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種馬スキルの悪役貴族に転生した俺、断罪を回避し娘たちと自由に生きることにした。  作者: みなもと十華@書籍&コミック発売中


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第49話 どこ行った?

 ここは港町ミレーニアにある南国リゾートのビーチ。海賊のアジトを壊滅させた俺たちは、受け取った報奨金で遊びにきているのだった。


「ほう、初めて見た時は海賊の影響で寂れてたのに、ちょっと活気が出てきたみたいだな」


 俺は、営業を再開した店を見渡した。

 海沿いには飲食店が立ち並び、美味しそうな匂いが漂っている。

 美しい水平線を臨む砂浜には、大きなビーチパラソルとリクライニングチェアが置かれ、リゾート感満載だ。


「そういえば、当初の予定が狂ったけど、南の海で遊ぶはずだったな」



 あれから俺たちは、ミレーニアの冒険者ギルドに、クエスト完了の報告に行った。

 まさか、完膚なきまでに海賊組織を破壊し尽くすとは思っていなかったようで、ギルド職員も冒険者たちも驚きを隠せない……。


『ええええぇ! 本当に海賊を壊滅させちゃったんですか! しかもアジトや船を木っ端みじんに!』


 あの顔色が悪い受付嬢も、目を見開いて驚愕の表情だった。

 こうして、海賊討伐クエストを完了し、多額のクエスト報酬と報奨金を受け取ったのだが……。ただ、問題はそれだけで終わらなかった。


『あんたら、このままだと危険かもしれないよ』


 受付嬢は、声を潜めながらつぶやいた。


『どういうことだ?』

『前に言ったろ。ここじゃ奴らに歯向かうのはヤバいって』


 受付嬢の話によると、あの海賊のバックには、領主までも巻き込んだ大規模な犯罪組織が存在するという。

 奴隷や薬物を売買して暴利をむさぼっているとか。

 つまり、シノギである犯罪グループの資金源を断った俺は、領主から目を付けられるのではないかとのことだ。


「くそっ! 悪い奴らは裏で色々つながってるってことか。何処の世界でもクソな奴はクソな奴同士つるみたがるんだよな」


 俺は足元の砂を蹴った。どうにもならねえ気持ちのまま。


 まあ、海賊どもは全員逮捕され、王都の牢屋に送られることになった。奴隷にされていた少女たちは、故郷に戻されるようだ。

 まだ問題はあるけど、とりあえず一件落着で良いのかな。


「お父さん!」


 俺を呼ぶ声がして振り向くと、そこには水着姿のエステルがいた。

 金髪の髪をツインテールにし、ワンピースの水着を着ている。


 可愛い! 俺の娘、可愛すぎだろ!


「エステル、その水着似合ってるな」

「えへへぇ♡」


 エステルが満面の笑みになった。

 昨日は服屋の娘アンに嫉妬して、プリプリ怒っていたのが嘘のようだ。

 まあ、俺がアンに求婚されたからなのだが。幼女に求婚されるとか、俺の種馬スキルはどうなってやがる。


 そういえば、気になっていることがあったんだった。

 エステルに聞いてみようかな。


「そういえばエステル、今朝からリゼットとシャルとメテオラの姿が見えないけど、何か知ってるか?」


 俺が問いかけると、エステルは面白いように目が泳ぎ始めた。


「えっ、そ、その……し、しし、知らないです」


 怪しい。めちゃくちゃ怪しい。

 エステルは嘘がつけない性格みたいなんだよな。もうその顔が『知ってる』って言ってるようなものだぞ。


「お、お父しゃん」


 そこに、アハツェーンに抱かれたモグミがやってきた。

 全身バトルスーツみたいな水着を着ているが、ツッコんではいけない。個性は大事だ。

 って、ちょっとい待て! アハツェーンじゃないだと!


「えっと、モグミ……アハツェーンは何処に行ったんだ?」

「レイン様、私はここに居ります」


 モグミを抱いたオートマタが返事をした。

 ただ、そいつはアハツェーンではない。俺は騙されないぞ。


「お前はドライツェーンだろ。額に13って書いてあるじゃないか」


 そう、モグミが作った『モグミ式高知能自立防衛型自動人形(オートマタ)』には、額に番号が振ってあるのだ。

 アハツェーンは18だが、目の前にいるドライツェーンは13だ。


「し、しまったでしゅ」

 キュキュキュ!


 何を思ったのか、モグミがドライツェーンの額の数字を書き換え始めた。


「おい、モグミ。ペンで数字を書き直しても、ドライツェーンはアハツェーンにならないぞ」


 モグミって、天才錬金術師なのに、たまに子供っぽいところあるよな。

 少し線を書き足したら13が18になったので、傍目にはアハツェーンに見えるかもしれないけど。


「本当にどうしたんだ? 危険なことをしてるんじゃないよな?」

「だ、大丈夫です。アハツェーンさんが付いてますし。護衛用にアインスさんとツヴァイさんも一緒です」


 俺の問いかけに、エステルが答えた。

 真剣な顔をしている。


「そうか。エステルがそう言うのなら、もうこの件は聞かない。でも、本当に危険なことはするなよ」


 アハツェーンは戦闘メイドだけあって、圧倒的な攻撃力を有している。ダンジョン下層をソロ攻略できるくらいの。

 そこらのモンスターや悪党には負けないだろう。


 娘たちもレベルが突出している。何だか、ゲームの職業ジョブを超越した特別職に覚醒しているようだし、勇者パーティーよりも強そうだ。

 だが、まだ小さな子供なんだよ。親としては心配するのは当然だろう。


「くっ、何だか娘が独り立ちしたみたいで複雑な心境なのだが」


 やっぱり心配だな。何をしているのか知らないけど。あれだけ強ければ心配いらないのかもしれないけど、親バカと言われようが心配なのは心配だ。


「レイーン!」


 大きな声が聞こえて振り向くと、そこには銀髪の超美女が駆ける姿があった。際どいビキニ姿のヴィクトリアだ。

 あまりにも魅惑的な光景に、俺は慌てて視線を逸らした。


「うっ、何だそのケシカラン胸は」

「どうしたのレイン! ほら、新しい水着なの。あんたが買ってくれないから、自分で買ったのよ」


 ヴィクトリアは、わざわざ俺の視界に入るように回り込んだ。


「何で見てくれないのよ! ほらほら、このビキニ可愛いでしょ」

「あ、ああ、良いんじゃないか」

「全然見てないでしょ! どこ見てんのよ!」


 意地でも水着姿を見せたいのか、さっきからヴィクトリアが俺に視界に入りたがる。だからエッチ過ぎて見られないんだって!


「くっそ、こいつ普段ポンコツっぽいのに、何で見た目はこんなにイイ女なんだ」

「なになに、それ褒めてるの!? もうっ♡ 照れちゃって可愛いわね。触っても良いわよ、旦那様ぁ♡」

「触らねえよ!」


 ったく、面倒くせえな。ヴィクトリアが不満顔だが、これ以上絡むと間違いを起こしそうだ。

 ヴィクトリアに背を向けると、そこには口を尖らせたサーシャさんが立っていた。清楚な感じの白いビキニ姿で。


「あれ、サーシャさん?」

「むぅううううぅ! レインさん、ヴィクトリアさんばかり見てましたね! ふんだ」

「ええええぇ……」


 今度はサーシャさんが不機嫌になってしまった。どうしたものか。

 着痩せするタイプなのか、サーシャさんも意外と凄かった。目のやり場に困るのだが。


「レイン様ぁああ! 私も水着になってみました」


 そこにメイドのリズさんまでやってきた。


「って、ちょっと待てぇええええええ!」


 リズさんがひもみたいな水着を着ている。危険な場所がギリギリ隠れるくらいの。いや、隠しきれていない。まるでエロ同人だ。


「どうかしましたか、レイン様?」

「どうかしましたかじゃないですよ! さすがにその水着はアウトですって」


 不思議そうに首を傾けるリズさんに、俺はアウトを宣告した。公衆の面前で紐水着はヤバすぎる。

 子供の頃から世話をされていた専属メイドが、ヤバい水着の元人妻とか気まずいのだが。


「何でですかぁああ! バツイチの年増には似合わないって言いたいんですか! レインお坊ちゃまぁああ!」

「あああぁ! 違いますって! 水着は似合ってます! むしろ似合い過ぎててヤバいです! てか、そうじゃなくて!」


 リズさんまでおかしくなり、俺の水着回は混迷を深めるばかりだ。



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