ep.7 お料理対決!!!【前編】
時刻は午後3時。荷物を運び終えた俺たちはリビングに集まって会議をしていた。
「それでは諸君!!これより第一回兄妹会議を執り行う!!」
随分ノリノリな詩音さんが胸を張りながらえっへんと言わん場ばかりの表情を見せている。物理的に張っている立派なものもあって反応に困るがルール決めが最優先事項なので考えないようにしよう。
ちなみに部屋割りは2階の角が詩音さん、その隣が莉音さん、そして俺は3階の角部屋に決まった。一応年頃の男女ということで別の階に部屋を自室を設けたのだがおそらく親父たちが帰国したら男性陣は3階、女性陣は2階になるだろう。
「それじゃあ当番決めから始めよう。莉音さんは多分仕事が忙しいと思うから無理のない範囲でやってもらえると助かるんだけどどうかな?」
「そんな、申し訳ないけど多分買い出しとかならできるかも」
「買い出しだけでも充分ありがたい、俺も気がついたら行くようにしておくよ」
「わかった、ありがとうなぎお兄」
「まだその名前で呼ぶのか、、、」
懲りないなこの子、すっかりイメージ変わっちゃったよ。そしてさっきまで居たはずの詩音さんが居ないことに気づく。辺りを見回すとキッチンの方からお盆に高級そうなティーカップを乗せた詩音さんが現れた。
「話し合いに紅茶は必須だよねっ!!」
いやどこの学園の生徒会? それともアフタヌーンティ的な? にしてもすごいいい匂いだな。
「ありがとう、すごくいい匂いがするお茶だね」
「ママが好きな茶葉なの!! 一袋で渋沢さん一枚らしい!!」
「渋沢さん一枚?! そんなの飲んでも大丈夫なの?!」
「私も莉音も好きだからってママが定期便で買ってるから大丈夫だよ!!」
改めてすごいなこの家庭。どんないい生活してたんだろうか。そう言いながらカップの紅茶を啜り改めて会議を再開することにした。
「買い出しは莉音さんにお願いすることに決まったからそれ以外はなるべく俺と詩音さんでできるようにしよう」
「そうしよ!! 私料理得意だからご飯担当やりたい!!」
「意外だな、莉音さんの方が得意そうに見えるけど、、、」
「ちょっとお兄ちゃん、私のことなんだと思ってるの?!」
「お調子者?」
「なんでよ!! お姉ちゃんなんかトーストすら、、、」
すると莉音さんが被せ気味に訴える。
「しーちゃん!!それ以上はいいから!!私だって料理できるもん」
涙目になりながらこっちを睨む莉音さん。最初は詩音さんの方がグイグイくるタイプだと思ってたけど莉音さんも少々あざとさがあって姉妹揃って思春期男子には色々と辛い。可愛いけれども。
「わかったわ!じゃあ今晩は姉妹でお料理対決よ!! 勝った方がお兄ちゃんになんでもお願いを聞いてもらえる権利ゲットでどう?」
「俺まだ何も言ってないよね?」
「わかった、賛成。姉として、妹として負けられない」
なんでこうなるかな。
こうして俺にお願いを聞いてもらえる権利を賭けた姉妹のお料理対決が幕を開けたのであった。