第11章 迫る隕石を破壊せよ!
第11章 迫る隕石を破壊せよ!
首都の一角にドラゴンが着地して町中に衝撃が走る。
しかしそんな騒ぎなどお構いなしにドラゴンから、ケントとミカが身を乗り出して『迎えに来た』相手の顔を確認した。
「ラージ兄ちゃん!」「スタアさんも!」
「ケント!ミカ君も!」
惑星パングリオンで別れて、何故か首都星での再会を果たしたことに驚きの4人ではあったが、すぐにラージが真剣な眼差しと共に事の次第を聞き出した。
「・・・ケント!あれはなんだ?何かしらの兵器なのか?」
「兄ちゃんが調査させた星の先にあったんだ!ザヴィエラの息のかかった科学者が作ったワープ兵器ですぐにも隕石がワープしてくる!」
「・・・まさかラージの言う通りなんて・・・」スタアは引き攣った表情で呟いた。
「兵器を破壊するのに二人の力が必要なんです!一緒に来てください!」
と、ミカは口早に言って二人をライヤードの背に乗るよう促した。
そこへ。
「ケント!ミカ!」ドリューの声が飛んだ。
「「ドリュー!」」ケントとミカ、二人して思いがけない再開に声を上げた。
「どうしてこんなとこにいるんだよ!?」ケントが聞いた。
「仕事でね!丁度、ラージさん達とも会ったところだったんだよ!」
即決のラージが少々渋るスタアを連れてドラゴンの背に乗り込むが見える。
「あの空のやつなんとかするんでしょ!?」
「あぁ!兄ちゃんたちがいるから楽勝だ!」
「・・・そうだ!ドリュー!」
するとドリューとケントが親友同士に会話を交わす中でミカが、とある一人を掴んでライヤードから放り出した。
ヒョイ!ドサ!
「あだ!?」
「わ!この人、ドラゴン族!?」
なんとドリューの前に縛られたままのヴィレッテが転がってきたのだった。
「そいつ、警察か軍に引き渡しといて!悪い科学者の一味だったから!」
「お!おい!話が違うぞ!」手も足も出ずに叫ぶヴィレッテだが、ライヤードからの無言の睨みによって黙らせられて、そのままおとなしくドリューに引き渡されてしまうのだった。
「・・・わ、わかったよ!みんな頑張って!」
「あぁ!行ってくれライヤード!」
ドリューの声援を受けてケントが叫ぶと、ライヤードは力強く羽ばたいた。
瞬間、身をひるがえしたドラゴンは、首都星の騒ぎをそのままに一気に空高くまで上昇するのだった。
※
「・・・ストログ!そうかミカ君に呼ばれてそのままなのか!」
ドラゴンの背で同席になったストログに驚いたラージが叫んだ。
「・・・ここまで戻ってきたんだ、もうつるむ必要はないがな」ボソリとストログは応えた。が。
「何言ってんのよ!?あんたも手伝うのよストログ!あの隕石がここにおちたらお父さんだって危ないんだからね!借金どうこう言ってる間もなくなるわよ!?」
「そーだそーだ!てつだえログ!」「ソーダソーダ!」ミカの陰に隠れてリューとシャシャリが便乗する。
「・・・ぐっ、調子にのりやがって・・・!」
「あら、随分とファミリー向けになったのね」
するとそこへスタアが言葉を差し込んだが、ストログは彼女に気付くと同時に目つきを鋭くした。
「お前は・・・漆黒の・・・!」
ギンッ!!
瞬間、スタアからの死を告げる如き視線に射抜かれたストログは声を詰まらせて、言葉の先を失ってしまった。
「ん?なんだ漆黒の・・・?」それに気になったラージが問いかけた。
「ラージには関係ないの!こんなのさっさと終わらえて下見に向かうんだからね!」
プイっと僅かに怒り顔を見せてスタアはそっぽを向いた。
それによくわからないと言った顔を見せてラージは首を傾げるだけだった。
そんな会話を聞いてミカから冷たい視線を受けながらのケントは、渋い顔を見せながらに上空を睨んでいた。
そして。
「・・・よし!」ケントが言った。
同時にライヤードは、先ほどくぐったゲートの目の間にまで飛翔して、その先をジッと睨んでいた。
※
ゲートの先からは異様な轟音が響いていた。
迫りくる隕石がゲート装置に備えられた誘導機械によってすぐそこにまでやってきているのだ。
巨竜の背に乗ったままでケントは一度大きく瞬くと全員に意気込んだ言葉を告げた。
「装置は全部で六つ!どれもゲートの向こう側で全て壊さないと止まらない!みんなで一斉に叩こう!」
「・・・装置がゲートの向こう側というのがやっかいね」スタアが言った。
「こちら側から遠距離で攻撃しないとだな」ラージが眉を潜めて言った。
「ひとつは私に任せて!」
と、ミカがヒィアートガンを取り出し構えると自信満々の顔を見せた。
「あたしもブーメランあるぞ!」同じようにリューが大きなブーメランを取り出して見せるが、それではさすがに破壊力が足りないだろうと皆の視線が集まったが、すぐにストログがブーメランに手を添ええて己のオーラを纏わせた。
「ひとつは俺たちが引き受ける」短く言って装置破壊の意思を告げるストログ。
ミカ、そしてストログとリューのコンビで装置の破壊は2つ受け持つ。残るは4つ。
「ラージどうするの?私たち飛び道具持ってないわよ?」
「・・・ふむ・・・そうだな・・・」
スタアの問いに短く悩んだ声で返すラージ。
「ミカやリューに任せきりなのはちょっとな・・・・かといってオーラ自体に破壊力があるわけじないし・・・」呟くケントだったが、そこへラージの「閃き」の指パッチンが鳴って彼に視線を合わせた。
「こうしよう!スタア、ケント!」
するとラージは己の拳にオーラを表し始めた。彼の右腕が黄金のオーラに染まっていく。
どうやら『今日』は金色だったらしい。
「オーラを全開状態で一斉に拳をぶつけ合う!その衝撃波で装置を破壊する!」
「そ、そんなことできるの兄ちゃん!?」ケントが思わず問いかけた。
「できるさ!というよりやらなければここをしのげないぞ!」
「・・・ぜ・・・全開・・・」猛るラージとは裏腹に、気まずい顔をするスタアがいた。
「要は3人で一斉にパンチするわけだ・・・それって俺だけ吹っ飛んだりしないかな?」紅いオーラを現してケントは苦笑いを見せた。
「はっはっは!そこまで軟弱ではないだろう?」
「・・・いや姉ちゃんが強すぎ・・・」
ゴスッ!!
刹那、ケントは漆黒の拳骨を喰らって目から火花を散らした。
「つ、つまんないこと言ってないで、さっさと済ませるわよ!」
右拳から真っ黒いオーラを漂わせてスタアは余計なことは言わせまいとケントを先制した。
「く・・・黒のオーラ・・・スタアのオーラ初めて見たな・・・よくみると柄もあるのか?」
「い、いいから!!ほら作戦開始よ!!」
サッと拳を隠して、スタアは話題を変えるためにも強引に装置破壊作戦をスタートさせるのだった。
※
「行くわよ!!」
ライヤードの背に立ってミカが自慢のヒィアートガンを構えた。
「ラージさんのオーラがまだ残ってるから、威力は十分のはず!!」
パングリオンを旅立つ前にあった、ストログとスタアのいざこざに便乗してミカは仲裁に入ってきたラージから彼のオーラをタンクにため込んでいた。
それを今、全開に使う時が来たのだ。
「そこだ!!」狙いを定めて引き金を引いた。
瞬間、ドン!!とまるでビーム砲が如き極太のビームがヒィアートガンより発射されて、一直線にゲートを抜けた。
ゴスゥウウウンン!!
するとゲートの向こうより何かが壊れた激しい衝撃音が響いた。どうやら装置の一つの破壊に成功したようだ。
「・・・よ、よし、でもまだね・・・」反動でよろけたミカは、竜の背でバランスを保ちながらも未だに隕石が迫る音が聞こえているのに、眉を潜める。
そこへ。
「いくぞログ!」「・・・ふん!」
ミカに続かんと、リューが大きなブーメランを構えた。同時にストログの腕からオーラが伝わって真っ青に染まると、超硬質な物体へと昇華するのだった。
「おりゃあああああ!!」
そうして青のブーメランを得たリューは力いっぱいにブーメランを投げ放った。
青の回転刃は唸りを上げて独特な弧を描くと、まるで導があるがごとくゲートを抜けて、そのまま向こうの装置へと迫った。そして。
ドグオォオオオ!!
再び破壊音が響くと、そのままブーメランは勢いよく回転してリューの手元に戻ってくるだった。
「あと4つだ!」ストログ叫んだ。
「任せろ!!」
ラージの声を筆頭にケントとスタアは、彼と一緒に竜の背を蹴ると、中空、ゲートの目の前にまで飛び上がった。
「うぉおお!!」「おぉぉおおお!」「はぁああ!」
赤、金、黒のオーラが首都星の空で輝いて、更なる注目を集める。
「行くぞ!3!」ラージが叫ぶ。
「2!」ケントが叫び、拳を振り上げる。
「1!」スタアが叫び、拳を振り下ろす。
「0!!」と、無言のタイミングで合わせた3人。
三つの拳をそれぞれの輝きを放って、すさまじい勢いで衝突するのだった。
ガシィイイイ!!
恐ろしいほどの激突音が轟いて、それと同時に稲光の様に三つのオーラが空に迸る。
そうしてそれらの異常事態を増幅させるように星を振るわせるほどの衝撃が走りだした。
まるで空中を震源にする地震のようで、ライヤードは翼を畳んで怯み、飛空軍艦たちもまともな飛行ができないと後ずさっていく。
そうしてその衝撃は首都星だけでなく、もちろんゲートの向こうにも届き、すさまじき衝撃を送り込んでいく。
ドゴオオオオ!ズガアアアアアン!!バゴオオオン!!
連続で装置の壊れる音が響いて、皆に成功の予想を与える。
が。
「・・・く!ひとつ届かなかったか!」落下中のラージがスタアの手をとりながら叫んだ。
そう、聞こえた破壊音は3つ・・・・壊すべき装置の残りは4つのはずだった。
ひとつ残ってしまったのだ。
案の定、隕石が迫る音は更に大きくなって、もはやゲートをくぐるのもあと数秒となっていた。
「・・・私が撃つわ!ライヤード!寄って!」
と、すぐさまに決断したミカが再び銃を構えた。
おそらくオーラ使いたちはヒィアートを使い切って、もう一度同じことはできないはず。
翼を拡げて高速飛行のライヤードが再度ゲートに迫る。
「―――これで終・・・-――!」と引き金を引こうとしたミカだったが手を止めてしまった。
「・・・・・どうした!ミカ!?」落下中のケントが叫ぶ。
「ヒィアートが足りないの!私自身のと大気中のを合わせても、装置を破壊できるほどの威力が出ない!あと少しなのに!」焦った口調でミカが返す。
「・・・・ッ!!」そこでライヤードの背に着地したケント。そしてラージとスタア。
するとケントは何も言わないままミカに近寄ると、そのまま後ろから抱きしめるように覆い被さった。
「ええええ!ちょちょちょちょ何なになに!?こんなときに・・・!なにかんがえ」顔を真っ赤にしてミカが言う。ケントの手はミカの手を包み込み、赤いオーラを上げていた。
「俺の残りカスのオーラを使え!それで足りるはずだ!!急げ!!」
「耳元で叫ばないでよ!」顔赤いままに言い返したミカは、そのまま狙いを定めて引き金を引いた。
瞬間、ミカとケントの重なった手から赤と緑のヒィアートがタンクに送り込まれてビームへと変換されていく。
刹那、赤と緑が混じりあった極太のビームが轟音を響かせて放たれた。
ギュオオオオオオオ!!
ビームは先端の出ていた隕石を削り取り、ゲートを抜けると残されていた最後の装置を見事に貫いたのだった。
ドゴオオォオン!!
と、ゲートの向こうから6つめの破壊音が聞こえると同時に、首都星の空に拡がっていた光の靄は消え失せて、隕石もまた向こう側の宇宙の何もない宙域を流れていくのだった。
※
「や・・・やった・・・」
自身のヒィアートも使い切って疲れが一気に出たミカは思わず足元がもたついた。
「・・・おっと」と、彼女を支えていたケントがそれを補助しようと動いたが、彼もまたヒィアートを使い果たしており、同じようにもたついてそのまま二人一緒に尻もちをつく形になってしまった。
ドサッ!
ライヤードの背で仲良く転んだミカとケント。
丁度、ケントの上に座る様な形になってしまいミカは再び顔が紅潮してしまう。
「あら、意外と進んでたのね」
「スタア、野暮なことは言うもんじゃないさ」
そんな二人を見てスタアとラージはニヤニヤと笑みをこぼして、ミカに更なる恥じらいを与える。
「・・・そそそ!そんんな!私は・・・!」身振りを大きく、手を横に振って否定を示すが。
「おい、どけ!いつまで乗ってるんだ!重いだろ!」ケントの心無い声が届いてミカに表情に影を差した。
「重いわけないでしょう!!」
ガツンッ!!
反射的に持っていたヒィアートガンの柄で、ケントの頭部を力いっぱいに殴りつけたミカ。
既にオーラで守る術がないケントは100%の力で攻撃を受けてしまい、目から火花を散らした。
「・・・アホか!いちいち殴るな!!」
「あんたが失礼なこと言うからでしょう!!」
両社立ち上がって言い争うが、二人を見つめる周りの目は暖かいものになっていた。
「ケント、ミカくん、痴話喧嘩は後にして、今は危機が去ったことを首都の皆に報せなくては」
ラージが言ってミカの赤面を増させると同時に喧嘩を終わらせた。
「でもどうするの?放っておいても街の人はスルーしそうだけど」スタアが首を傾げて言った。
「・・・これだけ軍艦が集まってるんだ、説明なしでは済まないだろう」
そこへストログが割って入って意見を述べた。
「というよりライヤード自体の説明もしないと、危なくないか?ドラゴン族とはいえ、ここまでデカイのが理由なしに首都星の空を飛んでるのはな・・・・」
ケントの言葉に皆が「ふむ」と頷く。と、そこへ。
「・・・・・・わかったわよ、私の出番ってことね」ミカが言って皆の注目を集めた。
しかし、皆がその言葉の理解しかしないままにミカは、空を囲む軍艦の群れの方を眺めた。
「丁度良く、やってきたみたいね」
そう言うと軍艦の群れを割って一隻の飛行船がライヤードの方へと向かってきたのだった。
「・・・・・・・あれは、大統領機か」
ラージが呟いて、ミカがやろうとしていることに感づくのだった。




