第19話 「帰るか、残るか」
「では銀行員」
「はい」
「すべて、終わったな」
玉座の間。
空気は、これまでと違って穏やかだった。
「はい」
「国庫も安定」
「税も回る」
「産業も動いている」
「うむ」
「完了です」
(やることはやった)
■ 違和感
「……だが」
女王エリシアが言う。
「そなた、元の世界の人間であろう」
「はい」
「戻れるのか」
一拍。
「分かりません」
(正直に言うしかない)
■ 兆し
「でも」
「来たときと同じ場所に行けば」
「何か起きるかもしれません」
「あぁ…お前が打ち上げられていた石橋…ポン・アンフィニか」
「あの橋そんな名前なのですか」
■ レオ
「帰るんですか?」
「どう思う」
「……」
「困ります」
「正直だな」
「だって」
「仕事、回らなくなるじゃないですか」
「そこか」
「あと」
「なんか……寂しいです」
「二番目本音だな」
■ ナイン
「……行くのか」
「分からん」
「戻れる保証はない」
「戻らない保証もない」
「面倒だな」
「人生はだいたいそうだ」
■ 王の言葉
「銀行員」
「はい」
「もし残るなら――」
「この国の財務を任せたい」
「重いな」
「嫌か?」
「仕事量が多そうだ」
「そこか」
■ バルド
「帰らない方が儲かりますよ?」
「お前は一貫してるな」
「商機はここにあります」
「それは分かる」
■ 夜
王都の外。
「……」
桜木、一人で空を見る。
(どうするか)
(元の世界)
・倒産
・借金
・何もない
(こっちの世界)
・仕事ある
・金回る
・パンうまい
「パン強いな……」
■ 決断未満
「支店長」
「だからやめろ」
「明日、行くんですよね」
「行く」
「決めるのはその時だ」
■ 引き
翌朝。ポン・アンフィニのたもと。
川の流れ。
「……ここか」
風が吹く。
「さて」
(どうするか)




