許昌攻略戦⑪
「放浪軍! いざ、遂行ォォォーー!!」
ここまで敵の裏を掻けば、後の小細工は無用だ。単純な突撃でソウソウの尻を強襲し、返す刃でキョチョとチンタイを蹴散らすまで。
「凌操が子、凌公績見参! ソウソウよ、今度こそは両の玉を潰してくれる!!」
「人妻スキー・ソウソウ! いざ参れェェ!! この凌操が熱き抱擁を以て、貴様に人夫の情熱を植え付けてくれるわ!!」
先駆けを果たすのは凌操・凌統の熱血親子。
二人は甘寧を超す熱量を放ちながら、立ちはだかるソウソウ兵を大胸筋の上下運動(デス・ウインク……ともいう)で一蹴していく。
方やソウソウは、二人の言動に肝を冷やした。そりゃ冷やすわ。
「ぬぅぅ……いかん。キョチョ! 我の貞操を守れ! 大至急だ!!」
冷や冷やヒヤシンス。譙攻略戦の時に凌統から《超鮮烈確定クリティカルキック》又の名を《いっそ殺してくれ》を受けたソウソウにとって、かの親子の接近は押し売りお断り以上・男の帝王切開未満である。
尊厳的にも是が非でも阻止したいだろうし、凌親子の荒い鼻息が秒を追ってフンハッ! フンハァァッ!! っと近付く事に気が気でない筈。曹軍の総大将として、以前見せた不様な姿を再び晒すなんて事も御免だろう。
「よし、良い流れだ!! ソウソウは凌操と凌統に任せる!! 甘寧は道を開いてやってくれ!!」
「へっへへ、任せな大将ォ!!」
大事な事なのでもう一度。「良い流れだ。ソウソウは凌操と凌統に任せる」…………非情とか言うなよ。これも乱世の習いであり、立派な作戦だへっへへ。
甘寧の強力な援護を受けた凌操・凌統は、当たるべからざる勢いを保持しながら猛進。
ただひたすら大将首もとい「アアアアァァァァーーーー!!!???」(°Д°)×♂× な結末を目指してまっしぐら。もうどうにもとまらない♪ by.山本リンダ
「ぬぅぅぅ……! 急げぇ、キョチョーー! もう時が無いぞ!!」
「ハッ! すぐに参りま……」
「させん」
目前の魏延に背中を向けてまで、キョチョはソウソウの許へ駆けようとした。
然し、それでは面白くないとばかりに、キョチョの目前に新たな男が立ち塞がる。
魏延と共に戦略的挟撃を任された朱桓であった。
「虎侯よ、悪いがソウソウには勝利の為の贄となってもらう」
「おのれお邪魔虫め! 叩き殺されたくなければ、直ちに失せろっ!!」
「フッ……一級の猛者どもに劣るとは言え、我が武芸を侮るな。呉の朱桓、いざ参る!」
直槍を携えた朱桓は、全力で向かってくるキョチョを前にしても一縷の恐れも抱かない。
ただ小さく、不敵に笑っては、自らも駆け出して苛烈に打ち合った。
「ふふふっ! 花道的に見ても戦略的に見ても、これ程の好機を逃す訳にはいきませんわ! ソウソウさんも私と同じ、此方側の人間になるのです! 手取り腰取り、懇切丁寧に教授して差し上げますわ」
そしてこの状況にあって、魏延が黙っている訳がない。
彼女は不気味な笑顔を浮かべるとともに、武人としての流儀を捨てて、朱桓と戦うキョチョに背後から襲い掛かった。
作戦上必要とあらば、卑怯を承知で事に挑む。
南征や北伐に際して、彼女は何度もその姿勢に徹した。蜀の筆頭将軍・関羽にはない器用さは、策士・孔明からすれば使い勝手の良い武器だったに違いない。
現にその器用さが、今こうしてキョチョを追い込んでいるのだから。
「ぐっ……おのれ! これしきの障害で……我が忠節を阻めるとでも思うのか……!」
「苦し紛れの一言……実に無駄と知れッ!!」
悪戦苦闘を気合いで跳ね返さんとするキョチョだったが、背後から絶妙なタイミングで曲刀を振りかざす魏延によって気勢を削がれ、一瞬の隙を見た朱桓が鋭い突きを繰り出した。
先端の刃に最大の衝撃を込めた直槍は、キョチョの握る矛を大いに揺さぶり、その得物を猛者の手から弾き飛ばす。
朱桓は続け様に、無手となったキョチョの喉元へ刃先を向けた。
「貴殿らの敗けだ。もはや覆らぬぞ」
辺りを見渡せば、兵士同士の戦いにも決着が付いていた。
魏延隊の反撃に加えて夏侯淵隊の急襲が崩壊の一手となった所へ、今しがた見せた鋭い突きの如き朱桓隊の攻撃が止めを刺したのだ。
「丞相(ソウソウの意)……力及ばずで、申し訳ありません……!」
「虎侯・キョチョ、呉の朱桓が生け捕ったァ!」
先ずは一人、ソウソウの最たる護衛が陥落した。
それと同時に別の戦場でも、陳宮・怜華による反撃を受けたチンタイが兵を削られていた。
「我が兵達よ、事態は一刻を争う。残った戦力を一点に集中した捨て身の特攻で、何としてもソウソウ様を脱出させるのだ!」
それでも彼は、ソウソウの援護に駆け付ける事を優先した。
当然と言えば当然だが、総大将部隊の壊滅が戦況を大きく変える事を知っているからだ。
「まぁーた現れたな、このチン◯(ピーー)野郎が。しつけェんだよ、喰らえオラァッ!!」
そんなチンタイの前には、凌親子の援護を任された甘寧が立ちはだかる。
残兵数の少なさを高武力で補った自慢の《猛攻》を発動し、見事に成功して大ダメージを叩き込んだ。
「……我が用兵が及ばぬというのか……無念だ……!」
「チンッ!! タイ! 甘興覇がゲットだぜェェーー!!」
優れた用兵家の何のその。真っ向からぶつかって甘寧の兄貴に勝てるとは思わん事だ。
「さぁてと……そろそろ締めにしてやれ。行けェェーー!! 凌操・凌統!!」
終戦を見越したコングが盛大に鳴る。それはソウソウにとって破滅への秒読みだ。
「邪魔者は退け! 凌公績、今より最大武功を望む! ソウソウ覚悟!!」
部隊行動順で言うならば、知力値に勝る武将=凌統が先に攻める事は当然。
熱き一閃はソウソウを守る最後の砦を突破し、目標を丸裸同然まで追い詰めた。
だが、流石はソウソウ。決死の防戦で凌統隊の攻撃を何とか耐え抜いた彼は、残兵数2桁という首の皮一枚で持ち堪えた。
ゾンビから即死級の大ダメージを受けても、体力が一定値以上残っていれば体力1で踏ん張るという某エージェント「レ◯ン・S・ケネディ」のガッツを連想さける。感動的だな。だがチェーンソーだけは勘弁な。あれだけは体力関係無しの即死だから。
「おぉう息子よ!! 獲物は儂が貰うぞォォォーー!! ブルンブルンブルンブルンゥゥーーン!!」
凌統隊の行動が終了すれば、必然的にソウソウに止めを刺すのは凌操となる。
何処で手に入れたのか、使い方は分かっているのか、ちょっとエグ過ぎないか? 等の疑問を他所へぶちまける様に、凌操はチェーンソーをブンブンブンブンッ!! ブンブンブンブンゥゥーーン!! と鳴らしながら、ゆっくりどっしりと、ソウソウへ駆け寄っていく。
ついさっき、“人夫の情熱”がどうのこうのって言ってませんでしたっけ、おやっさん。
これじゃ「アアァァーー」は「アアァァーー」でも、「ア″ア″ア″ァァァーー!(×_×)you dead」ですぜ。息子の先制攻撃とか必要ないくらいの即死攻撃はさすがに――
「待て、待てェい! それで我をズタズタにする気か!? 世の女性が二度見三度見するほどに優れた我が容姿を!?」
…………いいぞ凌操、もっと殺れ。お前の容姿なんてしらんがな短足。
「ブルアァァァーーー!!! (訳:バイオハザード4に出てくるチェーンソー男、気付いたら背後に回ってるからウザイよね。でも彼もナイスガイだよね。そんな訳でソウソウブルアァァァ)」
「ウ″ア″ア″ア″ァァァァーーー!?(×_×)」
結論から先に言おう。ソウソウ隊は凌操の《猛攻》を受けて壊滅した。
このゲームに流血表現はないと信じていた頃が俺にもありました的な……実際に流血はなかったにしろ、それに匹敵する程の凄惨な整形手術によって。
「次ィカァァァイ!!
『ブルゥアアァァッ!! 毘沙門天が鬼の上でコサックダンスゥ!! 幻のコラボレーションは蜜の味ィーー!!』
来週も良い子で見るんですよォォ。ブルゥワァァァーーーン (*`Д´)//!!!」
この放送は、ご覧の武将の提供で、お送りしました。
ボディガード育成所・マッスル許褚ォォ
(有)賃泰建設
問答無用のチェーンソー漢クラブ




