ep.7 お料理対決!!!【後編】
陽鞠との密談(?)が終わり帰宅するとエプロン姿の2人が玄関まで迎えに来た。
そして俺は即座に目を逸らした。なぜならエプロンで隠れている部分以外全て素肌が露出している状態だからだ。まって、どういう状況なんだこれは。つまるところこれは裸エp、、、やめておこう。そんな訳が無い。それにしても2人とも真っ白で透き通った肌だな。もはや一周回って冷静になってきた。心頭滅却。先に口を開いたのは双子の妹、詩音さんだ。
「お兄ちゃんおかえりなさい!!どこに行ってたの?」
「2人ともただいま。ちょっと急用で駅前まで行ってたんだ」
「なぎお兄、なんか顔赤い。熱ある?」
「そ、そうかな? 外暑いしちょっとバテたのかも」
「大変じゃん!!私体温計持ってくる!!お兄ちゃんは部屋で休んでて!!」
「私は飲み物持ってくる、ちゃんと休んでてね?」
「あぁ、ありがとう2人とも。」
何だか後に退けなくなってきたな。妹とはいえ同級生のちょっと際どい姿を見たから興奮してましたなんて言えない。いや、言うつもりははなからないけどさ。
部屋で少し涼んでいるとなんだか罪悪感が湧いてきた。夕食を作ってくれている2人を差し置いて部屋でくつろぐ兄、しかもこうなったのは自分の煩悩のせいである。幸いな事に全く熱もなく疲れも回復した。いや、そもそもあの時暑かったのは別に体調がすぐれなかったわけではないのだ。
そんなことを考えていると部屋の扉がノックされた。
「なぎお兄、ご飯できたよ。食べられそう?」
今回は珍しく姉の莉音さんだ。俺はベッドから腰を上げ応答してリビングに向かった。
「これは凄い、、、」
俺は食卓に並んだ夕食を見て感嘆した。デミグラスソースとホワイトソースの相掛けハンバーグにクルトンの入ったシーザーサラダ、そして玉ねぎとベーコンのスープ。どれもレストランクオリティで正直詩音さんを侮っていたなと反省した。
「お兄ちゃんリクエストのハンバーグ!!美味しそうでしょ?」
「美味しそうなんてレベルじゃない、お店出せるよこれ。」
「まぁまぁ、感想は食べてから言ってください!!」
「それじゃあ、いただきます。」
ナイフとフォークを握り、ハンバーグをカットして口に運ぶ。すると噛んだ瞬間ハンバーグの肉汁と2種類のソースの旨みが絶妙に絡み合って最高のハーモニーが誕生した。驚くことにデミグラスソースとホワイトソースが全く喧嘩をしない、それどころか三重奏を奏でているとは一体どういうロジックなのだろうか。俺はしばらく夢中になって両手を動かした。
「どう?だから料理得意って言ったでしょ?」
得意げな顔で腕組みをしている詩音さんだが今回に関してはツッコミどころが一切ない。本気でウマいご飯を作れる意外な一面を見ただけに俺も素直に認める他ないのだ。
「美味すぎるよこれ!!!今までどこかで習ってたの?」
「ううん!!全部ママから教えてもらって作ってたらいつの間にかお料理好きになってお姉ちゃんと2人の時は基本私が作ってるの!!」
「恵子さん譲りなのか、、、凄いな、、、」
そうこうしているとキッチンから莉音さんが器を持って歩いてきた。
「私はじゃがいもと厚揚げの煮物作ってみた。食べてみて?」
見た目はかなり美味しそうな煮物。じゃがいもや厚揚げ、卵もしっかり染みていてご飯が進みそうな感じに仕上がっている。本当に莉音さんは料理が苦手なのだろうか。一見全くそんな風には見えないし、むしろもっと闇鍋みたいなのが来ると思っていた。いや、それは流石に失礼だ。
「莉音さんもありがとう、いただきます」
箸で具材を割ると見立て通りしっかり中まで染みている。そしてじゃがいもを口に運んだ瞬間一気にひとつの味覚が主張を始めた。いわゆるしょっぱすぎて辛いというやつだ。気のせいかと思い厚揚げと卵も一口ずつ食べる。そして気付いた。もしかして調味料を間違えているのか?
「ごめんお兄、味見できてないから私にも一口食べさせて欲しいんだけど」
そういってじゃがいもを口に放り込むと莉音さんの顔色が蒼白していくのがわかる。何かに気づいてしまった様子だ。
「お砂糖とお塩間違えて入れちゃった、、、
」
やはりそうだったか。いやしかしあくまで砂糖と塩を間違えただけだしこれはこれで白米がどんどん進むのでイケる。疲れてる時なら無限に食べられそう。
「莉音さん、この煮物も美味しいよ!!ご飯が進む!!」
「お兄ごめんね。ありがと」
明らかにしょんぼりしている莉音さんを見ていたら居た堪れない気持ちになってきた。
こうして姉妹料理対決は両者引き分けで幕を閉じた。
そして俺はどちらのお願いも聞くことになったのである。




