【Short Story】私の想い
渚は私の幼馴染だ。仲良くなったきっかけは小学2年生の頃、私がこの街に引っ越してきてからだった。学校からの帰り道、当時は幼かった事もあって道に迷ってしまったのだ。寂しくて不安で押しつぶされそうになり、道の端で蹲ってしまった時、渚が助けてくれた。
「大丈夫? どうしたの?」
私は安心して大泣きしてしまった。そんな渚は私が落ち着くまで隣で一緒に待ってくれて、なぎの家の方面まで一緒に歩いてくれた。そこからは渚のご両親の助けもあり無事にパパとママが迎えにきてくれたのだ。
偶然引っ越してきた家が渚の家のそばだったこと、同じ小学校だったこともあり私はそれから凪の後を着いて回るようになった。やがてもう1人の幼馴染、イツキも加わって私たちはほとんどの時間を3人で過ごした。
「俺たちずっと3人でいような!!」
そう言い合えるほど心を許した仲だったのだが小学校6年生の最後、渚が家庭の事情で引っ越してしまうことを知った。イツキも私もその事を知った時はショックで悲しくて、今まで当たり前のように過ごしてきた3人の日々がこれで終わってしまうんじゃないかって不安で押しつぶされそうになった。
中学に上がる頃、同じ学校、同じ教室に渚はいなかった。イツキは元々バスケットボールをやっていた事もあり部活に入部したと聞いた。私は引っ込み思案な性格もあり習い事なんてこれっぽっちもしたことがなかった。声を掛けてくれる友達はいるけど私は2人との距離が遠くなるのを実感して焦燥感に駆られていた。
そして高校生になり渚が地元に帰ってくることになったのだ。久しぶりに再会した渚はあの頃よりも身長が伸びていて大人っぽくなっていた。けれどあの頃と変わらず真面目で正義感があり私にはそれがカッコよく見えた。
そして同時にもうあんな思いはしたくない、何も失いたくないと思うようになった。それがただの幼馴染としての感情ではなく別何か特別な感情だと気づくまでそんなに時間はかからなかった。
そして2年生に進級した4月。私は渚に告白した。
「好きです。 ”男の子”として」
言ってしまった。でもそれでもこの思いを伝えることができなくなってしまう前にちゃんと打ち明けたかった。
「ごめん、すぐには答えられない」
渚は優しいから突然の私の告白に驚きながらもちゃんと聞いてくれた。だから私は答えを求めない。これから先何があっても私は凪の味方だ。それさえ伝われば良い。
でも流石に転校生の女の子と屋上でラブラブしてたのは嫉妬したなぁ。私の渚なのになぁ。なんて危ない考えを起こしてしまいそうになってしまった。だから必死に自分の中の黒い何かを押さえつけて蓋をした。
もう置いていかないでね、渚。




