることになった。

「だいじょう・・・・って?あれ・・・?茅ヶ崎・・・さん?」

「八潮さん?やしおさーん!」

 突然振り向いた茅ヶ崎と呼ばれた女性は美緒に抱きつき、胸に顔をうずめている。どうやら知り合いのようだ。

「なんだ美緒ちゃん知り合いか?」

 仁の問いかけに美緒は説明し始めた。

「彼女は茅ヶ崎あやめさん。私と同じクラス、というか隣の席だ」

「なんという偶然・・・」

 新は聞こえるか聞こえないかの小声でつぶやく。

「第一、仁君は面識がないのか?彼女は新聞部の副部長だ」

 仁は腕を組んで考えたあと、思い出したようだ。

「あー。カラツチね」

 仁がうなづく。美緒は仁に呆れて背を向けあやめの方へ振り返る。

「どうしたんだ?茅ヶ崎さん」

 あやめは顔をあげ、美緒の方をみつめ今にも泣きじゃくりそうな顔をしている。

「あっ・・・えっとね・・・」

 彼女の話をまとめると彼女、茅ヶ崎あやめの帰宅途中突然後ろから刃物を突きつけられたという。犯人は彼女に何もせず、悲鳴をあげた彼女に驚いて逃げていったらしい。

 特徴としては二十代後半の男性で痩せ型、緑のパーカーを着ていた。



「だそうだ・・・」

 次の日の放課後。場所は探偵部部室。この近辺で起きた殺人未遂の事件を追っていた・・・部長の・・・仁の命令で・・・

 事件の起きた次の日、つまり今日。学校では臨時の集会が行われ校長が昨日起きた事を皆に説明した。この日の昼ごろには茅ヶ崎あやめについての記事が新聞部より発行されていた。

「にしても、すごいことですよね・・・こんなことが自分たちの近くで起きるとは。にしても新聞部も仕事が早いですよね、もう記事にしてしまうなんて」

 新は今回起きた事件について資料をまとめていた・・・仁の命令で。

「まったくだ。自分達の部員のこと書くなんてな。それよりも仁君。そもそも私たちが出る幕ではないのではないか?今回はかなり本格的な事件だ。これ以上は危険だと思うが」

 美緒の言うことももっともだ。今までしょぼいことしかやってこなかったこの部ができることなど一つも無いだろう。第一、学生に出来ることなど限られている。

「とりあえず、出来ることはなにも――」

「聞き込みだ・・・」

「はっ?」

「聞き込みに決まってんだよっ!今日の部活は終わりっ!!ここら辺の住民に聞き込みに行くぞっ!」

「「ええっ!!」」

 すごい笑顔の仁はもうすでに帰り支度を済ませドアの前に立っている。

「ちょ、部長まって――あ――」

 声をかける間もなくすごい速さで行ってしまった。どうやら美緒も止めることも無く呆然とする始末。

「まさかここまで仁君が沸き立つとは・・・よほど高揚しているのだろう」

 仁を止めようと立ち上がっていた新はあきらめて椅子に腰掛ける。

「ですね・・・で、どうします?俺たち」

 美緒は本を閉じた。

「行くしかないだろう。明日になって何もなかったらなにを言われるかわからない」

「確かに」

 二人も帰り支度を済ませ仁より十分遅れで部室を出た。新は駅前、美緒は事件の起きた住宅街へ向かったのほうへと向かった。



 あくる日、探偵部部室で報告会が行われた。

「よし、新。報告を・・・」

「いや、部長・・・なんでゲンドウ座りなんですか?」

 仁はどこぞのロボットアニメの長官らしく指を組み、顔の前に置いてある。

「雰囲気だよフ・ン・イ・キ!」

「・・・あーそーですか・・・じゃあ、俺から。俺は駅前に行ってきたんですが有力な情報は無く、不審な人物を見たという証言もありませんでした」

 とりあえずまとめた資料を手に新は報告をする。すると新が一つ疑問が呈した。

「そういえば今更ですけど、顧問の先生っていないんですか?」

 二人とも目を丸くして新を見つめる。

「何言ってんだ。居ないぞそんなの」

「へっ?」

 美緒が説明してくれた。

「私たちは同好会であって部ではない。というのは入るときに説明したが、そもそも顧問がつくのは部になってからだ」

「でも、部室が与えられていますよね?」

 仁がゲンドウ組みを止め、

「それはだな、この部室棟は実際に存在する部活数より多く作ってしまったためこうして使えるというわけだ」

「なるほど」

「じゃ、美緒ちゃんよろぴく」

 美緒は立ち上がり手に持った手帳を見つめ、報告をしだす。

「私は実際に事件が起きた近辺で聞き込んだところ興味深い情報を得た」

「おおっ!」

 仁が身を乗り出し美緒を見つめる。

「仁君近いぞ」

「わりぃわりぃ」

 身を乗り出した仁が体を引っ込め、謝罪しているが本人同士は特に気にしてないようだ。

「事件の日、不審な人物を見たという証言は三つ。まず、年配の方。おじいさんの話なんだが青色のパーカーを着た人物が公園のトイレから出てきたのを見た、と」

 仁が声を上げた。

「犯人は緑じゃなかったか?それ関係ないんじゃない?」

「私もそう思ったが一応な。次に三十代女性。身長は160cmぐらい、緑のTシャツを着て帽子を深くかぶった女性とぶつかったそうだ」

 今度は新が意見を述べる。

「てことは、女性なんですかね?」

「まぁ、その人物がそうなのかどうかはわからんがな」

「んで、最後は?」

 仁が問う。

「最後はほとんどが帰宅して部活生しか残っていない学校に男子生徒が入っていったということだ」

「なんだ、普通じゃねぇか」

 仁の言うことはもっともだ。忘れ物を取りに来たなど生徒が放課後の学校に来ることなどざらにある。だが、美緒の話は続きがあった。

「いや、その人物はうちの制服を着ていながら周りを見渡し誰もいないことを確認してから入っていったらしい」

「確かに怪しいな」

 仁の言うように怪しい。だが、そいつが犯人だという確信もない。それどころか、今の証言のうちどれもが犯人に繫がることが何も無い。

「部長はどうでしたか?」

「ああ、こっちは特に無かったな」

「一番張り切っていたのにな」

 美緒の言葉が仁の胸に刺さる。

「うっ、手厳しいな美緒ちゃん」

 だが美緒が集めた証言だけを見ると、不審な人物は学校付近にうろついていたようだが男性だったり、女性だったりバラバラなのが気になる。

「んー・・・なんともいかないな。そーいえば被害者の茅ヶ崎さん。新聞部だっけか?」

「そうだ」

 美緒が答える。

「んっ・・・よしっ!新聞部にも聞き込みに行くか」

「迷惑じゃないですか?」

 新と美緒を横目に尻目に支度を始める。

「だいじょーぶだ!」

「何がですか・・・」

 呟く新の言葉は仁には届かなかった。


 部活棟三階。手前から三番目の教室が新聞部部室となっている。部員構成は六人となっていて、定期的な記事発行に勤しむ部活動である。

「たのもー」

 仁は勢いよくドアを開け、中へと入る。中には部長を含め五人がそれぞれ席に座って仕事をしていた。

「何だ!?って、赤神か」

 と、答えたのは新聞部部長二年の唐土雄大。

「お前らに語ることなど無いっ。帰れ」

 すると仁はおもむろに雄大の肩に手をあて言う。

「まぁそう言うなって、カラツチ」

「モロコシだっ!お前いつになったらちゃんと呼ぶようになるんだ!邪魔だ帰れっ!」

「ん?おいおい、あのこと、バラしたっていいんだぜ?」

 仁が雄大の耳下で囁く。よく聞き取れないが。 

「うっ・・・と、とにかく聞くだけ聞いたらさっさと帰れ!」

「あんがとさん♪」

 さっきとは打って変わっての態度。よからぬことを言ったのだろうと察しがつく。

「んじゃ、お言葉に甘えて―――ん?ところで茅ヶ崎さんは?」

「茅ヶ崎君は休みだ。あんなことがあったのだから三日ほど学校を休むそうだ」

 丁寧に雄大が説明してくれた。やはり、仁に逆らえないのか素直に教えてくれる。

「ま、いいか。俺らは聞き込みしたいだけだからさ。じゃあ君から名前と事件の日何をしていたか、をお願い」

 指を指したのは隣にいた女生徒。順番に聞いていくみたいだ。

「私は二年の遠藤麻衣です。事件の日は部長に頼まれていた資料整理のため図書室にいました」

「ふむ、じゃ次」

 仁の後ろで美緒がメモを取っている。何も言わなくともこう出来ているのはさすがの付き合いと言えるだろう。

「僕は一年の高梨良太です。事件の日は風邪気味だったので早退しました」



 三十分かけ全員の名前と事件の日の放課後に何していたかを聞いた三人はまた部室まで戻ってきた。

「にしても、新聞部の連中の誰かが茅ヶ崎さんに恨みを買ってるのかと思えば違うんだよなぁ・・・」

 仁は美緒が書きとめたメモを見ながらうなだれている。

「当たり前だ。あんなに出来の良い人が恨みを買うわけがない」

 新は茅ヶ崎あやめとの関わり合いがゼロであるためどうかわからないが美緒が言うのだから間違いないだろう。だが、新には一つ気になることがあった。

「確かに茅ヶ崎さんは良い人のようですけど、一つ気になることがあるんですが」

「何だ、新」

「今になって考えれば茅ヶ崎さんの証言がおかしくないですか?」

「何がだよ」

 メモを片手に持ってうなだれている仁はつまらなそうに新を見上げている。

「茅ヶ崎さんの証言。やけに詳しすぎませんか?例えば、背中に何か突きつけられたとしても突きつけられたという感触はあっても刃物かどうかなんてわからないと思うんですよ」

「いや、いくら背中でも鋭いものでちょんとやられたらわかる・・・ってあ!」

 仁は一つ思い当たる節があったそれとは学校の制服それ自体のこと。

「そうですよ、うちの制服ってブレザーじゃないですか。素材自体にも厚みがあって、伝わる感触って鈍くなると思いませんか?」

「確かに、我が校の制服は男女ともにブレザー。しかも彼女はきちんと正装していた・・・」

 美緒はあの日のことを思い返してみると、たしかに茅ヶ崎あやめはブレザーを羽織り、中にはベストも着ていたと美緒は言う。ちなみに前述に記述が無かったが、水上学園の指定制服は男女ともにブレザーで、中はYシャツとなっている。さらに温度調節のためベストも学校指定のものが用意されている。

「だが勘違いしたとも言えるし、包丁だって容易に手に入るものだ考えすぎじゃないか?」

「部長の言うことももっともですが、まだあるんですよ。犯人の特徴は集会でも言っていたように緑のパーカを着た痩せ型の二十代男性だそうですが、どうして彼女は二十代だと判断したんでしょう?」

「そりゃ、声からとかじゃね?」

「と、思いたいんですが、彼女は刃物を突きつけられたとしか証言してないんですよ」

「えっ、本当か!?美緒ちゃん」

「確かに茅ヶ崎さんは刃物を突きつけられたので悲鳴を上げたら相手が逃げていったと証言していた・・・」

「つまり、パーカーでわからないようにしていたらそいつが声を上げるか、被害者が相手の顔を見るか確認方法が無いんですよ」

「なるほどな、確かに茅ヶ崎あやめの証言には疑問があるな」

 仁の言い方がどこかの刑事っぽいがあまり気にしない。

「あと、やっぱり新聞部の証言も気になりますね」

 新は少し考え、

「明日もう一度新聞部に行ってもいいですか?」

「もう一度?」

 仁が聞き返す。

「ん、よしっ!また行くか」

「仁君いいのかい?」

「まぁいいさ」



「・・・また来たのかお前ら・・・」

 次の日の放課後、新の希望で新聞部へとやって来た。

「いやーなんかな、後輩がここに来たいって言うからな」

 頭を掻きながら仁は雄大に話しかける。昨日のことがあるのか特に逆らう様子も無く自分の仕事を続けている。

「じゃあ、新。やりたいことやれよ」

「あっ、はい」

 そのとき、新の名前を聞いた雄大が動いた。

「そういえば、そこの三人目は進入部員か?」

「ええ、まぁ」

 なにか思い当たる事があるのか少し考えこんだあと、聞き込みをし始めた新に逆に質問してきた。

「新・・・あらた・・・藤堂新!そうかお前か!」

「何だ、お前ら知り合いだったのか?そういうのは昨日のうちに済ましとけよ」

「いや、俺は面識無いんですけど・・・どこかでお会いしましたっけ?」

 新は怪訝そうに雄大を見つめる。

「お前、わざわざ一般入試で来たヤツだろ?取材に行こうかと思っていたんだがなかなか所在が掴めなくてな」

 仁と美緒は何のことだか全くわからない顔をし、新へと目を向ける。

「ああ、あははは・・・その事はまた今度ってことじゃ駄目ですか?」

「まぁ、いいだろう」

「なんだよ。全然わからんないぞ」

「ですから、ちょっと後にしてください・・・って・・・」

 新の目が一人の新聞部員の手首に目をつけた。

「なるほど・・・わかりました。」

「えっ?」

「わかりましたよこの事件」

 長い間更新しなくてすいませんでした。受験勉強のため執筆していませんでした。次からの更新は定期的にします。

 というわけで、二話目となります。この話なんですが、あまり長く続かないかなと思います。やっぱり推理小説って難しいです。多分4、5話くらいで終わるかと思いますが、それまでよろしくお願いしますっ。えーっと書きたいことたくさんあったのですが今回はここまでにします。応援よろしくお願いします。

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