指を結まば幼子が!
ーはい、という訳です、兄さん」
「なるほど…だが、何か大切な事を忘れてないか?」
「“兄さんの願いが叶う”、の部分ですね?」
「当然だ!」
知りたい。
本当に夢が叶うのか。
ティノは咳払いすると
少し微笑みながら話始めた。
「“どんな願いでも叶う”…と言ったのを覚えていますか?攻略の最初の方ですね」
「確かにそんな事言ってたな」
「実は、その…」
と戸惑いを感じているのか、
困り顔で白い小箱を取り出した。
「これは…?」
「これが、“どんな願いでも叶える”物です」
「!?」
ティノに促され、震える手で小箱を引き寄せる。
冷たく、光沢のある白く美しい箱が
小気味いい音を立てながら
ゆっくりと
ゆっくりと
ゆっくりとー
開かれ、その内を露わにする。
ー中には、大層美しい指輪が座していたー
見た瞬間に、まるで、初恋の人、
いや、産まれて初めて見る母親
いや、慈愛の神に見つめられた時のような…
高揚が止まらず
心臓の鼓動は最高速まで加速し
全身が大きく震え
いや、とにかくお、落ち着こう。
「トモキィ、それ一応ティノのだよ?」
「わわわ分かっってるって!」
「大丈夫ですよトモ兄。それは私がトモ兄に渡そうと思っていた物ですから」
「「えええええええええ!!?」」
エヴェリーナと一緒に絶叫する。
「何言ってるのティノ!?これはティノが死ぬ気で頑張って手に入れた物なんだよ!?そんな簡単にあげちゃっていいの!?」
「そ、そうだぞティノ!これはお前が死闘の末に手に入れた、お前の戦果なんだぞ?そんな簡単にあげちゃっていいのか!?」
すっと目を閉じ、微笑み掛けてくるティノ。
「当然ですよ、今日はトモ兄の誕生日ですから」
「トモキ今日が誕生日なの?おめでと〜」
パチパチと拍手を送ってくるエヴェリーナ。
「あ、ありがと…ってそれは良いとしても、ティノ、本当に良いのか?」
「勿論です。そもそも私には不要の品ですし」
少しだけ頬を赤く染め
こちらを見つめてくるティノ。
その双眸に迷いはなく
真っ直ぐ俺だけを捉える。
…本当に天使のように綺麗だ…
「分かった、ありがたく頂くよ。ありがとう、ティノ」
「気に入って頂けたようで良かったです!」
俺は早速指輪を取り出し、願いを…
「ト・モ・兄・ぃ?」
「ダメかな?」
素早く俺の魂胆を見抜くティノ。
流石は俺の妹だ…。
「私が好きなのは、トモキ・ミトベでも、トモキ=サルヴァトーレでもありません。トモ兄、いえ、ともにぃなんです!私の唯一の、たった、世界中で、この広い世界の中でたった1人の、私の家族。ともにぃなんです!私はともにぃの妹が良いのです!私はともにぃの嫁ではダメなのです!!私は、私はともにぃと兄妹で在り続けたいのです!たとえ因果を捻じ曲げようと、たとえ世界の全てが歪められようとも、これだけは絶対に変わらない!変えさせない!だから、ともにぃ、そんな事をするのはやめて下さい」
真剣な表情で
胸に手を当て
喫茶店の全員の目線も
口を開いたまま唖然とするエヴェリーナも
何もかも忘れ、俺だけを見つめ
俺だけに叫ぶ。
全く、このブラコン娘は…本当に…
「そうだな、これは、これだけはどんな存在であろうとも変えられない、不変の事実だもんな」
俺は白く美しい箱に
指輪をそっと座らせた。
「トモ兄の、ともにぃが夢を叶えた時の顔を、私は見たいのです!だから、ともにぃは自分の夢を追いかけて下さい!ともにぃ自身のため!家族のため!」
俺は、ニッと笑って応えたー
「俺自身のため、妹のため、夢を追うよ、俺。その時が来るまで、この箱は大切に守っておくよ。ありがとう、本当にありがとう、ティノ」
「約束ですからね?」
「あぁ、約束だ!」
俺と
ティノは
固く固く小指を結んだ。
「ティーノ氏〜、ココにいたのかい!」
絆が深まったところで
何ともカワイイ幼女が現れた!
俺ペドでもないからマジ!
幼女が一体…幼女が二体…




