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幼馴染と初恋の美少女に迫られて困ってます?!  作者: ちーずとーすと


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ep.9 幼馴染

「これよこれ!!これが食いたかったんだよ俺は!!!」


 目の前にあるハンバーガーを見て興奮気味に歓喜の声をあげているチャラ男もどき。この店は毎月29日を肉の日として通常の11倍のバンズを挟んだバーガーを提供しているのだ。11なのは2と9を足してるかららしい。まぁ掛けちゃったら18倍になっちゃうし流石に赤字必須だもんな。


 ちなみに俺は通常サイズのチーズバーガーセットを頼んだ。夕飯食えなくなりそうだからちょっと控えめにしたのはご愛嬌ってことで許してくれ。


 「そういえば心音とは最近どうなんだ?」


 肉の日限定11段濃厚チーズバーガーを齧りながらイツキが唐突に振ってきた。


 「特に何も。普通にいつも通り話してるし全然変わらない様子だと思うけど?」


 「ほーん、お前本当に鈍感だなぁ。本当に何も変わらないと思うか?」


 鈍感と言われても全くピンと来ないのはおそらく幼馴染として3人で過ごしてきた時間が長いからなのかもしれない。今思い返してもあの告白以前と変わったところは特にないと感じているのが確固たる証拠なのだが。


 「なら教えてやる。ズバリ!!最近の心音はお前の周りに女子がいると禍々しいドス黒いオーラを放っている!!」


 いや心当たりあったわ。屋上で詩音さんに抱きつかれていた時のアレだ。


 「確かにそんなことあったかも。お前が変なこと言って屋上に来た時とか」


 「別に俺は屋上に行ったって教えただけだぞ?」


 悪びれる様子もなくケロッとしているあたり本当にただ屋上に行ったと教えただけなのだろう。鋭いコイツなら絶対何か企んでいると思ってたんだが見当違いだったのか。


 「まぁそれは良いとして。もちろん心音の気持ちを蔑ろにするつもりは全くないんだけど、なんか分からないんだ」


 「何が分からないんだ?」


 いつの間にかあの巨大なバーガーの最後の一口を食べたイツキが不思議そうに首を傾げている。


 「俺たちが幼馴染として過ごしてきた時間が長いせいなのか正直俺は心音に対して恋愛的な感情を抱いたことがなかったというか、、、」


 一瞬ジト目を向けられたがすぐに改まって真剣な眼差しを向けてくる幼馴染。


 「なるほど、それで心音から告白されて初めて意識しちゃってる自分がいるんだな?」


 流石鋭さナンバーワンの男。俺は図星を突かれたことを誤魔化すようにコーラで喉を潤した。


 「告白されたから意識しちゃいましたなんてズルいだろ」


 「もしそれを心音が狙っていたとしたら、、、?」


 「まさかな、、、」

 

 「でもこのままずっと答えを先延ばしにしちまったら可哀想だし、その辺ちゃんと考えてやれよ? まぁ渚のことだからあんま心配はしてねーけどさ」


 それからしばらく雑談を重ねて俺たちは帰路に着いた。



 帰宅した俺は早々に夕食の準備を始めた。今日は2人のリクエストでふわトロオムライスを作る予定なのだ。あのSNSでバズっているナイフを入れるとオムレツがトロッと崩れるタイプのやつ。オムレツ作りが1番神経を使うはずなのに放課後の話しが効いているのか妙に集中できない。


 改めて考えるとまさかこんな形で初恋の相手と再会するなんて思いもしなかったな。


 心音の告白に対する答えはまだ決められるほど固まっていない。確かに告白を受けて意識してしまっている自分はいるけど数日詩音さんと過ごして出会った頃の思いが消えたわけでもない。なによりこんな中途半端な気持ちで答えてしまったらそれは心音にも不誠実になる。


 

 夕食のサラダを準備しながら深くため息をつくとソファでくつろいでいた莉音さんがひょこり隣に並んできた。


 「お兄元気ないね、何かあったの?」

 

 「ちょっと考え事してて、でも大丈夫だよ。ありがとう」


 すると背後に移動した莉音さんが両腕を体に回してピッタリくっついてきた。背中に柔らかい何があたり自分の心臓の鼓動が煩くなるのが分かる。


 「ちょ!莉音さんどうしたの?!」


 「お兄が元気ないから。どう?安心する?」


 いつもより甘い声で俺を心配してくれる優しい莉音さん。でも抱きついている体が少し熱を帯び、ふるふる震えているのを感じて俺を励ますために体を張ってくれたのだろうと思うと少し申し訳ない気持ちになった。そして俺も免疫が無いせいでガチガチに緊張してしまっていて安心どころか今にも全身の血液が沸騰しそうな勢いだ。


 「安心したよ、ありがとう。もう大丈夫だから」


 「こっちむいて?」

 

 そう促されて後ろに向き直ると小さな手で俺の両頬をむにゅっと挟んできた。


 「何か困ったら悩み事があったらちゃんと相談する。わかった?」


 なんだかいつもよりも大人っぽい、それこそ妹を諭す姉のような雰囲気を感じる莉音さんに少しドキッとしてしまい俺ははいと返事をすることしかできなかった。


 そんなやり取りをしているとドアの方からドサっと何かが床に落ちる音がした。慌てて振り向くとぽかんとした顔でこちらを見ている詩音さんの姿があった。やがてみるみる顔が紅潮していについに言葉を発した。


 「ちょちょちょちょちょっと!!!2人とも何してるの?!」


 随分慌ててる様子でこちらに向かってくる詩音さんを見て逆にこっちが正気を取り戻した。


 「いや、あのこれは、、、!!!」


 「お兄が落ち込んでたから励ましてた、やましいことは何もしてないよ」


 そう、俺たちは決してやましいことは何もしていない。ただバックハグをされてただ頬をむにゅっとされていただけのただの兄妹だ。


 「ずるい!!!私も励ます!!!」


 買い物袋をほっぽった詩音さんが俺を目掛けて手を広げてきたので華麗にかわしてテーブルに夕食を運び込んだ。


 「2人とも夕食ができたから食べようか! 詩音さんも買い出しありがとね」



 不服そうにしていた詩音さんだがふわとらオムライスでなんとか機嫌を治してくれたのでこれで一件落着。


 俺はこれからは2人になるべく落ち込んでいるところを見られないようにしようと強く誓ったのだった。

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