【Short Story】双子の兄
2人がお料理対決の買い出しに出掛けている間、俺はとある人物に呼び出され駅前のファミレスにやってきた。先に店内にいるというので探して歩くとボックス席からひょっこり顔をだす女子高生がいた。俺が向かいの席に着くと注文用のタブレットを手渡しながら話し始めた。
「なぎちゃん久しぶり〜、調子どう?」
俺をなぎちゃんと呼ぶ人物、彼女は夏海ひまり。隣町の高校に通う高校2年生。芸名は夏川陽鞠。そう、あの”今世紀一番売れているアイドル”ポッピンアイスキャンディの黄色担当。そして俺の双子の妹である。
「まあ色々あって大変だよ、そっちはどうなんだ?」
すると店の名物のチョモランマデラックスパフェをパクッと食べながらモゴモゴ喋り始めた。こう言うところは昔から変わらないんだよなあ。
「今日なぎちゃんを呼んだのはとある報告があったからだよっ」
悪戯っぽい笑みを浮かべている妹を見てなんだかまた波乱が起こる予感がし始めた。
「報告? ポピキャン卒業するのか?」
「実は、、、本日を持って高校を辞めまして、、、」
「ひまり、、、まさかお前、、、」
「明日から水高に編入することになりましたあ!!!!!!!!!」
「どぅええええええええええええええええええっ!!!!!!!!!!
驚きのあまりテーブルに置いてあるドリンクをこぼしてしまい慌てて紙ナプキンで拭き取る。
「驚きすぎでしょ!! 水高に芸能コースができたからって担任に勧められてさ〜」
「そうか、芸能コースに、、、てっきり高校辞めてアイドル極めるのかと、、、そういえば爺ちゃんと婆ちゃんは平気なのか?」
俺の苗字は親父側の日向だが両親の離婚後、母親に引き取られたひまりは母親側の夏海という苗字に変わったのだ。
正確には母親に引き取られた後、不倫相手のところに行ったきり帰ってこなくなり母方の祖父母に引き取られたため夏海という名字になったらしいが。いかんせんあの母親だけは許せない。
「そんな暗い顔しないの!!お爺もお婆も元気だから!! 高校も隣町から通うつもりだから安心して?」
俺が一番心配なのはひまりなんだが、それは一旦飲み込むことにした。親父にも相談しようとしたがひまり本人の希望で祖父母の家に住んでいることを親父は知らない。
「なんか困ったことがあればすぐに話すこと、わかったか?」
ひまりはブンブン頷いている。そしてニヤリとしながらわざとらしく財布を取り出しさすり始めた。
「早速なんだけど〜、実は今すごくお金がなくてね〜? ここはお兄ちゃんの奢りってことで、、、」
「おい!!都合いい時だけお兄ちゃん呼びすんな!!」
ケラケラ楽しそうに笑っている妹を見て内心安心する兄、渚であった。




