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よし、爆破だ!!


「皆様こんにちわ。どうも、放浪軍の軍師を務める姫崎怜華です。今日は、ある昔話から始めたいと思います。

――昔々、ある所にタヌキがおりました。これがまぁ、なんとも憎たらしいタヌキでして……老人や子供には優しいし、困っている人には率先して手を差し伸べるし、働き者な上に勤勉で美形ときた。とにかく欠点と言える欠点がない、小憎たらしいタヌキでした」


「ただの妬みかぁぁーーい!!」


「そんなある日の事。タヌキは年老いたお爺さんの代わりに、山へ薪を拾いに行きました。……するとどうでしょう……誰も居ない筈の山の中から、「一っ枚、にぃーまい、さぁーーんまいっ! 下っ着は全部でごひゃーくまいっ!」と声が聞こえるではありませんか」


「……いや、おるやん。普通に誰かおるやん。そんで下着数えとるで、そいつ」


「不気味とは思いつつも、助けを求めている声だったら大変だと思ったタヌキは、「どうしました!? どなたか居るんですか!?」……と、薄暗闇に包まれた木々に向かって声を掛けました。すると木々の間からは……「はぁぁーーい!!」と、元気で可憐な返事が」


「絶対女の子やん! てかそんなとこで下着数えて何しとんの!?」


「タァヌキ! 草木生い茂る深淵の中へ、ルパンダァーイブ!! バリバリバリバリ!! バリバリバリバリ!! バリバリ諸島! タヌキの服もビーリビリ! ワオッ! 見事なタマ○マもビッキビキ!!」


「下ネタはやめろぉぉーー! あと文体もキャラも滅茶苦茶やこれ!?」


「タヌキが「ハッ! 囲まれた!?」と思うも、時既に遅し。周到に張られた包囲網の中でタヌキは戦慄し、ザザザッ! と現れたは無数の村人達。そして――

「ハッピバースデーテューユー♪ ハッピバースデーテューユー♪ ハッピバースデー ディア TA・NU・KI。ハッピバースデーテューユーー♪ いえぇぇーーぃい!!!」」


「……ええ話やん。タヌキ全裸やし、途中から状況わからんくなっとるけど……ええ話やん」


「…………って、まぁ色々あった訳ですが――」


 自作した本をパタンと閉じた怜華が、最後にこう付け足した。


「テイゲン軍は滅びました( ・`д・´)キリッ!」


―――――――

―――――

―――


 かつて人は、妖怪を恐れた。その妖怪の先頭に立ち、百鬼夜行を率いる男。人々は、その者を「妖怪の総大将」……或いはこう呼んだ。「魑魅魍魎の主・ぬらり――


「“ひょん” じゃねぇーよ! さらっと『ぬら孫』の冒頭流すんなや!」


 拝啓、現実世界の父さん母さん。今は282年5月の個人ターンです。

先の鄴攻め以降、大軍師怜華様万歳の様子がおかしいです。


「……新種のUMA(リョフ)を取り逃がしたのは残念だが、逃げたもんは仕方ないだろ。次の上党攻めでテイゲン軍を滅ぼせば、絶対に捕縛できるんだから、それまでの辛抱だって」


「……はぁぁ~~~。激萎えポヨポヨ……」


 放浪軍の拠点である酒家にて、机に突っ伏した怜華。

リョフの《義理》は0と最低なので、捕縛さえできれば二つ返事で登用に応じる。

そうであるだけに、逃げられた事は怜華ならずとも悔しく思う。


 だが先にも言った通り、逃げられたものは仕方がなく、大事なのはこれからどう動くかだ。


「天才巨乳美少女珍獣ハンターの怜華さんよ。リョフを捕獲・保護する為にも上党を落とす必要があるが、お前はこの放浪軍をどう動かしたい? ……まっ、攻城兵器を持たない俺達が関門攻めをする時点で、どんな采配を振るうかは大方予想がつくんだけどな」


 鄴から上党へ侵攻すれば、特殊戦場の「壺関(コカン)の戦い」が発生する。

俗に言う攻城戦であり、防衛側はほぼ確実に籠城戦術を採用するだろう。


「普通の戦いであれば、籠城戦術は自滅戦法だ。開始時点で大きく士気が減少しているし、出撃しようものなら部隊士気が半減してしまう。更に援軍として現れた味方部隊が城外で孤立し、各個撃破される事で全軍の士気が著しく下がる。2都市から援軍を派遣してもらい、計10部隊が来たとして、それが全滅すれば籠城側の士気は-50。その時点でもう、脱走兵が出る様な状況だ。後は戦法の《攻城》を20回ぐらいぶちこめば、士気-20で脱走祭り。耐久力を0にする手間もなく完勝……と、本来ならこうやって勝つべく、かなり前から周辺環境を整えたりしながら進軍する訳なんだが」


「言われなくてもわかってまーす。今回はそんなイージーモードじゃないって事は」


「通常プレイをイージーモードと言うか。流石は我等が大軍師・怜華嬢だぜ」


 今回の関門攻めに、テイゲン軍の援軍として現れる勢力はない。

同盟相手かつ隣接都市に当たるエンショウ軍の鄴を、俺達が占領した為、テイゲン軍とエンショウ軍の連絡路が遮断されたからだ。


 それはつまり、城外に現れた敵援軍を出現しだい包囲殲滅して、籠城軍の士気を減少させるという常勝作戦が使えない事を意味していた。

攻城兵器も持たずに真っ向から城攻めを行い、士気を保っているテイゲン軍の迎撃に耐えながら何かしらの方法で勝て……という意味でもある。


「あぁ、もう……機嫌直すから、変に胡麻すらないでってば。

――4月の軍議で言った通りだよ。うちには人的攻城兵器が沢山いるし、《神算(イレギュラー)》スキルを持つ私だっている。……ただ、一発で関所を落とす自信はないから、全軍を二回に分けて攻撃させるつもり」


「おぅ、助攻と主攻だな。俺はどっちに入ればいい?」


「あぁ、今回は秋渓の出番ないよ」


「なぬぅっ!? 頭領が総大将でなくて、錦の御旗が立つと申すか!?」


「いや……だって、秋渓の知力低いし」


「錦の御旗がポンポコリィーーン!?」


 遠回しにバカと言われた気分でござる! 何と心外な辛亥革命でござろうか! 拙者はバカではなくアホなのですぞ! 孫文だってほら、アーメン!


「《策略》で壺関を陥落させるつもりだから、秋渓が総大将だと策略Pの減少を招くでしょ?」

※《策略》は戦争中に使えるアイテムのようなもの。大将と参謀の知力合計値がそのまま策略Pとなり、それが多いほど策略を実行できる。


「だから第一軍の大将は司馬懿さんで、参謀は司馬昭ちゃん。従軍する武将は司馬師ちゃんと司馬望さん。《策略》の《幻術》を繰り返しながら、ついでに放火魔式訓練で知力の底上げをしてもらう予定」


「ふむぅ……頑張って狼顧の相と、機械人形(オートマタ)姉妹と、カイゼル髭が第一軍か……。うちに加わった司馬一族の面々が勢揃いという話だが……見事なまでに絵面が濃いな。そして第二軍にして主攻である怜華が、陳宮を参謀に据えて総攻撃を仕掛ける訳か」


「うぅん……ちょっと違うかな。陳宮殿は連れていかないよ。彼の《攻城》はLv2だし、猛将達に比べて当然武力が劣るから、城攻め中に敵から狙い撃ちされるでしょ?」


「むむむ……確かに。武闘派揃いのテイゲン軍から真っ先に狙われたら、軽装槍兵の紙防御もあって2ターンと耐えられずに壊滅するかもな」


 籠城側は、攻城側の低武力・低防御力の部隊を全軍で狙い撃ちすることが多い。

故に防御力の低い軽装槍兵の陳宮が城壁に近づけば、テイゲン軍は容赦なく矢の雨を降らせて撃滅させてくるだろう。


 そして、大将と参謀のどちらかが撃破されると、《策略》は使えなくなる。


 攻城戦法を持たず、武力も低く、総大将にもなる怜華は、元より攻城要員から外れて回復役に徹するだろうから、籠城側からの狙い撃ちはまず受けない。

だが《策略》で勝負するという事は、誰かしら知力の高い武将が城壁に張り付く必要がある。

何せ籠城側に仕掛ける《策略》は、城壁に近い部隊の中で最も知力の高い武将が実行し、その知力の高さが成功率に影響するのだから。


 つまり参謀は、《策略》を発動する前のターンには城壁に張り付いている必要があり、狙い撃ちに耐えられる武力or狙い撃ちされない武力値を要求されるという事。なので陳宮は、残念ながら不適合なのです。


「それなら陳宮は俺が貰うぞ。そんで俺も出陣する。城壁殴り大会を開いて仲間達の武力経験値を稼ぐんだ。みんなでマッスルマッスル!!」


「あぁ……うん。まぁ、兵士もだいぶ増えたからいいけど……部隊が壊滅しない程度にね?」


「うん! マッスルマッスル!! ……それで、怜華は誰を参謀にするんだ?」


「ふふっ、覚えてない? 陳留攻めで仲間になった、建築物破壊のスペシャリストがいる事を」


「陳留攻め……建築物破壊のスペシャリスト…………ハッ! さては――」


「怜華殿! お呼びとの事で参上しました!」


 こ、この声はまさか!? 俺はバッ! と後ろを振り向いた。


「爆破だ!!」( ・`д・´)キリッ!!


 そこには水色のバンダナを巻いたロン毛の巨漢……否!! 魅力的な太腿と肩を露出した、筋骨隆々な山ガールこと、鄧艾(トウガイ)さんが立っていた!! 別名「戦国○双の稲姫完全体」。

左手にはフットボール並の大きさを誇る爆弾を、右手には得物の大型ドリルを携える姿は、まんま三国○双6の彼である。

でも一応、目の部分に黒い横線を一本入れてるのでOKです。元文官とは到底思えない、メタルギ○ソリッドのス○ークみたいな武将で完全に彼ですが、このゲームの鄧艾さんです。


「この鄧士載、早くも活躍の場に呼ばれた事、無上の喜びに感じます。自分の力、存分にお使い下さい!」


 マッスル美少女は、輝かしい笑顔でそう言いました。自慢の爆弾をチラつかせながら。


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