地に崩れれば衝撃が!
血の滴る音と荒い息遣いだけが
辺り一面に反響していた。
脚の痙攣を抑えながら
昏倒しそうな己を奮い立たせ
苦痛に顔を歪めつつ
八双の構えを取る。
息も絶え絶えになり
だらしなく背筋を曲げて構えている姿は
何と無様であろう。
ともにぃは、今何をしているだろう…
大好きなともにぃ
かけがえのないともにぃ
ただひとりのかぞくのともにぃ
ーあの日からずっとー
お父さんもお母さんも帰ってこない。ずっとずっとまったけど帰ってこない。ティノの事キライになっちゃったのかな?いい子になろうとがんばったけど、ティノがわるい子だからどこかにいっちゃったのかな?
「うっ、うっ、お父さん…お母さん…」
かなしくてかなしくて、なみだが出てきた。
ティノ、ひとりぼっちになっちゃった。
いやだよ…こんなの…
「ティノ!はぁ…はぁ…こんな所にいたのか」
ないてると男の子がはしってきた。
「お兄ちゃん心配したんだぞ!」
「うるさい!ほんとうのお兄ちゃんじゃないくせに!」
「お前が何て言おうと、俺はお前のお兄ちゃんだ!」
うるさいうるさい!
ともきは、お父さんがむかしひろってきた。ティノが生まれるよりまえのことだって言ってた。ヘンな名前。お兄ちゃんじゃないのに、お兄ちゃんなんておかしい。
「すて子のくせに!ひとりぼっちのくせに!えらそうにするな!」
「俺はひとりぼっちじゃない!俺にはティノがいるから!」
ともきがわたしのことをだきしめてきた。
「俺の事が嫌なら、それでもいい。俺がお父さんとお母さんを連れて帰ってくる!」
「ほ、ほんとう?」
「あぁ、だからもう泣くなティノ」
かなしくなくなってきた。
だって…
ともにぃのうで、あったかい
「うん、わかった。ティノなかない!」
「よしよし、いい子だ」
ともにぃがナデナデしてくれる。
なんだかうれしい。
「ともにぃ」
「何だ、ティノ?」
「ともにぃだけはずっとティノのかぞくだよ!」
「うん、わかった!約束する」
ともにぃとおでこどうしをくっつける。
ーともにぃ大好きー
走馬灯ーもう何度見た事だろうー
12年前の記憶。
一瞬にして、全身の苦痛が消失する。
神経伝達物質が放出されたのだろうか?
きっと、ともにぃのおかげだ
肉体から、魂の奥底から
力が、勇気が溢れてくる。
私は今、微笑んでいる
満身創痍になりながらも。
【支配者】もまた微笑んでいる。
その生命が燃え尽きそうになりながらも。
私と【支配者】は同時に踏み出す。
段々
段々と加速するー
「はああああああああああああああ」
「せえあああああああああああああ」
剣と剣が交錯するーー
私の左肩を
【支配者】の心臓を
互いの剣が貫いていた。
そのまま互いに崩れ落ちる。
辺りは只々、静寂に包まれるだけである。
「やっぱり、'こっち'に残って良かったぁ…」
「えっ」
驚嘆する私。
生命を燃やし尽くした【支配者】。
「'こっち'…?」
意識が、深く深く沈んでゆく…
(次から)何が始まるんです?




