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幼馴染と初恋の美少女に迫られて困ってます?!  作者: ちーずとーすと


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16/22

ep.11 芸能科の後輩

 篠崎姉妹との暮らしにも慣れてきた頃、俺はいつもの日常に少し戻ったような気でいた。


 2人との関係を周りに知られないため、俺は少し時間を空けて家を出るようにしている。そのため朝は基本1人で朝食をとる。トーストにオムレツとベーコンを挟んだホットサンド、そして目覚ましのブラックコーヒーを片手に朝のニュース番組を見る毎日だ。この時間が1日の中で1番落ち着くのである。


 「お、ポピキャンまた出てるな。」


 何気なく見ていたニュースに妹が2人、なんだか非現実的だなぁ。なんて事を考えていると時間を知らせるタイマーが鳴った。


 「よし、今日も気合い入れて行こ」


 そう言って俺は家を出た。だがこの後何が起こるか、この時の俺は微塵も考えていなかった。



 

 登校すると正門前にとんでもない人だかりが出来ていた。何の騒ぎだと思い聞き耳を立てていると水ヶ崎の生徒たちであろう声がちらほら聞こえてくる。もはや歓声に近いレベルの。


 「あれ絶対そうだよね?!」


 「顔ちっちゃくて可愛い!!」


 「話しかけたらまずいかな?」


 どうやら有名人が来ているらしい。それもそのはず、この春から水ヶ崎学園には芸能科が新設された。文武両道を謳う我が校だがそれが功をなしてか新設された芸能科も他の学校と比べて信頼が厚く、転入生が多くなっているのだ。そんな人だかりの前で立ち尽くしていると背後から呑気な声が聞こえてきた。


 「おう渚!すげえなこれ!!」


 「おはようイツキ、これなんの騒ぎか知ってるか?」

 

 するとイツキが肩を組み耳打ちしてきた。


 「どうやら芸能科にあのポピキャンの夏海ひまりと櫻葉桃果が転入してきたらしいぜ。涼原リオンといいすげえよなぁ」


 そういえばこの前、陽鞠に会った時に転校してくるって聞いたような。まさか櫻葉桃果まで転校してくるとは聞いていなかったが故に改めてこの学校の芸能コースの凄さを実感する。どうしたらトップアイドルがみんな転入なんて話になるのか、一度理事長にでも話を聞いてみたいレベルだ。


 それはともかく俺はまだ篠崎姉妹に双子の妹がいるという話をしていない。そしてそれは陽鞠も同様、あの2人と俺が義兄妹になったという話をしていないのだ。何故隠しているかといえば特段理由はないのだがなんだか発覚すれば厄介なことになりそうなのであえてそうしている。いずれその問題は解決するとして今はここをどう切り抜けるかだ。


 「イツキ、俺はこの集団となるべく距離をとって教室に向かいたい。」


 それを聞いたイツキは不思議そうにこちらを見るが何かを察した様子で校舎の反対側を指差し歩き出した。


 「知ってる人は少ないけど、実はうちの学校、裏門から入れるようになってるんだぜ?」


 得意げに話す幼馴染だが何故こんなことに詳しいのか、改めてイツキの知識量には驚かされる。


 裏門にはICカードリーダーのようなものが設置されておりそこに学生証をかざすと扉が開く仕組みになっている。門のすぐ横には警備室がありセキュリティは万全だ。通常はドラマの撮影などで撮影クルーが入る時に使用されるらしいが事情を話せば警備員がこちらから通してくれようだ。


 そして俺たちは警備員に話をつけて裏門から昇降口を目指した。


 

 

 その日の放課後、俺は夕食の買い出しのために近所のスーパーに来ていた。今日は姉妹リクエストのビーフシチューを作る予定なのだ。親父と住んでいるときはこんな洒落込んだ料理なんて一度も作ったことが無かったから味の保証は無い。だが記憶を辿ると不味いビーフシチューを食べたことがないので多分再現すれば食えないことはないだろう。


 そんな事を考えていると曲がり角から突然少女が現れてぶつかってしまった。少女は抱えていたカゴごと転び尻餅をついている。


 「大丈夫?! 怪我してない?!」


 よく見るとうちの制服を着ているツインテールの少女だ。顔立ちはアイドル並みに可愛い。もしやこれは運命の出会いなのでは? なんて雑念を抱いたところで少女が口を開いた。


 「だ、大丈夫です!!そちらこそ、、、って水高の制服!!」


 「あぁ、普通科の2年だよ。ごめんね、俺が注意して見てればぶつからなかったかもしれない」


 「こちらこそすみません、、、芸能科1年の結城です!!」


 少女はペコリとお辞儀をすると気まずそうにこちらをチラチラと見ている。


 「あの、、、何かな?」


 するとハッとした表情を浮かべながらモゴモゴと喋り始めた。


 「せ、先輩、、、もし良かったら肉じゃがの材料を教えてくれませんか???」


 「肉じゃがの材料、、、?」


 それから俺と結城さんは一緒にスーパーを回ってそれぞれ作る料理の材料を集めた。


 「実は今日、久しぶりにお姉ちゃんに会うので夕食は私が作ってあげたくて!!肉じゃがが好物なんです!!」


 「お姉さんの為に作ってあげるなんて良い妹さんだね」


 「はい!!お姉ちゃん大好きなので!!」


 微笑ましいなぁなんて思いつつお互い材料が揃ったのでたわいも無い話をしながら2人でレジに並んだ。




 店を出ると少女はニコニコしながら歩いて行った。


 「それじゃあ先輩!!また学校で!!」


 「気を付けて帰るんだぞ、またな」


 少女と別れて家路についているとふと彼女のの言葉を思い出した。


 「芸能科の1年か。なんか見覚えのある顔だったんだよな。思い出せそうで思い出せないな」


 そんなことを考えながらお姉さんに無事肉じゃがを振る舞ってあげられますようにと祈るのだった。

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